がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
アドバンス・オブ・Z 4巻
 マイベストガンダムコミックが完結しましたよ。なんでこの作品がこんなに好きなんだろう、と思ってたんですが、どうも自分はガンダムコミックにはあくまで「外伝」を求めているようです。
 要するに「原作の世界観を壊さずに」「原作にはなかった視点を描き」「原作と比べて物語として負けておらず」「ひとつの物語としてしっかりまとまっている」という条件が揃うと自分にとって(ガンダムコミックとして)名作らしいです。このあたりが、長谷川作品より松浦作品にシンパシーを感じる所以なんだろうなと。長谷川作品は、あれがあれでひとつの世界観になっていますから、「原作の世界観を壊さずに」という一点が完全に欠落しているんですよね。
 そんな自己認識をさせてくれたこの作品。そんなわけで基本べた褒めなんですが(笑)、先に欠点だけ書いておきますね。

(1)戦闘シーンがほとんど描かれておらず、どういう戦いで何が起きたのかがさっぱりわからない
(2)場面が飛びすぎで、ストーリーを追うだけになってしまっている
(3)メカの線が無駄に多くてアクションが分かりづらい

 って、(1)はページ数とシナリオ量の比率が合っていない、(2)は原作がそうだから、(3)は藤岡建機氏のせいと、基本的に漫画のせいではないですな(苦笑)
 なまじしっかり描かれているだけに、もっと戦闘シーンとかをきっちり描いて、キャラを生かしきった内容が読みたかったというのが本音です。
 つーかAOZで一番の失敗ってメカ設定だろ(汗)設定メインの企画で設定が一番足引っ張ってるってのが切ないですね。当初はカオスなZガンダムのメカデザインに一定の説得力を持たせるのが目的だったはずなのに、いつの間にかAOZの方がオーパーツになっちゃってるという…。
 電ホビしか読んでない人にとっては、「センチネルを狙ったはずがタイラントソードになっちゃった」という程度の企画かもしれませんが、意外とシナリオが良く出来てます。食わず嫌いの方は是非読んで欲しい作品ですね。「Zガンダムの外伝作品」の中では、一番良く出来てると思いますよ。企画者は頑張ったと思います。ただ、メカデザイナーを制御できなかっただけで…。

 冒頭でいきなり1巻に出てきた漫画オリキャラのヒルデが登場。そういえばエゥーゴの人だったなぁ。この人がなかなかいい味を出していて、原作では外見ガトー・中身グラハムの痛いキャラだったガブリエル・ゾラの個性を上手く制御している上、最後のウーンドウォートを破壊するシーンでもエリアルドとガブリエルを引き寄せるキャラとして機能していますし、おまけにヴィジュアル的にもいい感じで(笑)、伏線もしっかり消化していると、かなりナイスなキャラクターでした。エリアルドとくっつくのかと思ったらガブリエルとくっついちゃうんですね。なんつーか、コウとガトーのオマージュなのか何なのか…まぁヒロインとライバルとの三角関係はガンダムのお家芸ってことにしときますか。
 ガブリエル・ゾラといえば、ジオン残党としてエゥーゴに参加する人間の視点が凄くよく描かれていて良かったですね。連邦軍のMSや艦船に強烈な違和感を覚えたり、元連邦軍の兵士と会話したり、そしてシャアの演説を聞いたときの複雑な気分など、実に丁寧に描かれていました。原作だと本当に劣化ガトハムでしかないんですが、ずいぶん上手く動かしてるなぁと。ちょっと戦闘中に会話しすぎな気もしますが、それはそれ、グリプス戦役だから仕方ない(笑)

 カムチャッカ基地攻略戦は、ファイバー・陸戦ロゼット・イカロスヘイズルの揃い踏みが強烈にカッコよかったです。原作でもこのシーンはあったはずなんですが、この3機が並んだシーンはなかったので。

 ロサ・ギガンティア攻略戦はいきなりカールが死亡フラグだしまくりで笑ってしまいました。つーかオードリーとくっつくのかよ。うらやま(以下略)ただカールの撃墜が本当に唐突だったのは微妙でした。戦争ってそういうものなのかもしれませんが、もう少しメンタル面が影響したとか、ガンダムに乗ってたせいとかそういう演出があってもよかったのかなぁと。
 しかしリックディアスを気に入るゾラ大尉…それ、ガンダムですよ。

 コンペイトウ防衛戦編は、連邦軍との関係も含め、ティターンズの立場の変遷を凄く踏み込んで描いていました。もっと恒常的に正規の連邦軍との関係が描かれていたら更におもしろかったんですけどねー。
 しかし、エリアルドの視点で物語を追うと、シャアの演説はかなり衝撃的ですね。Zガンダムを見ていたときはいまいちピンと来なかったこの演説シーンなんですが、こうして見ると凄く意味のある描写なんですね。

