がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
「ケンプファー」「イェーガー」から考えるジオン軍のMSネーミング
 ジオンのMSの中には、「ザク」のように擬音が元ネタのものと、意味のある単語が元ネタであるものがあります。後者はだいたい非富野作品のMSなんですが、その中でも特にドイツ語のネーミングに対しては、古参のファンほど違和感を覚える傾向にあるようです。
 実際のところ、ジーク・ジオンという言葉もあるように、ジオン国内でドイツ語が使われていないわけではないと思うのですが、MSVのバリエーション機などは基本的に英語が使われる傾向が強い(マリンタイプ、デザートタイプなど)のに、0080や0083のMSになると急にドイツ語が使われるので(ツヴァイ、トローペンなど)、統一感に欠けるという側面があるのだと思います。

 その中で、特に既存MSのバリエーション機のネーミングではなく、単体のネーミングとして存在している「ケンプファー」を軸に、ドイツ語のMS名について考察してみようと思います。


 何故ケンプファーからかというと、前述の通り「ツヴァイ」「トローペン」のように、バリエーション名ではなく単体のMS名でドイツ語が使われているのは珍しいからなのですが(他にはノイエ・ジールくらいで、これは象徴的な意味が強い)、何故ケンプファー、つまり「闘士」という名前がそのままMS名になっているのか、ということに疑問を感じたからです。
 ケンプファーの開発目的を考察した際、ケンプファーは統合整備計画により開発された、ザクと同じポジションの汎用軽MS(重MSではないという意味)であったのではないかという推論に至りましたが、その側面から考えると、ケンプファーはある意味高機動型ザクの再設計機のようなコンセプトであるとも言えます。しかし、高機動型ザクを発展させた結果生まれたのがゲルググだということを考えると、ケンプファーとゲルググは、同じ高機動型ザクから発展した別コンセプトの機体と言うこともできます。そこで思い当たりました。ケンプファーは、ゲルググとは別の「ザクの後継機」の可能性の一つだったのではないか、と。

 ゲルググは、元々ザクに代わる次期主力MSとして、MS-11の形式番号として開発されていましたが、連邦軍のMSがビーム兵器を標準化したことを知り、急遽ビーム兵器の採用を迫られ、結果的に開発が遅れてMS-14として完成した経緯があるMSです。つまり、ビーム兵器の採用がなければ、ゲルググはもっと別の形で完成した可能性があるのですが、それがケンプファーだったのではないか、と考えることができるのです。
 実際、元々のゲルググの型番だった、MS-11のナンバーは、MSVの記述(まだMS-Xが設定されていなかった頃)では「他の宇宙戦用特殊MSにナンバーを移すため」にMS-14に変更されたという記載になっています。今の視点で考えれば、この「他の宇宙戦用特殊MS」はアクト・ザクと解釈できるんですが、アクト・ザクを開発したペズン計画のMSの型番は、「情報攪乱の為に空き番を充てた」という設定であり、最初からそのナンバーが与えられていたわけではありません。そもそもアクト・ザクは宇宙用ではありませんし(「Zガンダム」で地球での戦闘に投入されている)、むしろケンプファーの前身となったMSこそこの時点でのMS-11であり、その後統合整備計画に基づきコンセプトが変更されてMS-18のナンバーが与えられ、空いた番号にアクト・ザクが充てられたと解釈できないわけではないのです(ケンプファーが宇宙用であるという設定はないのですが)。

