がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
機動戦士Zガンダム外伝 ティターンズの名のもとに 上・下巻
 というわけで裁判編の小説。といっても電ホビ連載版の単行本なので、本編も入っていますね。加筆修正は結構あったような気がしました。

 レイアウトは確かによくない…というか、一行の文字数が多すぎますね。なんというか、センチネルのように1ページ2列にしたかったのが、なんらかの理由でできなくなって、上下の余白のサイズだけが残ってしまったと推測できますが…(笑)

 原作者の方、推理ものや裁判ものもできる本格的な作家さんなんですね。ということは、基本的には裁判編パートと、その罪状に絡むエピソードをメインに構築したのかなと思います。なので、コミック版のキャラ同士の絡みなんかは基本的にコミックの作者のほうがやったんだろうなと感じました。というわけで、地味にコミック版の評価が上昇(笑)だからといって小説版の評価が下がったわけではないですけどね。

 裁判と本編が交互に入る形は、電ホビ連載通りだったんだと思います。ただ本編はある程度わかっていましたので、基本的に裁判編のほうを楽しみに読んでいました。「本来軍事裁判はすぐ終わる」ということを何度も何度も強調していたのが印象に残ります。ガンダムでこういう視点から物語を作った例は過去になかったと思うので、かなり斬新でしたね。しかし現実の裁判も、証人がいるだけでこんなに状況が変わるものなのでしょうか…。

 裁判編がテンポよく、わかりやすくとよくできているだけに、本編のほうのテンポの遅さが非常に気になりました。思えば、上巻だけでコミック3巻分、下巻はコミック最終巻のみの内容なんですよね。漫画が大きな休載もなく等速で続いていたかということを考えると、どれだけ上巻の内容が薄かったかというのがわかります。
 最初のほうは、手探り状態だったんでしょうね。ヘイズル改が出てきたあたりで商品化の企画が色々と持ち上がって、話を先延ばしにしたという印象もあります。それがなければ、すぐにファイバーが出てきてTR6が出てきて終わったはずで、プリムローズとかフライルーは出てこなかったんじゃないかと。
 にしても、序盤のシナリオの内容のなさはちょっと酷い。「新型機のテスト」→「ジオン残党と遭遇」→「辛くも追い返す」という展開の繰り返しですからねぇ。残党と遭遇する理由がないことが一番気になりましたね。ティターンズなんだから残党と遭遇→撃破するため追撃となるのがセオリーだと思うんですが、テストチームだから追撃任務が与えられなかったということでしょうか。それならそれで別の追撃部隊が組まれてもいいはずだし…このあたり、ジオン残党がドロンジョ一味(いつも出てくる敵って意味ね)扱いだったのがまずかったように思います。
 中盤になってくると、例のアッシマー編のようにティターンズと連邦正規軍の温度差が描かれたりしてきて、グリプス戦役が勃発してからはティターンズ側から見たエゥーゴというのが描かれて、すごく面白くなってくるんですけどね。ただエゥーゴが何でジムを配備しているのか、とかそういう具体的な描写はやっぱりなかったですね。単なるテロリストなら、なんで正規軍の兵器を運用しているの?というところとか。コロニー自治軍に払い下げられた(米軍機がイスラエルに売却された的な感じで)とかそういう理解だったのかな、当時は。こういうところはもっと深く突っ込んでほしかった気もするんですが、推理作家に望むものではないですな。

 その裁判編のほうは、基本的にはコンラッドさんがエリアルドの仲間を集めていくという話になっていますが、このあたりはコミックを読んでいるとさらに臨場感があります。小説ではカールとオードリーの仲とかぜんぜん描写されていないんですが、再会時に抱きついたりしてるのを見ると、そうだよねと思うわけで。
 あとは、キリシマさんが中心のマスコミの話ですね。社会正義をふりかざす新聞より利益追求の三流紙の方が事実を報道しやすいっていうのはなかなか面白かった。そうか、朝日新聞より日刊ゲンダイか…とか(笑)この辺は作者が詳しいんだろうな~というのがなんとなくわかりましたね。軍や政府を批判できる新聞とはどういうものなのか、というのはよく描かれていたのかなと。ただ、現実にそういう批判をしている新聞は、論点が的外れだったり読者のミスリードを誘おうとしていたりで、むしろ政府の別勢力の意図が入っているんだろうなぁというように読めてしまいますが…。
 ところで宇宙世紀の新聞がどうなっているのか、というのもちょっと気になるところです。文章を読む限り紙媒体の新聞のようですが、宇宙世紀でも残っているんでしょうかね?まぁ、仮に電子化していたとしてもミノフスキー粒子の登場以降紙媒体が増えたとも考えられますが、紙って再生するにしてもリサイクル施設とか必要になるんで、あんまりゴミがないほうがよさそうなコロニーでは毎日消費する紙の新聞って結構不経済っぽいように思うのですが…まぁそれはまた別の話ですね。

