がんだまぁBlog
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「キャリアとノンキャリア」的視点でティターンズを考える
 ティターンズはよく「エリート部隊」と言われますが、果たしてどのあたりがエリートなんだろうか、と思い始めたことからの考察です。だって、作中のティターンズの人たち、どうみてもエリート軍人に見えません(笑)。
 「キャリアとノンキャリア」というのは、いわゆる官僚用語であり、主に国家公務員のI種とII種(今は総合職と一般職になってるそうで)の区別を意味するんですが、今回の話では、「エリート層の中での主流派と非主流派」みたいな意味に捉えていただければと思います。軍人においても、幹部候補かそうでないかで扱いや出世速度に差があったりしますが、地球連邦軍の軍制ははっきりしていないので、そこにはあまり踏み込まないつもりでいます。



 何が言いたいかというと、ティターンズって決して地球連邦軍における主流派ではないのではないか、ということです。というのも、後から編入されたティターンズの有力者、ライラやらシロッコやらヤザンやら、あるいはニュータイプ研究所関係者もそうですが、この辺の人たちがとても連邦軍内のメインストリームとは思えないんですよね。どちらかというと、鼻つまみ者をかき集めている印象があります。
 そしてそもそも、バスクもジャマイカンも、決して連邦軍内での立場が大きい人間には見えないんですよ。指揮官として優秀とは言い難い行動や言動を取っていますし、元々権威を持っていなかった人間が、権威を持って初めて増長したような印象があります。またジャミトフも、政治力は高いものの、0083当時の主流派だったコーウェン中将系の一派を謀略により貶めて初めてのし上がった演出をされていたことから、元から高い権限を持っていたわけではないと考えることができます。

 つまり、ティターンズというのは、そもそも「連邦軍内の非主流派」が、特殊な政治力を使って特権階級を作り、無理矢理主流派を上回る権限を得た存在なんじゃないか、と思い当たったのです。そう考えると、作中の粗暴な行動も理解できますし、瓦解した途端逆賊扱いされて連邦軍内でなかったことであるかのようにされているのもしっくり来ます。
 ティターンズが特権階級となり得たのは、「アースノイドであること」という条件をつけたことと、大義として「ジオンの残党狩り特化部隊」という名目があったことが大きな要因でしょう。

 特にアースノイドであること、という理由は大きかったのかなと思います。ジオン公国が戦争を引き起こしたことにより、スペースノイド自体への反感は強まっていました。しかし、連邦軍内にもスペースノイドはいたはずです。また一年戦争により、民間人以上に多くの軍人が死んでいるはずであり、配置転換は頻繁に起きているであろうことから、おそらく一年戦争後半からは、地球の部隊だからアースノイド中心、宇宙の部隊だからスペースノイド中心というような編成にはなっていなかったのではないかと思います。そのため、軍内においても、「アースノイドへの反感が強まっていながら、それを表に出すと軍の存続が危うい」という状況であったと推察できます。そこで、もし「アースノイドに特化した専門部隊」ができたらどうなるか。そこの部隊が、「部隊としての特権」と称して「スペースノイドへの反感」をナチュラルに表に出すことができるようになるわけです。
 だから、アースノイドの連邦軍幹部に、「アースノイド中心の特殊部隊を作る」という提案をしたら、そりゃ歓迎されるだろうなと思うわけです。思っていても態度に出しづらい事を、彼らが実行してくれるわけですからね。
 そのため、ティターンズの設立は、一年戦争をきっかけに表面化した、軍内部のぎくしゃくとした人種問題を、強制的に整理したような人事であったとも言えるのです。

 もう一つが、もっと単純な理由として、ジオンの残党狩りという任務は、非常に危険でやりたくない仕事であったということが挙げられます。もし、あるエリアにジオン残党の基地があったとしたら、それはそのエリアを管轄する部隊が対処しなければなりません。しかしジオン残党との戦闘は、終戦後の世界においては(その後もゲリラ戦、紛争が続いている地域は別として)唯一ガチの戦闘が発生する任務です。そのため、危険度が最も高いわけです。「0083」においても、トリントン基地が襲撃された後、ジオン残党を追撃するために急遽残存兵力でチームを組みましたが、基地のナンバー2であるアレン中尉が戦死してしまいました。
 しかし、もしジオン残党の基地が発見されたら、自分たちの代わりに対処してくれる専門部隊があるとしたら、それは既存の軍人にとってはとてもありがたいことです。面倒な任務は全部やってくれるということですからね。だから、歓迎されたという側面があるでしょう。
 逆に言えば、自ら進んでそんな部隊に入りたいという人は、一年戦争でもまだ戦い足りない戦闘狂やら、ジオンに深い恨みがある人物に限られてしまいます。真のエリート層(現場に出ないボンボンタイプ)なんかは、絶対に行きたくない部隊でしょう。管轄エリアに縛られないということは、安定した生活も望めないということですからね。だからこそ、「一階級上の特権」やら「選ばれた優秀なアースノイド」という肩書きで、ジェリドやエマのようなまだ実戦に出たことがない軍人が配備されたりしたのでしょう。若手や派遣のSEを高給をエサに最前線に投入するようなものですね。

