がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
月初のガンダム以外の話「欧米は保護主義に進んでいるか」
 たまには真面目な話を。本当は年始あたりに書こうと思っていたネタです。

 イギリスのEU離脱とか、アメリカのトランプ大統領就任などで、昨年から欧米は保護主義、つまり反グローバリズム、反移民政策に傾いていると説明されることが増えてきました。そしてそれは国粋主義、ナショナリズムの方向に進んでいるとも言われます。それぞれの国により事情はやや違うものの、移民・難民に対して批判的な世論が形成されているようであると感じられることは確かにあります。そこに共通する背景について、自分なりに少し考えてみました。


 イギリスとアメリカに共通しているのは、国民の投票が難民政策にNOを突きつける結果になっているということです。アメリカに関してはそれだけではありませんが、一般市民が外国人の流入に拒否感を抱いていることは大きく報道されていました。
 難民の受け入れという行為は、人道的には「正しい」行為です。しかし、それは受け入れるという判断をする為政者側にとっての正しさであり、実際に難民と一緒に生活することになる一般市民にとっては、国籍も価値観も全く違う人間が急に隣人になるという、大きなストレスを伴う、「我慢」を強いられる行為になります。
 個人的には、この為政者と一般市民のギャップが共通する最大の問題ではないかと思っています。つまり、政治的に「正しい」とされる行為の、負の側面を一般市民が背負わされているということです。これはアメリカのケースにおいては、難民問題だけでなく様々な側面で発生していることなのだと思います。

 例えて言うならば、行政が新しい道路を作ろうとすれば、その道路の予定地にあたる土地は全て買収する必要があり、そこに住んでいる人に立ち退いてもらわなければなりません。いくらその道路ができれば便利になると言われても、いきなり今いる家から引っ越せと言われてすぐにYESと言える人は、そう多くありません。だからこの手の用地買収交渉には、非常に多くの時間がかかります。しかし、アメリカではこれを「みんなのためなら立ち退くのが当然、今すぐ立ち去れ!」とマスコミやセレブが主張しているような状況なのかなというように見えました。それに対して、立ち退く側の人たちが「お前らいい加減にせいや」と言ってトランプに投票したようなイメージを抱いています。
 つまり、新しい道路を作るという「理念」に反対しているわけではなく、それを「立ち退くのが当然の判断」として交渉の余地を設けず、個人の都合や感情を圧殺しているという「姿勢」に反旗を翻した人がたくさんいたんじゃないかな、と思うのです。しかし、反旗を翻された側の人たちは、相変わらず「理念」に固執しており、正しい目的のためなのに何故いけないんだ、と言っているのが、「分断」と言われるものの正体なのかなと感じます。

 難民政策を支持するような、リベラル志向の強い集団の傾向として、「理念が正しければ手段は問わない」という考え方をしがちであるように感じています。何よりも理念の正しさが大事で、これが異なる相手はどんな人間であっても敵と認定する傾向があります。特に逆の考え方をする人間に対しては、攻撃を惜しみません。
 しかし、実際には正しい理念に基づくことほど、より労力がかかるものです。道路を作るための交渉が大変であるように、「みんなのため」に行う事業というのは、「みんなに平等に我慢を強いる」ことであり、それを理解してもらうには、それなりのプロセスが必要になります。それがどうも、そのプロセスをすっ飛ばして、「我慢をするのは人間として当然」とばかりに社会正義を押し付けるような考え方が横行してきているんじゃないかと思います。それはまるで、「欲しがるません勝つまでは」とか言っていた戦時中のどこかの国のようです。本来正義というのは、行使する側がその実行に多大な労力を要するものであり、行使される側が自発的に受け入れるものではないはずなのです。
 正しいことを主張するのは簡単なのですが、それを実行するのは難しいものです。効率良く、かつたくさん勉強すれば東大に入れるでしょうが、実際にそれをできる人間はそう多くありません。しかし実行する辛さを知らず、かつ実行に関わることのない人たちの声が世論を動かしすぎた結果、実際に実行している人たちを怒らせてしまったんじゃないか、というように感じています。

 移民反発の声が強くなったのは、行き過ぎたグローバリゼーションへの反発であるという説明も目にしました。実際、「繋げる」ことを仕事としている人たちが活躍すると、色々なグローバル化が起きると思うのですが、それに対応しなければならないのは繋げた先にいる人たちです。
 なんというか、「営業が現場の都合を考えずにバンバン仕事取ってくるせいで現場がパンクして大惨事」みたいなのが、全世界レベルで起きた結果なのかなぁと思います。インターネットの発達が拍車をかけたのかもしれませんね。

