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がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
ガンダムWについて今更考える
 TwitterでMXテレビでの再放送が話題になっていたガンダムWですが、自分はそれ以前にキッズステーションでの再放送を一通り視聴した後だったので、その時の感想を先に書いておこうと思います。
 CS放送では何度か再放送されていましたし、自分が見た時間帯でもGやXも放送されていたのですが、Wをたまたま1話から見たら引き込まれてしまい、また時間帯的にもだいたい家にいて寝る前という見やすいタイミングだったので、ついついほとんど全話見てしまいました。そうさせるだけの魅力が、やはりある作品なのだなと思いましたね。

 実際どのあたりに魅力を感じたかというと、世界観の緻密さとしっかり世界情勢の変化を描いているところでしょうか。キャラとメカのアクションに特化した作劇であるためあまり印象に残らないのですが、実はガンダムWはかなり細かく世界情勢が設定されていて、しかもそれが作中で目まぐるしく変化しています。リアルタイムで見ていた中学生の当時は全く分かりませんでしたが、大人になってから見ると色々と見えてくるものがあり、非富野ガンダムの中でも屈指の完成度の作品であると感じました。今見ると足りない部分もたくさんあるんですけどね。


 ガンダムWの世界観は、これはだいぶ前から呟いたことはあるんですが、主人公を「テロリスト」にしたという意味で非常に画期的なものでした。それまでのエゥーゴやマフティーなどの組織はテロというよりも国家転覆まで視野に入れた、反政府運動の延長でしたし、それ以外のガンダムシリーズの敵組織はだいたいコロニー国家かそれに準じるもので、基本的には一年戦争の「地球側政府」と「コロニー側新国家」の対決を描くものが通例でした。
 しかし、ガンダムWの5人の使命は、あくまでもOZという組織の壊滅であって、国家や政府の仕組みを変えるための行動ではありませんでした。そのためガンダムは純粋に破壊活動に投入されており、国家軍VSテロリストの構図になるという点が斬新であったと言えます。この作品が放映されたのは90年代後半ですが、実際に2000年代になるとISなどの対テロ戦争が主流になっていき、ある意味世界情勢を先取りしたような世界観でした。

 ただ、今回改めて見直したことによって、この作品には更に斬新な点があったことに気づきました。それが、モビルドールの存在です。ガンダムWといえば中盤以降、モビルドールが投入されガンダムの優位性が薄れ、主人公たちが非常に苦戦する姿が印象的に描かれており、インパクトが大きいものでしたが、これは単に無人機だから凄いというだけの舞台装置ではなかったことに気づきました。
 というのも、このモビルドールの採用に反対し、その後OZ総帥を退いて軟禁状態に置かれるトレーズは、何故モビルドールを良く思わなかったか、ということなんです。作中の言動や行動だけを見ると、単に「機械が戦争するなんて無粋、人間同士が戦ってこその戦争」という美学を主張しただけのように見えますが、これはあくまでも建前の言動であって、本心はそこではなかったと思うんです。
 OZの主力兵器をモビルドールにするというのはどういうことか。それはつまり、「人間の兵士は不要になる」ということです。実際、モビルドールの採用以降、登場する有人パイロットはモビルドールのコントロール担当の少数で、他に登場した兵士は輸送機のクルーたちくらいでした。モビルドールの採用というのは、「既存のMSパイロットのリストラ」を意味するわけです。トレーズは、これに反対したと言えます。彼はあくまでも、OZのパイロットたちの味方だったということです。そんなトレーズが、たった一人でリーオーに乗って現れ、モビルドールに単機で攻撃を仕掛けて撃破し、ロームフェラの偉い人たちに大見得をきれば、そりゃ大半の兵士はトレーズの味方をするでしょう。中盤に描かれるロームフェラ派モビルドールVSトレーズ派モビルスーツの内乱は、これにより生じたものと言えます。簡単に言えば、モビルドールによりリストラされることになった兵士たちの叛乱であったということです。
 これは、今後起きるかもしれない「AI採用による社員の大量リストラ」さえ予見していることになり、どんだけ斬新だったんだよこの作品と思ったというわけです。実際、無人機が登場する作品はガンダムに限らずいくつかありますが、「無人機とそれにより仕事を奪われる有人機パイロットの戦争」を描いた作品はほとんどないんじゃないかと思います。

