がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
エゥーゴとティターンズと学生運動
「学生を見れば反戦主義者だのって因縁つけるくせに、MSさえろくに扱えないんだから」

 これは、「星を継ぐ者」におけるカミーユの台詞である。TV版には無かった台詞だ。これは明らかに学生運動時代の描写である。富野監督はちょうどそう言う時代に育ったこともあり、監督の中ではグリプス戦役は全共闘時代を意識していると言うことが良く分かる台詞だと言える。これは一応理にかなっていて、要するに一年戦争が第二次世界大戦なら、グリプス戦役は戦後の左翼運動だろうという歴史背景がベースになっている。
 確かに、ティターンズは元々ジオンの残党狩り部隊であり、それは反政府運動を行う者を取り締まる警察に似ている。また、エゥーゴもコントリズムを標榜する主義者集団であり、思想で暴動を起こすあたりは当時の活動家に似ている。が、当時の日本政府はコロニーに毒ガスなど注入しないし、当時の反戦主義者はジャブローを攻撃したりしない。60年代の世界観を踏襲しているようで、まるで踏襲していないのがZガンダムの世界観なのだ。この決定的な倒錯が、ストーリーを分かりにくくしていると言い切れると自分は考えている。
 自分は学生運動のことはまるで知らないし、たぶん歴史観は誤っている部分があると思う。ただ、結局のところ学生運動の実体はただの憂さ晴らしであり、結局のところ明確な理屈などなく、ただ日本政府のやることなすことを全て否定したかっただけであったように見える。そして、そのやり方は実は中国や韓国が日本を批判する時のそれと全く同じである。が、エゥーゴが中国や韓国に似ているかというとやっぱり違うよねと思うわけだ。
 実際のところ、エゥーゴのやりたいことが明確ではないあたりは学生運動と似ている。ティターンズが許せないという事実以外に理由がなく、ブレックスとしては親スペースノイド政策にしたかったのだろうが、そのためにジャブローを潰す理由がわからない。エゥーゴのやっていることはテロでしかなく、9・11と何も変わらない。このあたりが整理できていないから、Zガンダムはわからないのだ。ジャブローの風作戦と星の屑作戦は何が違うのか?実際のところ何も変わらない。エゥーゴは左翼団体の理念を掲げた右翼団体なのだ。

 何が言いたいかといえば、Zガンダムにおいて学生運動の世界観を反映させたのは明らかに失敗だったということ。新訳を標榜するなら、このあたりの世界観はもっと整理しても良かったと思う。演説をなくしただけではとてもフォローできていないのだ。
 そもそもエゥーゴは形式上は連邦内の一組織でありながら「反地球連邦政府」という名前を名乗っているわけのわからない組織である。民主党が反日本党と名乗るようなものだ。ただ、日本の野党が間接的に反日思想を持った人間に支えられてきた事実もあるため(だから、自民党の支配が長く続いているのだ)、ある意味ではリアルだったともいえる。だがそうならば、ブレックスに「反連邦思想を煽ってでもティターンズは止めなければならん」とでも言って欲しかった。そしてカミーユに「この戦いはスペースノイドの憂さ晴らしだ」ということに気づいて欲しかった。それに気づけなくて、目の前の悲劇の囚われて崩壊したのが旧訳のカミーユだったのなら、新訳のカミーユはエゥーゴの矛盾に気づくところまでいって欲しかったと思う。が、学生運動の当事者だった(が、参加はしていなかった)富野監督にそれを求めるのは酷というものなのだろう。
 結局のところ、学生運動の矛盾をそのまま内包したのがZガンダムだったのかもしれない。
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コメント
コメント
政治の話はしたくないですが、
「グリプス戦役は全共闘時代を意識」というのは慧眼だと思います。でも「学生運動の実体はただの憂さ晴らし」は、ルロイさんにしては雑駁な即断過ぎませんか。右にも左にも、そんな暴れたいだけのやつもいたし、権力が欲しいだけのやつもいたし、理念を真に受けた純粋すぎるのもいた。(もちろん一番多いのは、何となく巻き込まれていたやつらだったろうね。)学生運動を影であおってたやつらもろくなもんじゃなかったけど、政府だってひどいもんだった。
「9.11以後の今日の新訳だから整理を」と言われても、じゃあブッシュが正しいともまったく思えないし、だからといって原理主義者たちのテロも容認できない。

他の人がこういうことを言っていても、たぶん迷わずスルーですが、ほかならぬルロイさんの見解なので、いちおうご意見申し上げてみました。
2006/05/20 (土) 20:33:48 | URL | 囚人022 #TJwDdEqg[ 編集 ]
その「なんとなく巻き込まれていたやつら」というのが結局憂さ晴らしに過ぎなかったと言うことです。日韓ワールドカップの熱狂とかと、本質的には違わないと思うんですよ。ただ、そこに理屈が存在したのが学生運動の違いだとは思います。今の若者がカラオケしている時に、当時の若者は喫茶店で天下国家論を話し合っていた。それだけの違いなんじゃないかと。もっと言えば、2ちゃんねるの「祭り」状態をネット上だけでなく現実に実行したのが学生運動なんじゃないかと。

