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ガンダムネタだけを語るブログです。
ガンダムエピオンは何のために作られたのか
 「ガンダムW」を見ていた時に、よくよく考えると不明なのが、ガンダムエピオンの開発理由です。最終的にゼクス=ミリアルドの愛機となったこのガンダムですが、元はトレーズが開発し、ヒイロに与えたものでした。ヒイロとゼクスが交戦し、ゼロシステムの共鳴(?)によりシステムダウンして引き分けに終わった後、ヒイロが能動的にウイングゼロに乗り込んだため、成り行きでゼクスが乗る事になったのが、エピオンという機体のパイロットの変遷です。
 しかしそのエピオンをヒイロに託したことさえ、たまたまヒイロがトレーズの屋敷にやってきたからで、トレーズの計画通りというわけではありませんでした。ならばそもそも、トレーズは何のためにエピオンを作ったのでしょうか。


 トレーズがヒイロにエピオンを託した頃の世界の状況は、まさにロームフェラ派とトレーズ派のOZが内乱状態にある頃でした。モビルドール・ビルゴの圧倒的な性能により、徐々に追い詰められたトレーズ派は、トレーズが軟禁されている屋敷の周辺に集結していたようです。(あんまり状況説明がない作品なのですが、作中の描写を見る限りそんな感じでした)
 ヒイロは、トレーズがいるからトレーズ派が無駄な抗戦を続け、戦火が収まらないと判断し、トレーズを殺すために屋敷に向かいます。道中、Wガンダムは撃破されてしまうのですが、これを改修してレディ・アンが乗ることになるのはまた後の話です。
 トレーズに会う事に成功したヒイロは、銃を向けますが、トレーズはそこで密かに開発していたガンダムエピオンを紹介し、ヒイロに搭乗を促します。結果的にエピオンに乗ったヒイロがやったことは、周辺のOZ(両派含む)の排除で、トレーズ的には「自分を殺しに来た奴にガンダム与えて周囲の敵を(味方ごと)一掃してもらった」ということになり、体よく扱われたような気もするのですが、サンクキングダムを制圧しに来た部隊を一掃するには至らなかったので、所詮サーベルとバルカンとヒートロッドしかない機体だったとも言えます(だから対複数に優れたツインバスターライフルを持つウイングゼロを選んだのかもしれません)。

 ところで、ヒイロにエピオンを託す際、トレーズは自分自身もエピオンに乗ったことを仄めかしています。「私には進むべき未来が見えなかった」というようなことを言っていたあたり、ゼロシステムを使用した結果、自分がエピオンに乗って戦ったところで良い未来が見えなかった、ということなのかなと思います。
 ただ、自分で乗ってみたということは、エピオンを作った理由はトレーズ自身が乗るため、だったのではないかと推測できます。というか、そう考えないと、あの格闘戦しか想定していない仕様は説明できません。あくまでも代表者が、決闘のために使用する機体として開発したのではないかと思います。
 実際、トレーズがホワイトファングとの戦争の際に取った行動は、「代表者であるミリアルドとの決闘を申し込む」ということでした。おそらくトレーズとしては、余計な犠牲を出さずにリーダー同士の1対1で勝負を決めることを望んでいたのだと思いますが、ミリアルドの目的は戦争の悲惨さを世間に見せ付けることなので、泥沼化させないと意味がなく、この決闘を拒否しています。ただ、トレーズがこのような戦い方を想定していたということは、自分が前線で戦う時は決闘を行う時だという前提があったために、エピオンはあのような仕様になったのでしょう。
 また、来るべき五飛との決闘に備えてという意味合いもあったと思います。トレーズは生身の決闘で勝利したときに、次はモビルスーツで戦おうと約束していますからね。そこでゼロシステムを搭載したMSを用意したあたり、勝つ気満々だったような気もしますが(笑)。

 そういう意味では、決闘用として開発したのはともかくとして、そこにゼロシステムと同等のシステムを搭載した理由というのは謎です。そもそもウイングゼロを捕獲し解析を行ったのはレディ・アンが撃たれてツバロフが宇宙軍の実権を握った頃と同時期だったため、そのデータがトレーズに届いているとは考えにくく、何故エピオンに同等のシステムを搭載できたかは謎です。また搭載できる技術があったとしても、それをトレーズ用の機体として開発された機体に乗せるのは無謀であるような気がします。トレーズ自身が、自分を試すために搭載させたとしても、その結果乗れなかったからあきらめていた(ヒイロが来なかったら黙って殺されていた?)というのも、彼らしくありません。話の都合上という言葉が強く頭をよぎりますが、ここは理屈をひねり出してみましょう。