 ケンプファーがゲルググ候補の一つだったと考えると、一つ名称の由来を推察できるようになります。それは、「ケンプファー」という言葉自体が、次期主力MSの一つのコードネームだったということです。そう考えると、ビーム兵器搭載型のコードネームが「イェーガー」であったと解釈できますし、後のギャンとなる接近戦重視型が「クリーガー」だったと連想できます。「ケンプファー」はビーム兵器を用いない、汎用型戦闘用MSという意味で闘士というネーミングだと考えれば、ドイツ語ネーミングにそれっぽい意味を付けることができます。
 以前フルバレットザクを絡めてジオンの次期主力MSについて考察した際、ビーム兵器搭載機の代案が実弾満載機だったとすれば、ギャンが量産されていれば実弾兵器を大量に搭載するコンセプトとして完成するはずだったんじゃないか、ということを述べました。しかし今考えると、「実弾兵器を大量に搭載可能なMS」というのはまさにケンプファーの特徴と言えます。高い機動力と、装甲を削って増したペイロードによる複数の実弾兵器による強襲、というのはゲルググの代案としては十分なものです。ギャン同様、ビームサーベルだけはドライブ可能というのもケンプファーの特徴です。つまり、ゲルググの代案として相応しいのはむしろギャンよりケンプファーの方だったとも言えます。そのケンプファーもツィマッド製の可能性が高いと言うことを考えると、ギャンとケンプファーはどちらもツィマッド製ゲルググ対抗機の一つだったと考えることもできます。

 そのように考えると、ジオン軍のドイツ語ネーミングは、どちらかというと「コードネーム」に近いものだったと言えるのではないかと思います。リック・ドムIIの「ツヴァイ」は、ザクIIの「ツー」と同じ意味ではなく、初期型リックドムとの区別をつけるためのバージョン2の俗称であったとか、ドム・トローペンは「熱帯戦装備」の通称であったとか、そういう感じですね。
 ではゲルググ・イェーガーとはどういう意味だったのかと言うと、ゲルググのイェーガー(猟兵)仕様という意味ではなく、単純に統合整備計画に対応したゲルググの完成形、真のゲルググっていう意味でしかなかったんじゃないかなぁと思います。ゲルググ狙撃型なんて言われますけど、装備しているのはビームマシンガンで狙撃銃ではないですし、別にセンサー系が強化されているようなデザインでもないですしね。本来はケンプファーにも○○・ケンプファーという正式名称があってもいいはずなんですが、ちゃんとした名前が考案される前に実戦投入されてなし崩し的にそう呼ばれてしまうようになったとか、そんな感じなんじゃないでしょうか。本当はケンプファーという名称はE型にのみ与えられるべき名称だったりしたのかもしれません。

 そう考えると、じゃあなんでケンプファーじゃなくてギャンの方がゲルググの対抗機と呼ばれたんだという話になりますが、これもそもそもゲルググが次期主力機となることは政治的にほぼ内定していた可能性が高いという記述があることから考えると、ギャンの方がゲルググの当て馬として使いやすかったからというだけなのかなと。ギャンの考察も以前しましたが、ギャンはガンダムに近い白兵戦用MSであったことから、仮想ガンダムとしてゲルググのアグレッサー機扱いとして使われたと考えることができ、ツィマッド社的には対ゲルググの本命はケンプファーの方だったとも考えられるのです。ただビーム兵器の搭載が急務となり、ほぼゲルググの採用が内定した時点で、ケンプファーは「宇宙用特殊型(つまり強襲用)MS」として別口の採用が決まり、結果的に統合整備計画タイプのE型として完成したと考えると、色々ケンプファーのポッと出感が薄まるんじゃないかなーと思うのです。あ、F型はゲルググと同コンセプトのケンプファー(つまりツィマッド版ゲルググ)と考えることもできますね。

 まとめると、こんな感じです。

・「ケンプファー」は元々ジオンの次期主力MSのうち、ビーム兵器非搭載・実弾主体型MSのコードネーム
・ゲルググ(コードネーム:イェーガー)の採用が内定したため、コンセプトを変更しMS-11として再設計(後のYMS-18)
・統合整備計画によりさらに再設計が行われ、MS-18のナンバーが与えられて実戦投入される

 だいぶ脳内補完を行ってはいるんですが、そこまで細かく辻褄合わせを考えなくても、「ケンプファーは実はゲルググの真の対抗機で、名称の由来は開発当時のコードネーム」ってくらいでもいいんじゃないかとは思います。これなら、ファースト(あるいは初期MSV)原理主義者の方でも納得できないでしょうか…?まぁ、デザインは置いといて。
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コメント
なるほど……わりと腑に落ちる気がします。
それでいくと、イフリート(今ちょっとググった限りではアラビア語?)は
どう考えれば良いか、という難題が……w