 このように考えると、ティターンズはいわば「一年戦争の負の遺産を一手に背負う代わりに、特別な地位を与えられた」部隊であったと言えます。そしてジャミトフは、この部隊を利用して自分の地位を上げていったと考えられます。つまり、汚れ仕事を請け負う代わりに、政治力を高めて「本当に軍を支配しているエリート層」を出し抜こうとしていたのではないかということです。実際、ジャミトフがやろうとしていたことは、ティターンズを連邦正規軍の上位に位置させ、全軍をティターンズの指揮下に置くことでした。これはダカールでクワトロが乱入したことでうやむやにできましたが、これが実行されていれば、ティターンズの総帥=連邦軍の最高権力者ということになり、ジャミトフが連邦軍の頂点に立っていたことになります。それは、他の連邦軍の幹部にとっては、好ましいことではなかったはずです。
 だとすると、エゥーゴの本当の目的も見えてきます。反ティターンズやスペースノイドの保護は建前であって、実際は「ジャミトフが連邦軍のトップに立つことを防ぐこと」であり、完全に連邦軍内部の権力闘争の一環であったということです。
 ジャミトフがトップに立ったら困る立場にいる軍幹部が、ジャミトフを駆逐するためにエゥーゴを作ったのです。そしてその結果、連邦軍が進んだ道がアナハイムとの癒着だったことを考えると、反ジャミトフの一派というのはアナハイムの一派であり、かつてガンダム開発計画を推進した一派ということになります。そしてアナハイムがビスト財団の傘下にあったことを考えると、エゥーゴを動かしていたのはビスト財団の一派であったとも言うことができるわけです。
 逆に言えば、ジャミトフはビスト財団に反旗を翻していたようなものなのですが、そこまで知って行動していたかはなんとも言えません(当時そんな設定がなかったから当たり前なんですが)。もしそこまで計算していたのだとしたら、そのジャミトフを暗殺したシロッコさえビスト財団の息がかかっている可能性があったりするのですが、まぁそこまで考えると別の考察になるので今回は踏み込みません。

 おそらく、一年戦争が起きるまでは、地球連邦軍というのは非常に硬直化した、利権にまみれた官僚的組織であったのだと思います。なにしろそれまでまともな実戦をやったことがなかったはずですから、その存在理由は現代の軍隊よりも更に本来の存在意義より利権団体としての側面が強かったはずです。しかし一年戦争が勃発し、実戦を行った結果、実戦を生き抜いて結果を出した人間が強い発言力を持った組織にならざるを得なかったと思われ、既存の利害関係は大きく崩れたと考えられます。もしかしたら、そんな中で新たに生まれた利害関係が、月企業連合体=アナハイムを中心とした宇宙の非ジオン勢力との関係だったのかもしれません。一年戦争を契機にそれらと軍との関係が強まり、そこに危機感を抱いた既存の利害関係者を利用して、ジャミトフがのし上がったとも言えます。結果的には、ジャミトフもろとも既存の利害関係をある程度一掃した結果、軍とアナハイムの蜜月関係が始まったとも言えます(サナリィが台頭するまで)。

 きっとジャミトフは、新しい利権に群がる軍幹部も、既存の利権にしがみつく軍幹部も、同時に軽蔑していたのでしょう。だから、古い利権を利用するだけ利用して、新しい利権と戦わせることで、双方を共倒れさせようとしていたのかなと思います。それが、戦争を起こして経済を疲弊させ、地球に残った人類を死滅させるという考えに繋がっていったのかなと。どちらの利権も滅ぼすまで戦乱を起こしてやろうというのが、ジャミトフの真の目的だったりしたのかもしれません。

 いずれにせよ、ティターンズというのは、連邦軍内において、主流派ではなかった人たちを集めて、主流派を潰すためにジャミトフが作った組織だったんじゃないかな、と思わずにはいられません。
 それに対抗しようとしたエゥーゴは、どちらかというとアースノイドの地球至上主義の方に強く反発していました。ジャミトフがティターンズを作った建前の方に反応していたものの、真の目的の方まではイメージできていなかったように見えます。もしかしたら、ブレックス准将含め、エゥーゴ自体がティターンズを潰すための捨て駒に近い存在だったのかもしれません。ジャミトフさえ抹殺できれば、他のティターンズの人間はたいした政治力を持っていないので、どうとでもなったでしょうからね。ただティターンズと戦うのがジオン残党組織だったとしたら、ティターンズの必要性をより高めてしまうことになるので、ジオン残党以外の反連邦組織が必要だったのでしょう。もしかしたら、ティターンズはエゥーゴが倒し、そのエゥーゴは別の部隊が倒すことで、連邦軍の秩序を取り戻す算段だったりしたのかもしれません。本来は、シロッコがその役目を負うはずだったりしたんでしょうかね。そもそもアクシズが出てきちゃったりして、色々ぐちゃぐちゃになってしまいましたが。
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おはようございます。