学生運動って物の見方が一方的だから嫌いなんですよ。今でもその残党組織みたいなのがあるじゃないですか。そういうのが大学でのさばっているのを見て、強烈な嫌悪感を抱いたんで、どうしても個人的な感情が文章に出ちゃいますね。
2006/05/20 (土) 20:44:58 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
なんとなくってのは、やっぱ「なんとなく」ですよ。だから怖いんじゃないかな。憂さが晴れるってって言うよりも、みんながワールドカップだって騒いだらそれ、オリンピックとかでもそう。カラオケだって歌って気持ちいいだけなら、一人で行けばマイク独占じゃない?w
みんなで一緒が好きなんだな、ほんとにもう・・・。
天下国家論だって当時は大半はファッションですよね。たいして立派なものじゃないのは確かですよ。「学生運動って物の見方が一方的だから嫌い」というのは、だからよく分かります。
「ジャブローの風作戦と星の屑作戦は何が違うのか?実際のところ何も変わらない。」そのとおりでしょう。ただ、思想に殉じて死ぬのがカッコイイという印象に酔ってしまう作品は、子供だましにしてもやっぱりまずいですよ。
Ζガンダムは不毛な闘争の後味の悪さが、出すぎなぐらい出ていると思います。例えばオリンピック選手育成スポンサーの経済的舞台裏とかドーピングすれすれの問題だとか、日の丸&君が代でナショナリズムを煽りたい勢力だとか、そんなのまで含めて「エンターテイメント」になるのかなあ?
2006/05/21 (日) 00:19:17 | URL | 囚人022 #TJwDdEqg[ 編集 ]
何が言いたいのか良くわからないのですが、要するに「お前の学生運動に対する認識が気に入らない」ということであれば、その通りだと思います。だって知らないことを知った風に言ってるだけですから(笑)

自分が言いたいのは「ゼータは学生運動の雰囲気が強すぎて良くない、新訳ではその雰囲気を消そうとしているにも関わらず新しい台詞の中に学生運動が見える、精神的に学生運動時代が根付いている人が作るとどうしてもこうなっちゃうんだね」ということです。ちゃんと頭の中で整理できずに記事にしてしまったのは失敗でした。
2006/05/21 (日) 00:58:16 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
すみません。
意味不明なことを書いてしまいました。(汗
私も学生運動世代ではさすがにないですから、知らない点では同様です。学生運動が不毛なものに終わったという認識は、たぶん同じでしょう。その時代を生きた人が作っちゃうと「どうしてもこうなっちゃうんだよね」というのも同意します。
「整理できずに記事にしてしまったのは失敗」と思うルロイさんだから、矛盾をそのまま内包したΖガンダムは失敗だったと言い切るのも分かりますよ。そういう意味で筋が通っていると思います。
ただ、一定の影響力を自覚しているクリエイターとしては、拙速に雑な整理をしてしまうのは、矛盾そのままよりさらにまずいとは思いませんか。多くの人々は「なんとなく」流されてしまうということを、よく知っていれば、なおさらそうです。
言われるとおり、2チャンネルで煽りにのって熱くなってカキコするぐらいの雑駁さで、群集なんてのは平気で投石したり火炎瓶投げたりできちゃうものなのでしょう。それはたぶん、本当に本当に怖いことなんですよ・・・。
Ζガンダムは後味が悪すぎて、エンターテイメントとして良くない、という指摘は大部分正しいと思います。しかし、それを「どうしてもこうなっちゃうんだよね」と併せて読んでしまうと、ルロイさんは富野監督(を含む全共闘世代全般)の制作を全否定しているようにも聞こえるので、それで少し取り乱した文章を書いてしまったもののようです。うまく言えなくて、申し訳ないです。
2006/05/21 (日) 20:39:10 | URL | 囚人022 #TJwDdEqg[ 編集 ]
否定しているわけではないんです。「嫌だな」っていう違和感を持つだけです。
富野監督がエヴァに感じた違和感に近いものを自分は全共闘世代の作品に部分的に(全てではなく、そう感じられたシーンに)感じるというだけです。
結局はただのジェネレーションギャップなんでしょう。上の世代は下の世代に違和感を感じ、下の世代は上の世代に違和感を感じるというだけのことです。だからと言って上の世代の作品を否定するつもりはさらさら無いです。ガンダムで人生変えられてる人間ですからね、自分も。
2006/05/21 (日) 21:59:46 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
・・・
映画版は最後しかみてませんが、TV版ではエゥーゴがどうしてテロ組織に見えにくいか、というと、全体にわたってティターンズが、主人公の親を人質にとる、デモに対して毒ガスでコロニーまるごと皆殺しにする、市街地をやたら破壊する(たいしてカミーユは被害に配慮して力を発揮できない(アムロ談))エゥーゴに対してホンコンを焼き払うだのコロニーにまたG3ガスを注入するだの、
味方を囮にして環境をかえりみず核兵器を使うだの、悪の組織そのままの残虐非道な行為に及ぶ様が繰り返し描写されるわけです。対してエゥーゴ側のそういう描写はほとんど記憶にありません。MkⅡ強奪くらいかな?シロッコはなにも言わずに突然あらわれて民間シャトルを撃墜するし。

この辺をおさえないでただのテロというのは少なくとも日本の一般常識からを前提にすれば少し違うといえるとおもいます。
2008/03/20 (木) 02:26:07 | URL | #OARS9n6I[ 編集 ]
仰るように、ティターンズの方がよほどテロといえるような行動をしてるんですよね。
ただ、一般にはテロというのは(少なくとも実行犯は)反体制側の民間人が行うものですから、
政府の視点で見れば明らかにエゥーゴの方がテロリストなわけです(しかし、物語中に政府の視点は全くもって登場しない)。
事実上のテロ組織と、実際にテロのような行為を行っている組織が逆になっているねじれのような実態が、
Zガンダムという作品を複雑化している原因の1つだと思っています。
2008/03/20 (木) 13:01:08 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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