 ただ、これが主題ではないのがガンダムWの難しさで、あくまでも主人公は5人のガンダムパイロットだったんですよね。だからこのようなOZ側の内乱はさらっと流され、ガンダムがその時々でトレーズ側と戦ったりロームフェラ側と戦ったりするので、全然その世界情勢が頭に入ってこないという作品になっていたのかなと思います。結局この作品はキャラの魅力とメカのケレン味で受けたようなものなので、それは正解ではあったんですが。
 その5人のパイロットにしても、テロリストとして投入されたにもかかわらず、その主であるコロニー側がOZの懐柔を受け入れ、方針が変わってしまったことから、完全に用済みになってしまいます。その後、どのようにして生きていくかを自分たちで決めていくのが一つの物語になっているわけですが、ある意味ではこの5人の主人公たちも「リストラされたパイロット」にあたり、基本的にはガンダムWの主題は「不要になったパイロットたちの戦い」であったのかなぁと思います。完全平和はどうすれば達成できるか、というのも主題ではなかったのかなと。このあたりはエンドレスワルツにもちゃんと受け継がれていて、五飛が仕事を奪われたパイロットの代弁者としてヒイロと戦っていますね。

 トレーズという人物は、おそらく兵士が兵士になると決めた動機、つまり戦争に自らを投げ出す崇高な犠牲心を大切にしたかったんじゃないのかなぁと思います。単に兵士思いというだけなら、彼らの今後の暮らしを保障すればいいだけで、叛乱を煽ったり、新たにホワイトファングに全面戦争を仕掛けたりしていたずらに戦死者を増やす必要はなかったはずです。そういう意味で決して「正義の味方」ではなく、あくまでも兵士を美しい死に誘う悪役であったのかなと思うのですが、なんであんなに兵に慕われていたのかリアルタイム当時は理解できず、単なるエレガントな台詞を口走るイケメンキャラくらいにしか思っていなかったのですが、今となっては、そりゃ、慕われるわなと思った次第です。というかそのエレガントな台詞がたいぶ本質を見えなくさせているような気さえしますね。
 一方で、トレーズ以外の敵役権力者はだいたい爺さんだというのも印象に残ったことの一つです(笑)。ツバロフ、デルマイユ、カーンズとその時々で爺さんが出てくるんですよね。まぁ、ガンダム関連の博士もみんな爺さんなんですが、そんな老人が世界の行く末を決めてばかりの世界にあって、トレーズやリリーナが切り込んでいくという感じが、割と今でもリアルかなぁとさえ思ってしまいますね。

 そういう世界の動きに対して、ガンダムパイロットたちの戦う理由が割と曖昧なままだったなぁという印象も受けました。最終的には、地球とコロニーの全面戦争を止めるため、ホワイトファングに戦いを挑むのですが、結局戦端は開かれてしまいます。また悲惨な戦いと言ってもコロニー側の戦力は99%モビルドールで、特別コロニー市民が困ることはなかったため、まぁ最終的にはコロニー側が生み出したホワイトファングが歴史に名を残す悪行を最小限に食い止めた(リーブラを止めた)ということにはなるんでしょうかね。コロニーのために戦闘員として送り込まれ、捨て駒にされた少年たちが、コロニーが本当に悪者になるのを身体を張って止めた、という話だったということでしょうか。
 本来はトレーズのイメージする戦争の「美しい」部分、ロームフェラ財団が享受する戦争の「儲かる」部分に対し、戦争の「悲惨な」部分を代弁する者としてゼクスやガンダムパイロットたちがいて、その「悲惨さ」をあえて見せ付けることを選んだゼクスに対しガンダムパイロットたちがそれを否定するというストーリーだったのかなぁという気がします。監督交代等のごたごたで中盤のストーリーがあまり整理されていなかったので、そういう芯が通ったストーリーにはならなかったのかもしれませんが。
 ただ世界観が非常に練りこまれているので、このような考察が可能なのかなとも思います。リメイクするだけのポテンシャルはあると思うので、もし今後ガンダム作品をリメイクするのであれば、ファースト、Zに続くのはこのWじゃないかなと考えています。世界的にも知名度が高い作品ですしね。ハリウッドリメイクもありだと思いますよ(笑)
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もう20年前という事実に困惑
>単なるエレガントな台詞を口走るイケメンキャラ