 トレーズ側がカトルとは別にウイングゼロの設計図を持っていたということでない限り、エピオンのシステム関連はウイングゼロのコピーであるはずです。もし別にウイングゼロの設計図があったなら、もっと他のガンダムタイプやその派生機が出てきてもおかしくないので、ここはあくまでも「当時の世界にカトルが復元した以外のウイングゼロの設計図は存在しない」という前提でいきたいと思います。
 その場合、どういう経路を辿ったかは別として、トレーズ側にウイングゼロのデータが渡っており、そのコピー機を作ろうとした結果生まれたのがエピオンだと言う事ができます。ウイングゼロ(TV版)とエピオンは、全体的に似たパーツ形状をしており、単に敵メカっぽくアレンジした「悪のウイングゼロ」とも言うべき風貌をしていることから、基礎構造はウイングゼロとほとんど変わらないと推測できます。
 というか、トレーズが自ら搭乗しOZの大将機として運用するつもりだったのなら、コロニーの象徴でありOZに甚大な被害をもたらしたガンダムタイプを運用するのはあまりよろしくなく、スペックはともかく見た目だけでもガンダムからは遠ざけるはずです(トールギスIIはむしろガンダムに寄せている?知りませんな…)。それをしなかったのは、ウイングゼロをコピーする上での解析が不十分で、ある程度見た目を再現しないと中身も再現できなかったということなのかなと思います。ゼロシステムを搭載しているのも、とりあえず全部コピーしてみないとどういう不具合が現れるか分からなかったという側面があるのかもしれません。
 本来なら、このエピオンをベースとして、新たなOZのMSを開発するという予定もあったのかなと思うのですが、モビルドールの開発によりこの計画は頓挫し、残った試作機をトレーズ用にチューンした結果、ああいう決闘用の仕様になったと考えれば辻褄は合うかなと思います。
 つまりエピオンがゼロシステムを搭載しているのは「開発の都合上仕方なく」ということであり、それ故にトレーズが乗ろうとしても乗ることができず、たまたま現れたヒイロに渡りに船と渡して代わりに戦ってもらった、ということなのかなと思います。

 もしトレーズがゼロシステムを使いこなせているか、あるいはゼロシステム非装備型エピオンの開発に成功していれば、トレーズはエピオンを駆って軟禁状態から脱出、兵を率いてモビルドール軍団を一掃するという展開もあり得たのかもしれません。その場合、五飛のアルトロン対トレーズのエピオンというのも実現していたかもしれませんし、ミリアルドはウイングゼロに乗ったままで、ヒイロはウイングガンダムを改装して戦い続けていたかもしれません(負けそう…)。トレーズがエピオンに乗ったら、色も塗り替えそうですね。トールギスIIと同様の白+青のカラーリングに塗り替えられたりしていたかもしれません。
 ちなみに、Gジェネオリジナルメカではエピオンの相方機であるガンダムアクエリアスという機体が登場しています。これはモビルドールを停止させるウイルスを散布する機能を持った機体ですが、エピオンの相方、サポート重視の設計というあたり、エピオンにトレーズが乗っていたならば、このアクエリアスに乗るべきなのはレディ・アンでしょうね。

 正直エピオンはかなり唐突に出てきたというか、先に「ウイングゼロのライバル機」としてメカデザインが作られ、作中にどう出すかは後から考えたのではないかと思います。当時のガンダムWの制作体制を見るにデザインありきだった可能性は非常に高いです。その結果、ふらふらと扱いが変わり「成り行きで」ゼクスに渡るようにしかできなかったという意味で、エピオンは非常に不遇な機体だったのかなと思います。ゼクス=トールギスというイメージの方が強かったため、エンドレスワルツでは普通にトールギスIIIにポジションを奪われ、スパロボなどではエピオンよりもトールギスIIIの方が強いという設定になってしまっていることが多いですしね。
 もしかしたら、本当にトレーズが乗ってラスボスになるという予定もあったのかもしれませんけどね。射撃武器を一切持たないというメカデザインは、あまりにもドーバーガンをメインに戦っていたゼクスのイメージと合いませんので。いずれにせよ、ストーリーの方向性が監督交代もあり定まらなかった最大の犠牲者であったのかもしれません。
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コメント
コメント
ロームフェラに「ゼロシステム」は「ブタに真珠」以外の何物でもなさそうなので。
もう一つ可能性があるとすれば

ロームフェラ財団側が敵味方識別システムに問題があるモビルドール統率用のモビルスーツを開発

射撃等はモビルドールがやるので接近時の戦闘を主眼に開発

パイロットの認識能力を高めるために極秘に手に入れた「ゼロシステム」を搭載

そして失敗

モビルドールの性能向上によりただの宝の持ち腐れとなり封印

ロームフェラ財団的には「ただのガラクタ」で警備がザルだったのでトレーズ派が強奪

というのはどうでしょうか。
2018/07/13 (金) 23:35:51 | URL | DN #mQop/nM.[ 編集 ]
わーいレアモノの非宇宙世紀考察だー!

