がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
ガンダムコミックを語る2「アウターガンダム」
 MS戦記からだいぶ時間が経ってしまいますが、それはこの間はコミックよりも模型企画がガンダムのサイドストーリーを担っていたためです。それが「センチネル」を最後に下火となり、「逆襲のシャア」によってアニメのガンダムが一応の完結を見せたことから、その後「F91」までガンダムの物語はコミック(と富野監督による小説)が支えていくことになります。有名どころでは「ガンダムマガジン」「サイバーコミックス」「Bクラブ」といった雑誌、それと今だとアンソロ作品の部類に入る「ガンダムジェネレーション」がガンダムコミックの主力だったようですが、これらの作品の多くは、同人誌の延長上でしかなく、そのほとんどはパロディものという有様でした。
 「アウターガンダム」は松浦まさふみ氏によって「サイバーコミックス」に連載されていた作品ですが、そんな同人誌レベルのコミックが乱立する状況で一石を投じた作品です。その後、この作品の世界観を引き継いだ漫画が二つ登場したため、それらを一つにまとめて「アウターガンダム三部作」と呼ばれる中の最初の作品になります。

 アウターガンダムが他のコミックと一線を画す理由に、「テーマが一貫している」「設定が緻密に作られている」「演出・作劇が優れている」ということが挙げられます。
 テーマに関しては、松浦氏のアウターガンダム三部作の最終作「機動戦士ガンダムReon」再販版の巻末に語られているコメント、「ガンダムとアトムを繋ぐ作品」というのがテーマの全てでしょう。人工知能を搭載したガンダム「ゼファーファントム」の戦いと、その開発者を巡るドラマがメインで語られ、いわゆる手塚的なヒューマニズムをガンダムに取り入れた作品というのが、アウターガンダムの概要になります。「人を殺さないための兵器」としてゼファーを作った開発者、その人工知能に人間的な教育を施していくプログラマー、そして「無人機であるが故に」圧倒的な性能を見せつけながら開発者たちの志を継いで命を救うゼファーというその一貫した流れは、当時のコミックとしては破格のクォリティであり、今見ても遜色のない完成度です。
 設定という意味では、当時作者が独自の世界観で次々に「俺ガン」を乱発していた時代で、この作品も今の公式設定ではあり得なすぎるほどオリジナルの設定を持っているわけですが、その内容が極めてリアルだったことがこの作品を特別な物にしています。具体的には、「MSの直立を可能としているのは上半身の浮場フィールド」「地球連邦政府は国連の延長線(旧国家が健在)」「ソーラ・システムの俗称はアルキメデスの鏡」「連邦でのMSの呼称はTMM(タクティカル・モビル・マニピュレーター)」「戦術ステルスMS(今で言うミラージュコロイド)」「潜宙艦隊」などといったもので、それが今までの公式設定にかなりメスを入れながら、それでいて面白く理にかなっている部分がこの作品の魅力であり、その完成度に反して公式作品として永遠に認められ得ないものにしてしまっている元凶なのです。ワッケインのフルネームとか今と違うしなぁ。
 最後の演出・作劇に関しては、松浦氏の漫画家としての最大の能力で、とにかく熱く、感情に訴えるカットや台詞を非常に上手に扱われています。「誰一人として望まぬ初陣だ!」「死傷者と被害係数、数字の正義か」「支援機は! 来ました!現在戦闘エリア内へ、機種は…ガンダムです!」「私は負けを認めん主義だ!」「不発かぁっ!」「ジオンの2本足!ソロモンにあったのか!奴がジオン国力の象徴だ、どんな犠牲を払っても構わん、必ず沈めろ!」「他に手があるか!後悔ってのは後でするもんだ、やれ!」「ゼファー、人を救え」ですからねぇ。カットとしても、ゼファー発進シーンやアーマーパージのシーン、RX-78との敬礼シーンなどをここぞと言う台詞と共に使うのは、富野監督と同等以上の才能なんじゃないかと思うくらいです。