 にしてもこの頃になると、もう配備MSの変遷をシナリオ中に組み込む余裕さえなくなっていて、いつの間にか搭乗機が変わっているのが泣けてきます。ギャプランがガンダム化していく様子とか、ヘイズル・ラーの凄さとかは全然描かれないまま終わっていく…。まぁそういうのは電ホビでやってればいいんですが、一応シナリオ的に「ガンダムの意味」というのが深く関わっているので、そういうところを描く余裕も欲しかったですね。とはいえ、限られたペーズ数の中で、そういった設定面の話よりコンペイトウの内部事情を描くことを選んだことは評価したいです。あれだけの設定主体の企画からここまでドラマを引き出すのは本当に見事。これはシナリオの今野氏の技量ということでしょうか。

 ゼダンの門編ではフライルー2機とヘイズルアウスラの編成なんですが…あれ?新訳のゼダンの門はヘイズル改だったよな…。あれは戦闘前だから問題ないのか?
 ここでガルバルディを奪ったマキシム・グナーさんが再登場。そういえば原作にはあれから出てこなかった気がするな。彼がまたいい感じに伏線をこなしてくれるのが素晴らしいです。マーフィーのライバル役として頑張ってくれますし。ガンダムみたいな凄いネモも彼なら似合ってますね。
 そしてここからTR-6の凄さが徐々に描かれていくのがまた面白いです。原作でも存在自体は早めに発表されていましたが、やはり物語内で語られると説得力が違いますね。抑止力としてのガンダムという言われ方も新鮮です。実際、ガンダムは核兵器並の扱いで封印されちゃうわけですから、核に匹敵する抑止力があったのかもしれません。ガンダムをいっぱい揃えてるエゥーゴに意味のあるものなのかは正直微妙ですが。
 ただ、エゥーゴがガンダムMk-IIを奪ったのは、ある意味ではティターンズにガンダムブランドを使わせないという意味での抑止力があったのかなとも思いました。ティターンズはヘイズルやサイコガンダムといったガンダムが他にもあったのに、Mk-IIが期待されていたようなシンボルにしなかったんですよね。それは、もしそうやってMk-II以外のガンダムの名前を使ったら、エゥーゴもMk-IIをガンダムとして公表するでしょうし、そうなるとガンダムのネームバリューの意味がなくなるどころか、Mk-IIが奪われたことさえ明らかになってしまうわけです。エゥーゴが奪ったMk-IIを(デラーズフリートのように)一般に公開しなかった(はず)なのは、ティターンズを牽制(他のガンダムを政治的にも軍事力的にも使わせない)する意味もあったのかもしれません。このあたり、アナハイムがガンダムの名を独占したいという意向もあったのかもしれませんねぇ。そうであるなら、T3部隊のガンダムのデータが全てエゥーゴに流れるという交渉はかなり大きな意味を持っていたことになります。でもコミック版だと原作と違ってデータがほとんど流れてないのな(笑)建機設定台無し。

 コロニーレーザー攻防戦ではZガンダム顔負けの死闘が演じられます。マーフィーVSグナー、エリアルドVSゾラの戦いもクライマックスを演出。相変わらずどういう決着になったのかよくわからんけど、お互いの信念の元に戦っているのは分かります。
 そしてTR-6という最後の力を使う演出。味方が全員いなくなってしまった時のエリアルドの心理、隊長や艦長に反対されながらもガンダムの力を使う覚悟、そして戦局を一変させる圧倒的な力、それが意味をもたらさない戦局。全てが描ききられていました。原作よりもはるかに良くなっていますね。カールの最後の出撃やアスワンの最後も良かった。ところで眼鏡のオペレーターいたのか。地味にバーザムが建機版だったのも良かったぞ(笑)
 カールと言えば、ビグウィグのエピソードがそのまま繋がっているのも良かったですね。だからカールの最終搭乗機はヘイズルアウスラのビグウィグキャノン装備だったのか。

 最後の戦いは、ヒルダの名でエリアルドが対話に応じるわけですが、よく覚えてたなと。つーかヒルダなんて名前どこにでもあるからそれで反応するのってどうよと。カミーユの母親かもしれないぞ(笑)。もう少し何か久しぶりに思い出してしまう演出とか(刹那にとってのマリナみたいに夢に出てくるだけでもいいのです)あっても良かったのかなと。まぁページ数的な問題もあってそういうご都合主義はありましたが、原作の801演出(マジあんな風にする意味がわかんねぇ、女性ファンを狙える企画でもないだろうに)を和らげていたのは見事。
 しかし最後にヘイズルがばらばらになっていくのは、これもまた感慨深いものがありました。なんだかんだでヘイズルは何度も改修されてずっと現役で、やっぱりAOZのシンボルでしたからね。最後の演出のためにプリムローズが組み込まれた感じになるのも、よく考えてるなぁと思いました。いや、改造ジムクゥエルでよくグリプス戦役を戦い抜いたよ(笑)ヘイズルがロートルになっていく演出なんかがあっても面白かったかもしれませんね。いくら見てくれはガンダムでも、所詮性能はジムに毛が生えた程度だ!って第2世代MS(リックディアスあたり)にボコボコにされて、ヘイズルラーあるいはアウスラでリベンジ!みたいなベタな展開があっても面白かったかも。