考察見てて感じたことなんですが、もしかしてゼクス…というかミリアルド、内心トレーズにキレてたのではないでしょうか。理由はもちろんエピオンで。

スパロボGジェネでしか知らない状態でガンダムW見た時、最も困惑したのがエピオンとウイングゼロの対決でした。
お前ら乗機逆だろ!→取り替えっこするんかーい!ってな感じで。
この取り替えっこ劇の裏側にあるのは当然「すぐガンダム捨てるどうしようもない主人公に後半の主役機を(強引でもなんでもいいから)渡す」という目的が第一にあったのだと思いますが、その副次効果でゼクスに渡っちゃうエピオン、は本来ゼクスが望んで得たモビルスーツじゃないはず。(交換した時もそんな嬉しそうじゃなかった気が)
で、エレガント決闘用ガンダムを色んな意味で押し付けられたゼクスとしては、そんな酷いガンダムを作ったトレーズの決闘の申し込みは感情的にも受け入れ難かったんじゃないかと思います(しかもトレーズはトールギス、つまりドーバーガン持ちだし…)
そんな仄かな「このクソ野郎!」という気持ちが最終回の謎追加装備こと謎エレガントバルカンに繋がってたら面白いかなー…とε-(´∀`; )
2018/07/14 (土) 08:23:39 | URL | 連邦軍兵 #-[ 編集 ]
たしか、W0のゼロシステムは、メインモニターを廃し、基本的にレーダーマップのみで外部を認識するコックピットの内部形状そのものがゼロシステムの根幹に関わっていたはずです。
おそらくは、戦況を演算・分析して得た予測データをパイロットの脳に送りつける(未来を見せる)機能あたりに必要なのではないでしょうか。
これが不完全だと、将棋ソフトで言うと50手先まで演算できているのに、モニターの都合で10手先までしか表示できず、本来わかっていたはずのより良い手をパイロットが選べないなんて事になるんではないかと思います。

実際、OZのデータ取りでOZのテストパイロットが暴走したときも、機能を十全に発揮するため、システムがハッチの閉鎖をパイロットに要求したのがきっかけだったはずです。
(ハッチを閉じてケーブルが断線したせいで、データ上の仮想敵が消え、代わりにそれまでマスクされていた格納庫内の敵機(OZのMS)が認識されてしまい、手当たり次第に破壊を開始してしまいましたが。)

まぁ、後にサンドロック改でゼロシステムを使う回がありますので、必要不可欠と言う事もないのでしょうけど。
(余談になりますが、あのとき、ゼロシステムを使うドロシーと戦い、カトルが暴走しなかったのも、本人の成長やドロシーとの実力差のみならず、この辺の理由もあったのかもしれません。

その肝心要のコックピットのUIがヘルメット式になってるあたり、少なくとも「ゼロの機体構造をコピーしたら変なシステムまでついて来ちゃいました」、は無い気がします。

後にドロシーにMDの指揮をさせたときに使ったときは、リーブラの一室でヘルメット式ですので、エピオンに搭載されたシステムのマンマシンインターフェースはあのヘルメットに集約されているモノと思われます。
機体の初期設計の段階から盛り込まないと機能を十全に発揮できないゼロのコックピットと違い、エピオンの仕組みなら既存のMSにも組み込みやすいと思われ、明らかに改良型で、エピオンには意図的に積んだとしか思えません。
また、一度は搭乗した上で手放し、傍観者に徹しているあたり、あの完璧超人にしては珍しい事に何かに迷っていた節があります。
迷っている何かの未来を見るためにゼロシステムを携えて戦場に立つ必要があった、言うなればゼロシステムにエピオンという機体がついてきた可能性すらありそうに思います。。
ツインバスターライフルのような大量破壊兵器を持たないエピオンは、ゼロに比べると暴走したときの被害も大分マシな物になりそうですし、何よりゼロのコピーベースならあの意味不明な変形がますます意味不明になってしまいますw