 日本でそのようなことが起きるかどうか、という点では、難民受け入れの観点ではあまり起きないだろうと思います。日本は島国ですし、難民が多く出ている地域の人たちとは物理的距離も文化も違いすぎます。政府がやっている受け入れも、かなり少数の、受け入れ態勢を充実させた上でのものでしかないですしね。断っても勝手に入り込んでくる国とはわけが違います。
 「現場の都合を省みない無責任な正義の実行」という観点でも、日本の場合正しいかどうかは理念が決めることではなく同調圧力の強さが決めることなので、あまり起き得ないのかなぁと思います。そういう意味で、EUやアメリカで起きている問題が日本人にはあまりピンと来ないのだろうなと。
 ただネット上では声の大きい人が目立つ分、声高らかに自分の正義が世界の正義だとして悪と認定した人間を攻撃する風潮は存在しているようですね。とはいえ日本の場合は正義を主張することよりも悪を攻撃することに主眼が置かれていて、欧米とは少し違うように感じます。

 おそらく、欧米で「正しいこと」が強く重要視されるのは、キリスト教等の一神教の文化があるなんじゃないかなと個人的には思います。一神教は、自分たちが信じる神だけが正しく、他の宗教の神は全て異端と考えるので、正義は自分たちにしかないんですよね。それが、多民族化が進んでくると国内に他の宗教の人が増えてきて、それらを宗教上の理由で差別するのは良くないという社会になってきた時に、宗教に代わる新しい一神教として生まれてたのがポリティカル・コレクトネスってやつだったのかなぁと。
 ガンダムUC(特に小説版)では人類がキリスト教優位の歴史から移行したからこそ、A.D.からU.C.になったという言い方をしていましたが、そういう意味ではこの世界はすでにユニバーサルセンチュリーに向かいつつあると言えるのかもしれません。ただ、宗教の代わりに生まれたものが新しい排他的思想だったのでは意味がありませんね。ある意味、今世界で起きていることはそんな一年戦争の後のティターンズ台頭あたりだったりするのかもしれません。

 個人的には、とにかく正義には実行の責任が伴うってことなんだろうと思っています。正義のツケを一般市民に払わせていては、社会は成り立たないわけで、権力や財力を持っている人たちが、めんどくさい事は下っ端に全部任せればいいという考え方をしていてはだめなんだと、もう少し気づいてほしいものですね。
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ご無沙汰しております
アバオアクーでF型ザクを押し出したS型ザク
犠牲にしたのは果たしてどちらだったのだろう
2017/05/04 (木) 20:58:20 | URL | カズラキー #-[ 編集 ]
まぁ部下を盾にするような行動は、その場しのぎにはなっても生き残るための力にはならんかなぁということですかね。
2017/05/11 (木) 23:03:16 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
現実社会の鏡
「地球環境と人類文明の発展の為には宇宙移民という我慢を受け入れて当然」というポリティカルコレクトネスによって分断された(あるいは、そう煽動して分断した)のが、宇宙世紀とは言えないでしょうか。
2017/06/29 (木) 05:50:00 | URL | ゴミ #eYj5zAx6[ 編集 ]
宇宙世紀には「絶対民主制」という言葉がありますが、
何がどう「絶対」で絶対民主制が何故官僚の腐敗を産むのか
というのは今一つ良くわかっていませんでしたが、成程。
2017/06/30 (金) 22:59:32 | URL | #cRy4jAvc[ 編集 ]
>ゴミさん
そういう意識の高い人の末裔と考えた方が、ジオニズムにつながりそうな気はしますね。
宇宙世紀ものではなくても、そういうポリコレ的世界観を反映したガンダムは見てみたい気もします。ただその概念自体が欧米中心なので、そのガンダムを作るのは日本人じゃないかもしれませんが。

>cRy4jAvcさん
絶対民主制=ポリコレ的民主制ってことですかね。
ポリコレがキリスト教に代わる社会正義になっている側面はあるので、そういう意味では西暦から脱却した世界の価値観の中心に一番近いのがポリコレって考えはできるかもしれませんね、少なくとも現時点においては。
2017/07/09 (日) 13:22:35 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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