 というわけで、最後までコミック版ならではのよさを貫いてくれて本当に良かったです。これはZガンダムの外伝として純粋に評価できますね、ほんと。やっとまともなZ時代の外伝コミックが生まれたという印象です。
 あえて言うならやっぱりメカデザインが足引っ張ってますよねこれ。無駄に装備がごてごてしていて、とても機動性が高そうに見えないし。グリプス時代のMSはもっとシャープでスマートなイメージなんですけどね~。アニメの作品は作画の都合上そんなに線も多くないし、武装はシンプルな機体が多いですから。0083からZへのメカデザインの変化というものは、もう少し「戦車的デザインから戦闘機デザインへ」スタイリッシュになっていくべきだと思うんですが…。Z時代の外伝としてみると、そういうMSデザインが逆に違和感を感じてしまいました。ベース機は確かにZのMSなんですが。
 ティターンズ側の視点を、それもいわゆる極悪非道な悪の組織としてではなく、純粋に連邦軍の一部隊として描いたのも非常に評価できる点です。いかにZガンダム内でのティターンズの描き方が偏っていたか、本当によくわかります。イグルーの連邦兵とか、SEEDシリーズの地球連合軍とか全然可愛い方ですよね、ぶっちゃけ。両者の中間に位置するティターンズの人間というのも見てみたいです。

 巻末のメカ紹介では、ウーンドウォートEXがハイゼンスレイってなってるんですね~。実際のところウォーターシップダウンのうさぎたち的に、もうちょっと別の名前が欲しいところですが…。まぁでも、ある意味EXはTR-6のハイゼンスレイ形態とも言えるわけですから、設定的には間違ってはいないんですね。あえて言うならハイゼンスレイIIか。

 にしても、これは裁判編が楽しみな展開です。世界の変化に負けず、ティターンズとして軍人として誇りを貫いたエリアルド達がどういう結末を迎えるのか、実に気になりますね。というわけで、次は裁判編行きましょう。
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コメント
コメント
小説で裁判部分を先行で読み切っちゃったサリエルです。

裁判部分、小説は見事にこなしてましたが、さて、漫画はどうなんでしょうね?

小説で読んでいると、「無駄にゴテゴテした演出が一切見えないので」よかったです(笑)

ちょっと、本のレイアウトが読みづらいのが玉に瑕ですがw
2008/05/01 (木) 22:56:20 | URL | サリエル #nL6A2.tM[ 編集 ]
漫画は裁判部分は含まれていませんから、純粋なガンダム漫画ですよ。
正直、あの設定でよくもここまで普通の話にもっていったなと思います。

裁判編(=小説)は評判がいいみたいなので、楽しみです。
2008/05/01 (木) 23:03:46 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
はじめまして。
僕もAOZ大好きで電撃ムック、コミック、小説と全部集めましたが
ルロイさんの欠点のご指摘は、よく的を射ていると思います。

特にメカデザについてはΖ本編のMSと追加装備満載のTRシリーズが
並んでたりすると、後者の浮いてること浮いてること…
正直ファイバー初見の時は、こらあかんと思ったものです(笑)

デザインそのものは格好良いて好きだったのですが、
グリプス戦役の時代にとっては明らかに余剰なデザインは
背景と相反していく感じでじれったかったですね…

ともあれガンダムの外伝ものとしては確かに類まれに見る良作だったと思います。
TR-2以降はすべからく立体化が難しそうなのがMIA派には寂しいところですが…
2008/05/02 (金) 09:38:36 | URL | pokew #dJEnmy1k[ 編集 ]
はじめまして、書き込みありがとうございます。

AOZのMSは、確かに単体で見ればカッコいいのですが、
Zガンダムの外伝としてはかなり苦しいデザインですよね。
漫画ではそのあたりがあまり気にならなかったんですが、最後の方のメカはなかなか厳しいものがありました。
ウーンドウォートも、カッコいいけどティターンズのMSには見えませんしね~。

立体化し辛そうというのもある意味重大な欠陥なんだと思います。
商品展開が難しいということですからね。
一応、TR-2以降はキハール以外素体MSが設定されてるので、それだけでも立体化できそうなんですが…
やっぱりヘイズルあんまり売れなかったんでしょうかね。
2008/05/02 (金) 18:13:00 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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