もっとも、パイロットの脳に直接データをフィードバックするシステムというと、誰もが最初に連想するのはヘッドギアを介する事ですから、むしろエピオンのコックピットの方が旧式という可能性も無きにしも非ずです。
博士たちがゼロを量産したり、ましてやコストダウンの方向性で舵を切っていたリーオーなど他のMSに搭載する事を考えていたとは思えず、だとすれば手ぶらで乗り込んでも機能を発揮できるゼロの方が洗練されているともいえます。

とここまで踏まえたうえで、私はエピオンのシステムはゼロとは別系統で開発されたものの可能性もあるんじゃないかと思います。
まず、単純な事として、劇中でエピオンのシステムをゼロシステムと呼称した人物に心当たりがありません。
開発経緯に詳しいトレーズからして、「同質のインターフェイス」とは言ってもゼロシステムとは呼んでなかったと記憶しています。
他の人物にしても、ヒイロを筆頭に、ゼロやサンドロックのシステムをゼロシステム呼ばわりしてもエピオンのものはシステムとしか呼んでいないのですよね。

特にトレーズの性格からして、エピオンのシステムがゼロシステムまたはその派生型なら、これを発明した博士たちに対する礼儀として、そう語ると私には感ぜられます。
「同種のインターフェイス」と言う言い方には、むしろ独立して発明したのち、過去の知られざる先行発明を知った発明者の、先人への畏敬と、自尊心にその他の諸々まで入り交じった、複雑で微妙な感情があるように思われます。
ええ、下手したらエピオンのシステムの大本のアイデアはトレーズが出したんじゃないかとさえ思ってますw
ヒイロにエピオンを渡す少し前のトレーズも、案外あれでいろいろと悩んでいて、こんなシステムを考案したんだったりして。

申し訳ありません。人様のブログに投げて良いような長文ではないのですが、指先の赴くままに書いていたらこんなことになってしまいました。
2018/07/14 (土) 19:37:05 | URL | #-[ 編集 ]
>ゼクス=トールギスというイメージの方が強かったため、エンドレスワルツでは普通にトールギスIIIにポジションを奪われ、スパロボなどではエピオンよりもトールギスIIIの方が強いという設定になってしまっていることが多いですしね。

これに関しては、トールギス=ゼクス エピオン=ミリアルド・ピースクラフト
のイメージが付いてるってのもあるかなと思います。
そういえば、トレーズを筆頭に、エピオンをガンダムと呼称した人物もいた記憶が無いですね。
2018/07/14 (土) 19:41:04 | URL | #-[ 編集 ]
小説版の話ですがカーンズにエピオンをガンダムと呼ばれてゼクスが一瞬何のことかわからないというシーンもありましたね。
そのシーンのゼクスの心情描写によると、エピオンはコロニーを守るというガンダムとは設計思想の異なる決闘用モビルスーツで、ゼクスに相応しいと思って乗り換えた、とされていました。
2018/07/16 (月) 18:17:50 | URL | #cRy4jAvc[ 編集 ]
>DNさん
あーなるほど、ドロシーがやったことをどこでも誰でもできるように開発したってことですね。
それはそれであり得るかもしれません。
開発ペースが早すぎるような気がしますがそれはどちらにせよ同じですね。

>連邦軍兵さん
まぁ「トレーズらしい機体だ…」とは思っているでしょうけど、兵士として普通に使う分にはふざけんなが正直な気持ちでしょうね。
ホワイトファング代表という道化を引き受けたからこその機体だったとは思います。あえてガンダムに乗るということも、格闘戦オンリーの設計思想というのも。

>エピオンのシステムはゼロとは別系統で開発されたもの
正直ゼロシステムのことを博士たち以外がどれだけ知っていたかがはっきり描かれていないので、どうとでも推測できてしまう部分ではありますね。
ただゼロシステムはフロッピーで移植できるレベルなので(笑)確かに見た目ごとコピーしないといけなかったというものではないかもしれません。
「迷いのない戦士は崇高で美しい」と評していたあたり、エピオンのシステムはもしかしたらトレーズの理想の戦士を作り上げるシステムとして研究していたのかもしれないなぁ、なんて思いました。

>トールギス=ゼクス エピオン=ミリアルド・ピースクラフト
まぁホワイトファング所属のときだけエピオン、ということなんでしょうね。
地球かコロニーかなら地球側の人間なので、コロニー側の味方をする時だけあえてガンダムに乗っているというところでしょうか。

>エピオンをガンダムと呼称した人物
カーンズはアニメ版でも、ゼクスをスカウトする理由の一つとして「ガンダムのパイロットだから」というのを挙げていますので、エピオンはホワイトファングにとってはちゃんとガンダムとして認識されているはずですね。
2018/07/16 (月) 22:14:23 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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