 まぁ欠点として、キャラ絵の見分けのつかなさとかメカ絵の独特さなんかが挙げられますが、ガンダムコミックで絵柄が見やすいことの方がまれですから、そこに文句をつけているようではガンダムの漫画に手を出すのはやめておいたほうが良いと思います。あとモビルドールとかミラージュコロイドが一年戦争に出てくるのが許せない人もオススメしません。
 メカとしては「リアルアンテナのガンダム」「MS-06D2ザクwithインターセプターユニット」「タイニーコアブースター」「セイバーフィッシュII」「ジョニーライデン専用06R2inソロモン」「ジムコマンドキャノン」「アクトザクinソロモン」「MS-19Nカタール」そしてゼファーの型番「RX-79EX-1」あたりがネタになる作品ですかね。ゼファーの無人機と言う概念も後のALICEに繋がると考えると面白いんじゃないかと思います。

 このように屈指の完成度を持つこの作品ですが、次回作であるムーンクライシスはそれを更に上回る内容となっています。それに関してはまた後日。

「アウターガンダム」
作画:松浦まさふみ
掲載:サイバーコミックス28、31、33、35、38、40、42、43号掲載
ピュアサイバーコミックス版:1992年9月20日初版(絶版)
電撃コミックス版:2002年8月15日初版(発売中)
Amazonリンク(バンダイ版)
Amazonリンク(電撃版)
スポンサーサイト

テーマ:機動戦士 ガンダムシリーズ - ジャンル:アニメ・コミック

コメント
コメント
あうと,せーふ,よよいのよぃ(ぉぃ
確かにアウターは,当時の作品の中では屈指の完成度ですよね。
ただ,その完成度故に,ある程度の曖昧さを求める(と思う)ガンダム作品の中では受け入れにくい作品となってしまってますね。

MS考察者にとっては,ゼファーは,RX-78系を埋めるに都合の良い解釈をもたらしてくれたイイ機体です(笑
この機体がなければ,RX-79≒RX-78って考え方は,なかなか出てこなかったでしょう。

実は,当時からアウターガンダムに対する最大の疑問符は,コンピュータに与えるミノフスキー粒子の影響なんですが,これについては,明確な回答がないまま現在に至っているような気がします。
ミノフスキー粒子はコンピュータに影響を与える(つまり,現在で言えばNジャマーのように)という記述類も存在することもあり,アレだけ高度な自律AI系がどの様にしてシールドしているのかは,結構興味あったんですけどね。(特に劇中で,上半身の浮場フィールドによる障害があることを触れていたわけですから・・)
レオンに関しては,まぁ,時間がかなり経過しているので対処法が確立されていたんでしょうが・・・

演出に関しては,長谷川祐一氏がずば抜けていると思いますが,松浦氏はかなり上手いと思います。
コマわりが疑問符な場所もありますけど(笑)
連載時→ピュアサイバーコミック→電撃コミックとあちこちいじられてますので,できれば発掘してオリジンを見て貰いたい作品のひとつですね。

なお,ルロイさんが挙げられているムンクラですが,唯一引っかかっている部分はやっぱりミネバです(^^;
個人的には,彼女は影で有って欲しい。(無理矢理つじつまを合わせることは可能ですけど^^;)
私にとっては,ギガンテスが本流なので(笑)

蛇足ながら,実は当時,アウターよりも強化人間とG影のほうが比重が重かったです,私は(^^;
2005/08/27 (土) 08:36:09 | URL | あさぎり #USldnCAg[ 編集 ]
大好きな人は大好き!
 あまりに大好きだったので、ファンレター送ってしまいました。先生の同人誌に私の拙いファンレターが掲載されていた時は、とても嬉しかったです。(自慢)
 ただし、嫌いな人には嫌われるという作品でもありますね。全肯定を謳っていながらもこの作品を無視される方もおりますし。そこが大ファンの私としては辛いところ。
 管理人様も、あさぎり様もこの作品に対しては好意的な態度でおられるようでして、大ファンの私としてはホッと一安心というところです。特に管理人様が挙げられた一連の台詞については、私も同じように好きでして、一番好きな台詞が「ソロモンの小僧」なんですよ。確かに20代のドズルなんて、歴戦(?)の戦士にとってみれば、小僧以外の何者でもないよなぁと当時20代の私は思ったものです。
 で、私がこのアウターに対して抱いた唯一の不満が、ゼファーシステムの完成度の高さなんです。松浦先生のファンレターに「0088のセンチネルのアリスがまだまだ未完成だったのだから、0079のアウターではもう少し性能を落として云々」と書かせて戴きました。今となっては懐かしい思い出です。
 ちなみに私が一番好きな松浦作品はムンクラです!
ミネバに関しては、イデオンも大好きなので、二人とも本物!ということで・・・・。
2005/08/27 (土) 09:31:08 | URL | ポルノビッチ・エロポンスキー #4FJT5Uw2[ 編集 ]
>あさぎりさん
確かに、ミノフスキー粒子云々はあまり触れられていないですねぇ。Nジャマーキャンセラーみたいなミノフスキー粒子の影響を受けないミノフスキー・ステルス・システムがあったとか…だったりして。

