がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
文字設定の系譜を整理する
 宇宙世紀の設定も、IF作品やリメイクなどが増えてきましたが、昔からガンダムの設定は「上塗り」と「整合性の整理」の繰り返しでした。その結果、切り捨てられた設定や矛盾する並行した設定などもあるのですが、何故そのように設定が変化してきたのか、そのあたりを整理してみたいと思います。
 といっても昔のことについて詳しい方はもっと多くいるでしょうし、細かいことを言うときりがない部分もあるので、ざっくりでいきたいと思います。

 ちなみに大きく分けると、年代としては「MSV以前」「MSV」「Z~ZZ」「バンダイ設定」「MG以降」「サンライズ公式化」という感じに分けられると思います。たぶん。


○ファーストガンダム制作時の設定
 まぁ、全ての原点はここにあるのは間違いないですね。アニメを作る際に作られた設定、これがベースになっているのは間違いありません。ただ、ここですべてが決まっていたわけではなく、後からよりリアルにするために、あるいは後続作品との整合性を取るために変更された設定も多くあります。

○アニメ雑誌や制作スタッフによる後付設定
 アニメ制作時に未設定だったもので、アニメ雑誌のインタビューや企画の中で決まっていった設定というのもあります。当時はアニメの制作会社と雑誌の距離は非常に近く、ある意味一緒に作っていたような部分もあったからこその背景です。有名なものでは、ガンダムの形式番号「RX-78」なんかがそうですね。アニメでは「ガンダーX78」という名称でした。
 また、「スタジオぬえ」のメンバー等が作った同人誌と、それを発展させて書籍化した「ガンダム・センチュリー」による世界観は、ミノフスキー物理学関連の設定、MSの開発史等に大きな影響を与えています。ただこれも、完全に公式化したわけではなく、現在の公式設定のベースとなったもの、と認識すべきでしょうね。

○MSV
 上述の少しずつ固まっていたガンダムの設定まわりを、一気に固めたのがガンプラの企画「MSV」です。元々は、ガンプラブームによってあらゆるメカニックがプラモ化され尽し、もうプラモ化するものがなくなった段階で、じゃあ新たなMSを作っちゃおうぜということで始まった企画です。
 その中で、「ガンダム・センチュリー」内で設定された新たなMSや、各種ムック本等の企画の中で大河原氏が書き下ろしていたオリジナルのMS、本編に登場しなかった没設定や小説版の独自設定なども全て取り込み、小田雅弘氏が形にしたのが、基本的なMSV設定だと思います。ほぼ一人で編纂されているので、MSVの記述は割と整合性が高く、現在でも多くの記述が引き継がれています。ただZ以降の設定と矛盾する部分があることや、設定の記述が複数の媒体に散在していて統合した資料がないことにより、その全貌を把握するのが困難となっています。(だからこのサイトを作りました)
 なおMSVの企画は、主に講談社主導で行われていたため、後にバンダイが設定を整理した後も講談社側がMSV当時の資料をベースにムック本を作ったりして、色々な齟齬が生じた時期もありましたね。
 この後、MSVすらも弾切れになったのでMS-Xという新しい企画が立ち上がりましたが、Zガンダム放映決定により中止されたため、その設定はほとんど公開されていません。

○Zガンダム~ガンダムZZ
 いよいよガンダムビジネスを継続するためには、新しいアニメ作品を作るしかない、ということで企画されたZガンダムですが、ここで問題になったのが、ファースト後に統合・整理されたMSVという設定は「富野監督が全く関知していない」ということでした。そのため、当然ながら富野監督が主導して作ったZガンダムの世界観は、MSVで作られた設定をほとんど無視していました。ゲストでMSVの機体がアニメに登場したりはしていましたが、そこに設定はなくただモブMSとして登場しただけに過ぎません。
 一番大きかったのは、ファーストガンダムにおける戦争を「一年戦争」としたことで、これによりMSVまでの年表は完全になかったことになりました。また、コロニーの各サイドの位置が全く変更されており、未だにこの矛盾の収拾は完全にはついていなかったりします。
 Zガンダムの続編たるガンダムZZにおいては、旧ジオンのMSが多数登場したものの、かつてのMSVとは別のデザインが描き起こされ、なるべく過去の設定には抵触しないように作られていました。

○ガンダム・センチネル
 そんな旧MSV設定を完全に無視して作られたZ~ZZの世界観に業を煮やし、旧MSVファンを中心にもう一度ガンダムの世界設定を再構築しようというムーブメントを起こしたのが、モデルグラフィックス誌によるガンダム・センチネルでした。当時主にプラモ雑誌において、Z~ZZに登場したMSに「勝手に」MSV風の設定を追加したりオリジナルMSを作ったりするのが常態化しており、収拾が付かない状況になっていました。そこで、どうせやるなら「ちゃんと」MSV的な企画をやろうぜということで始まったのがセンチネルと言ってよいと思います。
 この企画は、ちょうどZZ後の商品展開をどうしようか迷っていたバンダイに拾われ、公式MSV化する予定だったのですが、「逆襲のシャア」制作決定により途中で頓挫し、以後権利関係等でしばらく揉めることになってしまいました(苦笑)。