 グリプス戦役後の連邦軍をまともに描写したのもこれが唯一だと思うので、非常に面白かったですね。結局、政府はティターンズもエゥーゴも厄介もの扱いするようになったと。ZZを見る限り確かにそんな感じですわな。
 Zガンダム本編だと、正規の連邦軍の事情はまったく出てこないですし、確かにジャミトフやハマーンといった、組織のトップレベルの話しか出てこないという意味で、下っ端が何をやっていたのかは全然描かれていませんでした。基本的には一兵卒のカミーユだって、旗艦アーガマのエースなわけですから、ジオンで言えばギレン親衛隊のエースパイロットみたいなものでしょう。結局はZガンダムはエリート層の話だったんだなというのがよくわかりますね。このあたりが、現状に振り回されるだけの民間人レベルの話だったファーストとの決定的な違いなんでしょう。
 だから、確かにそういう意味では、アニメにはない一兵卒視点を描いたAOZは「Zガンダム外伝」を名乗るにふさわしい話だったのかな、と思います。序盤以外は。今後もっとこういう作品がほしいですね。

 本編終盤は、やっぱりガブリエル・ゾラがガンダムにこだわる理由というのがなかなか見えてこなかったのが気になりました。グラハムがガンダムに惚れるようなバックボーンが全然ありませんでしたからね。一年戦争のときに、グラハムみたいにガンダムにボコボコにされたり、仲間をたくさん殺されたりしたんでしょうかねぇ。
 一年戦争中、ジオンでガンダムともっとも付き合いが長いのは間違いなくシャアなんですよね。アムロ機以外のガンダムに遭遇したわけではないのなら、ガブリエルがあそこまでガンダムに執着できたのは、ずっとシャアと同じ部隊にいた人間としか思えないわけですが…それだと、エゥーゴに参加してもやっぱりシャアの下にいたんだねということになって、なかなか因果な展開になったような気もします。それとも、一年戦争中のジオン軍は、軍内で積極的にガンダムの名を広めて、悪者扱いにしていたんですかねぇ。普通に考えて、1機のMSにやられてるなんて上層部は下に言えないと思うのですが。
 なんというか、このあたりの「ガンダムが特別」という意識が、ファンにとってはそうでも作中の人間にとっても本当にそうなのか、というところがちょっとリアリティが足りなかったように感じました。ガンダムヘッドの心理的効果は大きいって、そんなに頻繁に敵MSの顔ってわかるもんかね、とか。
 これは逆シャアのときにガンダムは核兵器並の扱いで封印されていたというのにも通じるんですが、そんなにガンダムって凄いのか、って思うんですよね。過去の作品でそこまで大きな影響力を発揮したケースってなかったと思うので。ただ、あのウーンドウォートの描き方を見ると、確かにガンダムは凄いんだろうなと思います。一年戦争の伝説的な活躍だけが理由ではなくて、ガンダムの性能は本当にほかのMSが束になってもかなわないくらい高い、という理由があるなら、まだわかるんですけどね。それならそれで、なぜガンダムはそんなにほかのMSより凄いのか、という理由を考えなければならなくなりますが。

 あと、一番苦笑してしまったのが、リックディアスシュトゥッツァーを肯定的に受け止める人間が乗っている本人を含めてだれもいなかったこと。そりゃ、あんな外見じゃなぁ…。作者もなんじゃこりゃって思いながら書いてたんだろうなぁ。
 そういえば、この作品ではTR-6を「ウーンドウォートEX」としていましたね。アドバンスドという単語が取れています。設定上はウーンドウォートにハイゼンスレイの装備をつけるとアドバンスドウーンドウォート、それにフルドドIIを装備するとEXということになっているんですが、小説内ではフルドドII非装備の形態を省略して、ウーンドウォートにハイゼンスレイとフルドドIIの両方を同時装着した形態を単にEX形態としているということでしょう。これは、設定変更というよりは、作中にない機体の名前を出して混乱させることがないようにしたということでしょうか。