個人的には長谷川作品より松浦作品の方が好きなんですよね(リアリティ度の問題で)。今の設定に合わせて大改竄されたアウターガンダムも見たかったです(笑)

>ポルノビッチ・エロポンスキーさん
「ソロモンの小僧」は確かに印象的でした。そういう見方ができるのも、松浦作品を好きな理由なんですよね。
ゼファーの完成度に関しては、確かにガンダムのリアリティ感覚ではちょっと行き過ぎですね。でもきっとニュータイプよりはリアルだろって思ってたんじゃないかと思います。コズミックイラの設定に合わせたアウターガンダムだったら違和感ないんでしょうね(笑)

ムンクラに関しては、後々更に熱く語ります。ぶっちゃけクロスボーンより好きなので…
2005/08/27 (土) 11:52:39 | URL | ルロイ@管理人 #-[ 編集 ]
難しいところですが,私はリアリティという面では,人間味のある長谷川作品の方が感じちゃうんですよ(^^;
クロボンは,まさに富野色なんですが,ギガンテスは,長谷川氏の熱さがもろにでてますし。
そういった意味では,長谷川作品では,実はビクトリーファイブが一番好きだったり(笑
あ,むろんマップスは枠外ブッちぎりですが(^^;

>ミノフスキー粒子の影響を受けないミノフスキー・ステルス・システム
んと,いろんな作品で結構ミノフスキー粒子については,触れているのに,その部分だけぽっかりと落ちてるんですよね。
もし,ミノフスキー粒子のステルスシステムが一年戦争時にあるならば,ストーリーが変わりかねないようなネタもあるわけですが・・
まぁ,レオンの時はアンチファンネルシステムがあるくらいナノで,なにか有るんでしょうけど(^^;

話をちょっと先のコメントに絡めますが,実は当時のアンソロで良かったひとつのG影。
これを読んだルロイさんの感想なんぞきいてみたいところです(笑
2005/08/27 (土) 12:04:34 | URL | あさぎり #USldnCAg[ 編集 ]
返信を発見しました。
 同人誌の中から、ファンレターの返事が出てきました。それによれば、アウターを描いていた時、センチネルは読んでおられなかったとのことでした。まあ、別にその程度のことであの作品の感動が薄れる訳ではないので、今にしてみれば、枝葉末節なことを書いてしまったと反省しきりです。
 管理人様もあさぎり様も、私と似たようなガンダムコミック観をお持ちのようでして、とても嬉しいです。ムンクラ、イデオン、クロボン。私にとっても、ベストガンダムコミックですね。
 
2005/08/27 (土) 13:35:12 | URL | ポルノビッチ・エロポンスキー #4FJT5Uw2[ 編集 ]
>あさぎりさん
テーマの深さというか、確かに人間的には長谷川作品の方がリアルですね。どちらかというとプラス思考なのが長谷川作品で、松浦作品はマイナスというと聞こえが悪いですが、世の中こんなもんだよねというような現実認知的な要素が強い面があって、個人的にはそっちに魅力を感じてしまうんですね。そういうのがガンダムだろ、みたいな。

>ミノフスキー粒子
ミノフスキー粒子の影響を無効にするという意味ではサイコミュがそれにあたりますね。ちゃんと設定として存在してるのはそれくらいでしょうか。だからやっぱり、ゼファーはニュータイプだったと(爆)

>G影
実は未見です(^^;
再販されたんで簡単に手に入るんですけどね~。


>ポルノビッチ・エロポンスキーさん
松浦氏から返事もらったのですか~。今ならばメールで一発ですが、手紙の返事って気持ち的にぐっとくるものがありますよね。
2005/08/28 (日) 00:10:25 | URL | ルロイ@管理人 #-[ 編集 ]
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2017 がんだまぁBlog all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.