○バンダイによる大幅な設定整理
 「逆シャア」の前後くらいだと思うのですが、ガンダムの版権が富野監督からサンライズに移った時期がありました。その後、サンライズはバンダイとより密接な関係となり(子会社化するのはもう少し先の話)、バンダイはガンダムの設定の大幅な整理を行おうとしました。「0080」のリファインされたMSは、本来は新たなリメイクデザインを目指していたようなのですが、これは既存の(当時も販売中だった)プラモのデザインを否定することにもなるからか、別バリエーションにするということで落ち着いたようです。
 ただ、設定を整理する意図は明確にあったようで、「逆シャア」の時期以降にバンダイが関わった各種ガンダムの資料本は、MSV当時の設定をベースにしつつ、年表を中心に細かい設定が変更されていました。特に「戦略戦術大図鑑」はギレンの野望シリーズのベースになったことでも知られていますが、これは事実上のリメイク版ガンダム・センチュリーと言っても良いものでした。
 また、バンダイが主導して作られた設定であるZ-MSV・ZZ-MSV・CCA-MSVそしてM-MSVといった企画は、センチネルや0080との整合性すら怪しい内容になっており、今でも扱いに苦慮している側面があります(その大半がリメイクされて公式化しましたが)。

○ガンダム0083によるガンダム・センチュリーの一部公式化
 ガンダム・センチネルのスタッフが多く関わり、メカデザインにおいてもその延長上となっているOVA「ガンダム0083」では、コロニー落としの詳細など、多くの「ガンダム・センチュリー~センチネル」発の設定を使用していました。これにより、それまでは単なる「ムック本の独自設定」だったものが、「アニメ制作上の公式設定」となり、事実上サンライズ公式設定に組み込まれることになったと言えます。それは同時に、バンダイが独自に作っていた「戦略戦術大図鑑」等の設定とは一部整合性が取れなくなる設定を生み出してしまいます。

○MGシリーズの開始
 ガンダム15周年を期に、バンダイは新たなガンプラのシリーズ「マスターグレード」をスタートします。これは、MSV世代のガンダムファンを主にターゲットにした企画であったため、そのデザインはMSVを強く意識したものになっており、同時にキット説明書に描かれる解説文も、当時のMSVを意識した内容になっていました。それだけでなく、MSV以後に作られた設定を整理・統合する意味も含まれており、インターネット網が整備された時期とも重なったため、かつてのファンたちが独自に同人活動等で設定の編纂を始めだしました。

○08小隊とゲームオリジナルMS
 そんな旧設定の再評価が始まりだした矢先、新たなOVA「第08MS小隊」が、既存のMSV設定などガン無視した世界観で始まり、ガンダム設定をさらに混沌に陥れました。これに連動してブルーディスティニーなどのゲームオリジナルMSが独自に作られるようになるなど、さらに収拾がつかなくなっていきます。この頃は新しいゲームのハードが出るたびに新たな一年戦争のゲームが作られるような時代だったので、その度にオリジナルの設定が増えていったような印象もありますね。

○サンライズによる設定の整理
 公式サイドも一年戦争の外伝の難しさを感じるようになってきたようで、段々「新設定を作る」ことよりも「古い設定を掘り起こしてリメイク」という方向性にシフトしていきました。そうなると古い設定を知ってる人じゃないと制作できないということになったのか、同人活動に関わる人が直接公式サイドの制作に関わることが増えるようになっていきました。
 その中で、詳細は良くわからないのですが、サンライズ内でガンダムの設定を整理する動きがあったようで、ある時期からプラモの解説文の文章量が減り、また資料間の相互の矛盾が減るようになりました。以後版権元であるサンライズの中では、「これが公式」というラインがある程度明確になったように思います。また新たにガンダム関連企画が立ち上がる際も、基本的には「サンライズチェック」なるものが入り、設定面での整合性が図られるようになったようです。

○そしてジ・オリジンへ
 とはいえ、今後も一年戦争をベースとした作品を作るには、もう隙間がほとんど残っていないということもあり、ここ最近は「サンダーボルト」や「ジ・オリジン」などそもそもファーストガンダム当時の設定に準拠しない世界観の作品がメインになってきました。いちいち新作を作るたびに設定の整合性を考えるのも大変でしょうから、これはこれで正しい判断なのかなと思います。
 おそらく今後は、「ジ・オリジン」をベースとした新しい一年戦争の設定が作られていくのだと思います。古い設定を一部改変して取り込む「MSD」はその一環でしょう。「ジ・オリジン」も漫画版当時の設定とアニメ版では割と大きく変更されていますが、これは今後のことを考えてのことなんだろうなと思います。