基本的にはジオンのネーミングは英語というイメージ、
やっぱり強いですねぇ。
ギャロップとかファットアンクルとか。
マッドアングラーもか。
まぁでも、既に設定でそうなってる以上、
なんか納得いく説明をするしかありませんし、
面白い記事でございました。
2016/03/03 (木) 05:46:21 | URL | zsphere #mgsj5vwc[ 編集 ]
イフリートは、魔神ですから、
単に、強そうな名前にしようと思って、
お化けの図鑑を見ただけかも知れないです。

ドイツ語が多いのは、
強そうに聞こえる単語が多いからだと思います。


宇宙世紀ですから、
コロニーには、色んな国の人が来ているので、
兵士達も民間人も、
国籍がバラバラだと思います。
2016/03/05 (土) 07:12:38 | URL | サディア・ラボン #-[ 編集 ]
>zsphereさん
神話系のネーミングは富野監督もよく使いますし(キュベレイとか)、
特殊な事情を持った少数生産機ならありなんじゃないかなーと思います。

兵器の固有名詞としては英語が多く、愛称にはドイツ語が多いっていうイメージにできないかなぁと思いました。

>サディア・ラボンさん
まぁ、我々日本人がファンタジーで色々な国の神話を使ったり、必殺技の名前になんとなくドイツ語を使ったりしたくなるのと、大きな差はないのかもしれませんね。
2016/03/05 (土) 13:02:11 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
Kugel adler
ケンプファーがコードネームと言うお話は理解出来ます。ただ、それでは何故愛称、もしくはコードネームにドイツ語を使うのかと言う最初の問題に戻ってしまうと思うのです

私としては逆にバリエーション機であるドムから考えてみるべきだと思います

ドイツ語名でなかったドムにツヴァイ、トローペンと言うドイツ語名が与えられたのは、積極的にドイツ語を使う動機が出来た事に他ならないわけですから

そして0083以降にもドイツ語名を使った機体は存在します。やはりドム系機体のドライセンがそうですし、ゲーマルクもドイツ語系機体と考えて良いと思います

しかし、一方で同じネオ・ジオン軍でありながらキュベレイ、ガザ等ドイツ語が関係ない名称を与えられている機体もあるわけです。何故このような違いが出てくるのか

デラーズはドズル直属の部下でありグレミーはザビ家の血を引いていると自称していました。おそらくザビ家はドイツ語圏の国出身でありザビ家に親しい人物程ドイツ語を使う傾向があり、ザビ家と関わりのない人達は神話等の一般人にも通じやすい名称を使いたがるのではないでしょうか。ガルマ専用ドップも連邦側からそう呼ばれていただけで実際にはすごい名前がつけられていたのかも

なんかすごい今更感のある話のような気もしますが

てかヤクト・ドーガはどうなるんだよ

どうやらガンダム世界でドイツ語は一般的ではなかったようですね。ドイツ語文化を持った人間が希少になってしまったか。五爪の龍みたいに特権階級の人間だけに許された言語だったとか

ほぼ全ての人間が共通言語でコミュニケーションを取れていた事を考えると、ガンダム世界の民族性ってどうなってたんでしょう?
2016/03/07 (月) 10:15:46 | URL | エーイチ #-[ 編集 ]
現実の兵器名や商品名も、社内コードや愛称の類はそんなに深い意味があって付けられるわけではないので、そこまで大きな意味は考えなくてもいいんじゃないかなぁという気がします。
ドイツ名があるのは、単純にドイツ系のスタッフがいたか、ドイツ趣味が強い人間が関わっていた程度でしかなかったんじゃないかと個人的には思います。

ガンダム世界は、富野監督がわざと国家や民族を感じさせないように作っていますね。
設定的な意味で言えば、宇宙移民の際にわざと人種等が偏らないように住民を配置したという感じなのかなと思います。
ユニバーサルセンチュリーには、そういう意味もあったと考えてもいいかもしれませんね。
2016/03/08 (火) 22:17:21 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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