トレーズはかなり頭がよくて無人化のもたらす未来が見えていたと思うのですが、言動が特殊過ぎて視聴者はおろか、周りにも理解されづらい人物だったのかなと思います。
レディも精神が不安定になってましたし。

ガンダムWを見ていたのは子供の頃でしたが、今観直したら色々と違う見方ができそうですね。

あと、トラックバック操作に慣れていなくて誤って2回送ってしまいました、申し訳ありません。
2018/03/14 (水) 00:03:26 | URL | 白ケイ #-[ 編集 ]
Gガンの後にコレ
初ガンダムのGガンの後にこれという幼児体験、その時から今でもトレーズについてはわけわからんという意見があってみんな同じ気持ちだったんだなぁと
エンドレスワルツで大団円の後Frozen Teardropの割とひどい後日談が追加されたのは諸行無常というか世知辛いものを感じますね
2018/03/17 (土) 08:33:28 | URL | #-[ 編集 ]
閣下について、なるほどなぁなるほどなぁと唸らされました
そういう部分も見てみたかったなと思いますが、キャラクターから見ればエレガンスも本質の一つではあるので、そういう鴨の水かきみたいな部分はトレーズ的には知られなくても良かったのかもしれませんね。
(みんなは気づいてないが俺は閣下が深い考えをお持ちになってると知ってるんだ)ってことでより根強い信奉者ができそうです 笑
リメイクも大賛成です。
2018/03/19 (月) 12:53:41 | URL | ザキ #-[ 編集 ]
この感想を読んでも
ヒイロが「宇宙の心」ってのはいまだに謎っすね。
2018/03/23 (金) 13:16:11 | URL | #-[ 編集 ]
自分の中でWは前半は傑作、後半は凡作という感じでした。
前半の普通の作品とは何となく違うと思える空気感が好きで後半のチームを組んだりとか当たり前の展開に当時はガッカリとしたものです。
今見てみたら考えが変わるかもしれないですね。
2018/03/24 (土) 14:56:59 | URL | よしい #-[ 編集 ]
>白ケイさん
トラックバックありがとうございます。片方消しときました。

トレーズの思想は確かにレディも理解しきれていませんでしたので、難解すぎたのかなとは思います。
もっと上手に自分の考えを説明できる人であれば、ロームフェラの台頭を許さずに済んだのかもしれません。

>Gガンの後にコレ
Gガンの後だから許されたというところもありつつ、Gガン通してなかったらもう少し考察遊びが広まったのかなという気もしなくもありません。
Frozen Teardropは魅力がわからずノーチェックなのですが、どうもそれで良さそうな感じですね。

>ザキさん
現実にも多少胡散臭い人や変な人の方が人気を集めたりするんで、カリスマ性の高いキャラという意味ではリアルなのかもしれないですね。
レディなんかはその典型だったのかもしれません。

>宇宙の心
あれは路線変更の余地を残すための死設定ですからねぇ。まぁ「宇宙の心を体現する者」くらいの意味でしょうか。

>よしいさん
中盤みると監督クビになって当然と思うくらい話が5体のガンダムを置いてきぼりにしていくので(ヴァイエイトとメリクリウスのほうがよっぽど主役メカ)、今みると路線変更はやむなしと思いますが、
ゼロとエピオンの交換からの突如ミリアルド蜂起とそれに対するGチーム結成は、ちょっと無理矢理すぎるかなと思いました。ただ思ったほど皆さんチームで動いていないので、今みるとちょっと笑えるかもしれませんよ。
2018/03/24 (土) 21:44:17 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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「がんだまぁBlog」さんに新しい記事が掲載されていたので読んでいたら思わず唸ってしまいました。トラックバック機能って使ったことなかったのですが、折角なのでご紹介。 がんだ...
2018/03/13(火) 23:43:29 | 今日も他人事
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