ライラは、ティターンズを嫌っていたように見えますけど、
ティターンズが悪い事をしてたという話を信じようとはしなくて、
バスクをかばっているみたいでしたから、
情報操作で、ティターンズが正義だと思っていたみたいです。
2016/09/18 (日) 10:14:43 | URL | サディア・ラボン #-[ 編集 ]
キンバライト基地やアフリカ戦線、ロンメルなど残党だらけで魔窟化したアフリカをなんで連邦軍はほっぽっていたんだという疑問が解決したような気がします。
0083でアルビオンがガトーを探すのに四苦八苦したり、計略でやっと見つけたと思ったら危機一髪だったりと「窮鼠猫を噛む」で対応が難しかったんだなと。
ガンダムUC4話でグレイファントムから残党が発進していくのも、討伐部隊が返り討ちにされて奪われたという塩梅でしょうか(…しかし使っていたのはマラサイ…持ち逃げ?)。アルビオンも一歩間違えていれば同じ運命を辿っていたかもしれませんし、ロンメルも対峙したのが最新鋭機(とNT)と相手があまりにも悪すぎただけで普通のジムタイプなら返り討ちにしていそうです。

考えてみると残党退治って得るものがないうえに(せいぜい昇進…も難しそう)取り逃がしたら、玉砕覚悟のリベンジで0083のトリントン基地みたいな大打撃(たしか基地司令官が戦死しましたよね)を受けかけない…と割に合わなさすぎるから見て見ぬふりするしかなかったというのが真相なのでしょうか。むしろトリントン基地の事件で完全に「ハチの巣退治」みたいなイヤな仕事扱いになったところを、「とある特殊部隊」がわざわざ買って出てくれるとなれば…賛成しない理由はないですよね。
その一方でエゥーゴには残党も絡んでいたという話もあるみたいなのでこのあたり一体どういう背景があったのか気になる次第です(たとえば足抜けしたい奴を無罪や鞍替えさせる条件で協力させたとかなんとか…)。
2016/09/19 (月) 19:56:18 | URL | オタマ・ジャクシー #wr80fq92[ 編集 ]
「人が嫌がる危険な任務を進んでやる代わりの特権階級」という概念は、進んで戦場に出て平民のために命を散らす(ことと引き換えに特権を享受する)貴族制度、ひいてはコスモ貴族主義にも通じるものがあるような気がしますね。
CVはアースノイドではなくスペースノイドのための組織ですが、「一般市民⇔正規軍兵士」の代わりに「連邦政府⇔ジオン残党」と戦う代わりに「貴族特権を得る⇔軍内で特権を得る」という事で、鏡映しのような存在だったのかも?
2016/09/22 (木) 15:49:01 | URL | 名無し #-[ 編集 ]
そういえば「0083」で増援部隊だったモンシア達は後にティターンズに編入されましたよね。

「Z」前番組の「エルガイム」でギャブレーが外殻部隊として戦っている内にいつの間にか出世していたりしたし、ジェリドも近いパターンでしょうか。
ただ、ジャマイカンはどうなのでしょう。元々、官僚組織のメインストリームの流れに乗っかっていくタイプに見えますが成り上がりの尻馬に乗ろうとした?アポロ作戦時のシロッコに対する言動を考えれば全くの無能という訳でもないのでしょうが…。
2016/09/26 (月) 15:04:09 | URL | 巨炎 #mQop/nM.[ 編集 ]
>サディア・ラボンさん
ライラのティターンズへの態度は、正規軍から見たティターンズの印象によるものでしょうね。
階級に依存して威張るだけの奴らという認識しかなく、毒ガスを注入するほどの組織とは思っていなかったのでしょう。

>オタマ・ジャクシーさん
エゥーゴのジオン残党は、クワトロのようにMIAの連邦軍人の軍籍を得ているので、法的には連邦軍扱いですね。
そういう意味では、エゥーゴは独立義勇軍ではなくあくまで連邦軍有志として行動することに意味があったのかなという気はします。

>名無しさん
ティターンズとCVの違いは形式だけでなく精神においても高潔さを求めるかどうかですね。
いつの世も特別な力を持った人間が世の中を動かすが、それは反発を生んで淘汰されるというのが宇宙世紀の歴史というか、富野監督の歴史観なのかもしれません。

>巨炎さん
ジャマイカンはあっさりフォン・ブラウンを奪い返された上にその失態を帳消しにするためにコロニー落としをしちゃったりしているので、あんまりいいイメージはないですね。
そのうえ部下もないがしろにするので、ヤザンに叛乱を起こされて殺されてしまったという感じです。
自分は自分を優秀だと思っていても、実際はそこまでではなく、周囲もそれを知っていたというパターンかなと。
2016/10/02 (日) 21:31:55 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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