 裁判編のラストはちょっと畳み掛けるようになってしまって物足りない気もしました。マーフィー隊長が現れたのはおぉ!と思いましたが、それまで比較的丁寧に描かれていたものが一気に終わってしまったので、なんか尺の問題なのか?と思ってしまいました。マーフィーとエリアルドは教官になったようですが、カールとオードリーは未だスラム生活なわけで、なんだかなぁという気もしますし。カールは戸籍上死亡扱いになっているのですが、裁判に出てきた以上死亡は取り消しになってるんでしょうね。2人が今後幸せになるか、という話は…ないのかな、やっぱり。

 こうして読むと裁判編は面白かったです。でも、電ホビ連載時はまったく読む気になれませんでした。ほとんど立ち読みで済ませていたから読む時間がなかったというのもありますが、根本的に裁判編のパートを読ませる気が紙面から感じられなかったんですよね。いつもモノクロページの目立たないところにありましたし、裁判編のときもわけわからん設定だけのMSが公開されてたりしてましたし。
 模型誌なんで、そもそも模型と無関係な小説のために紙面を割けないというのはわかります。だったらもう少しどうにかしろよとは思いましたねぇ…。なんというか、もったいないですよね。決して悪い作品ではなかっただけに。
 そもそも裁判というテーマ自体を持ってきたことがすばらしいとは思いますが、模型誌でやったというのがちょっときつかったですね。あと、もっと文字を大きくしたほうがよかった気がします。あの文字サイズはセンチネルを意識してるのかもしれませんが、あれはそもそもシナリオのほうがおまけみたいなものでしたし。
 AOZの場合、確かにセンチネル同様メカ設定の方がメインなのかもしれませんが、漫画版を展開したり、シナリオに裁判編というのをもってきているあたり、話のほうもそれなりにしっかり作ろうという意図が感じられます。それを電撃ホビーマガジン上では生かしきることができなかったのが残念です。計画のみのメカとか出しすぎでしょ。

 そういえば、コミック版AOZのアンケートはがきには、AOZを映像化するとしたらどんな展開がいいと思いますか?という項目がありました。現実的に考えると、OVAしかないですよね…。スターゲイザーみたいなネット配信だと、尺が多すぎるし。いっそのことグリプス戦役開始のところからにしてシナリオを再構築した方がアニメにするなら面白そうです。
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OVAにするなら、『本編』の盛り上がらないラストをもう少しどうにかしないと…
それとは関係ないのですが、
『Z』で、『裁判』で、『ガンダム』の出てこない映画のことを。
『NHK BSオンライン』
http://www.nhk.or.jp/bs/genre/movie.html
>衛星映画劇場 Z 1969年・フランス/アルジェリア
>5月19日(月) 午後9:00~11:08
>実際に起こったギリシャの左翼政治家暗殺事件を題材に、
何の証拠もないのですが、『機動戦士Ζガンダム』のネタ元の一つかもしれませんね。
ブレックス・フォーラ准将暗殺とか。
2008/05/19 (月) 01:24:15 | URL | naga #TY.N/4k.[ 編集 ]
本気でこの本を編集したエディトリアルデザイナー素人か?と突っ込みたくなるレイアウトでしたでしょ?(苦笑)

正直私はしばらく放置して、「病院の待ち時間」がなければ読まずに放置しっぱなしにしてしまったかもしれませんが…内容は、ルロイさんが仰る様に本当に斬新で面白い語り口でしたし、なんというか、「ティターンズという立場からみたエゥーゴ」と「ティターンズ内部(上層部ではなく)の自分たちへの見方」というものもしっかり魅せてくれていたと思います。

未読の方は一読をおすすめしたいですよね♪
2008/05/19 (月) 19:22:58 | URL | サリエル #nL6A2.tM[ 編集 ]
>nagaさん
確かにラストは盛り上がりませんでしたね。
とりあえずヘイズル壊して終わっとけってのがどうにも。

「Z」というタイトルの映画があるんですねぇ。
政治テロっていう言葉が斬新ですね。

>サリエルさん
普通に本を読んだことがある人なら、
あのレイアウトがまずいってのはわかるはずなんですけどね~。
所詮模型誌レーベルってことでしょうか。

内容は、まさにZガンダム外伝って感じで実に良かったですね。
コミックはキャラクター、小説は世界情勢が良く描けていたと思います。
2008/05/20 (火) 21:42:14 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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