 こうして見ると、ガンダムの設定は大まかに言うと「MSV」で一年戦争までの設定が一旦整理されており、その後「センチネル~0083(カトキ設定)」とZ-MSVからM-MSV等も含む「バンダイ設定」に分裂した後、MGキットインストや同人活動を経てサンライズが平定した、という流れになるのではないかと思います。この現在のサンライズ公式設定というのがどういうものか良く分からないため、何らかの形でムック本とかにしてくれないかなぁとか思ってしまいますね。
 ただサンライズ設定というのは、あくまでも「サンライズに版権がある部分」に付随するものだと思うので、例えばMSV関連で講談社が権利を持っていた部分とか、小説版関連で角川が権利を持っている部分とか、そういう権利的な壁があって整理し切れていない部分もあるんだろうなと思います。Hi-νガンダムやΞガンダムが一旦デザインを描き直されているのは、多分リメイク後のデザインについてのみサンライズの版権が及ぶとか、そういう背景があるんだと思いますね。まだ著作権について曖昧だった時代に乱立したガンダム商品は結構あるので、その辺の業の深さに踏み入れるくらいなら、リメイクしてしまった方が楽なのは間違いないだろうなと思います。

 個人的には、「オリジンの後」はどうするんだろうなと思います。Zガンダムをリメイクするのか、全然違う作品にするのか…正直その頃にはもう富野監督らファースト関係者が存命かどうかも危うい年代だと思うので、あとは次の時代を担うスタッフたちがどういう商品展開を企画するかに拠るんでしょうけどね。
 未だバンダイの経営を支えているガンダムですから、当分終わることはないと思います。少なくとも、自分の寿命が尽きるまでは十分楽しめるんじゃないかという気がしますので、ほんと、富野監督はすごい世界観を作ったよなぁと思います。


 つーか今回まとめたトピックごとに各種関係者にインタビューして本にしたら凄い濃い内容になりそうですね。ガンダム40周年でやりませんか?(笑)
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今まですっかり手付かずだった宇宙世紀後期、F91以降の開拓に関してはバンダイも少なからず意識しているように思います。
トワイライトアクシズでもF91絡みの設定を使ってますし、クロスボーンDUSTで未開の地であったUC0160年代を切り拓いてますしね。

真っ白のはずなのにあまり書く人がいないのは、やはりジオンがいないと筋が通らない、空白すぎて逆に書き辛いのでしょうかね?
2018/02/15 (木) 07:41:12 | URL | #-[ 編集 ]
ダムAの方でも一年戦争物はきついと
考えているのか最近では0088~0093の
zzと逆シャアの間を埋める作品
(ジョニ帰、moon,ヴァルプルギス)が増えてきましたね。
今まであまり描写されて来なかった
時期というだけでなくキマイラ隊周りの設定を掘り下げる、ムーンムーン、
シロッコのルーツなど今まであまり公式
では扱ってこなかったテーマを取り上げているのでやっぱりダムAも作品の個性を打ち出すことは大事にしてるんでしょうね。

2018/02/18 (日) 21:50:51 | URL | ジム4 #-[ 編集 ]
>名無しさん
やっぱり1年戦争から遠くなりすぎると、宇宙世紀が舞台であるという必然が薄くなってしまうんだろうなと思います。
だからVの後は宇宙世紀ではなくなったんでしょうしね。
個人的には、戦後80年に合わせて0159年の話とかやっても面白いと思うんですけどね。

>ジム4さん
UCのヒットで、一年戦争じゃなくても宇宙世紀で商売できると気づいたので、Z以降の時代の作品が増えてきましたね。
ただ作品のクオリティがあまり高くなくて、アンソロジーが粗製乱造されまくっていた90年代前半と同じような状況になってしまっているんじゃないかとも感じてしまいます。
2018/03/03 (土) 22:00:07 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
遅いコメントですけど・・・

半ば思いつきですけど、サンライズは「公式設定」という考えそのものを無くす方向に向かっているじゃないですかね?
社内的な「公式」はともかく、社外・ユーザー向けには「公式設定」みたいな銘打っている事ははしない様にしているような・・・。
ユーザー側からも、最近は公式設定を意識しないで楽しまれている方が多いよう気もしますし(敢て言うなら、「公式設定」からの脱却?)

単なる公式設定疲れがたまりにたまった結果な気はしますけど(笑

いや、最近考えていた事と微妙に重なったネタだったので、つい書き込んでしましました。
それでは失礼します。
2018/03/21 (水) 21:57:52 | URL | トロント #-[ 編集 ]
基本的には、「公式設定」にとらわれない方向性ではあるんだろうなと思います。
ただそれは一年戦争に限っての話で、Z~UCの時代は新設定をガンガン作ってますので、むしろこっちはミッシングリンクを埋めて何が公式かを確定させる気満々なのかなと思います。
いつのまにかドワスが公式化されていてびっくりしました。
2018/03/24 (土) 21:34:57 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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