がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
月初のガンダム以外の話「『絶歌』について考える」
 今回はシリアスっぽい話。ちょっと前に、酒鬼薔薇こと少年Aが本を出したことが話題になっていました。それってどうなのよ?というお話です。

 あ、ちなみに読んでません。


 最初そういう本が出るっていう話を聞いたとき、個人的にはちょっと気になるな、って思ったんですよ。少年犯罪って世間的にすごく誤解されやすい背景を抱えてることが多いので、何かメディアに書かれたりしたこととは違う話があったりするんじゃないかとか思ったんです。秋葉原の通り魔の話なんかは、純粋に子育ての難しさが伝わる話だとも思いましたし、同じようなイメージを抱いていました。
 なので、最初は本を出すことに否定的な意見はどうなのかな、と思っていたんです。確かに彼は許されざる犯罪を犯していて、世間的に許される存在ではないのですが、だからといって本を出しちゃいけないってわけじゃないだろうと。犯罪を犯すと人間ってそんなに人権を制限されていいものなのかな、なんて思ったりもしました。
 遺族が否定するのはわかるんです。それは理屈ではなく感情が許せないことでしょうし、同じ立場だったらやはり不快だと思います。でもそれ以外の無関係の他人が、さも遺族になったかのように感情的に出版を否定するのはどうなんだろうかと思ったんですね。感情論で犯罪者の権利を制限することが許されるなら、それは法治国家じゃないでしょと。センセーショナルな犯罪を犯したというレッテルがあるだけで人を判断していないかと。それは一種の差別なんじゃないかと。

 ただ、中身は読んでいないものの、レビュー的なものをいくつか読んでみると、ちょっとそれとは別の意味で問題があるのかなと考えました。
 どうも、少年Aが色々な本を読んで、それらの文体をまねて書いた稚拙な内容であるということ。反省している節は見られるものの、贖罪だけでなく自己承認欲求が垣間見えるということ。猫や人を殺害するに至る克明な描写があるということ。
 そういう本らしい、ということがわかり、一つ認識を改めました。おそらく、この本を読んで不快に思う人はそれなりにいるだろうな、ということです。単にセンセーショナルな殺人犯が本を出したというだけで批判されているのではなく、内容にも問題があるのだろうということがわかりました。

 本を買うのは興味がある人だけだろう、とも思いますが、これは一般図書として一番売りたい本があるコーナーに並べられてもおかしくないものです。本来読むべき人以外が手に取る可能性は十分にあります。また、内容や著者の経歴、匿名で出していることや遺族に断りがなかったことに不快を感じている人がいることも確かです。
 売れるかもしれないが、同時にある層には極めて不快な思いをさせる可能性がある本、と考えると、例えるならこれはエロ本のようなものなのだろうと思いました。それも、かなりマニアックでハードコアなエロ本です。そういうものが堂々と並んでいれば、女性だけでなく男性でも不快に思う人はいるでしょう。趣味じゃないエロ本は男性にとっても特別魅力のあるものではありません。そこに問題の本質があるのかなと思いました。
 この本を買って読んだ人間を軽蔑する、なんて意見もちらほら見かけましたが、これって女性が「こんな本読むオトコの人ってサイテー」っていう感じに近いのかなと感じます。批判の仕方や拒否反応の示し方は、フェミニズムの観点から、男性のエロい部分を批判するときに理屈のこね方にも似ています。

 つまり、おそらくはこの本の問題点は、「一般図書として」「堂々と書店の目立つ場所に置かれる」ような出版のされ方をしていることにあるのだろうということです。法的に違反ではないが、「有害図書」としてある程度の制限が加えられるべきものだったのではないかと。今後これを教訓とすべきなのであれば、こういう書籍を有害図書扱いにできるようにする仕組みを作ることなんじゃないかと思います。実際、滋賀県の図書館で成人向け扱いで取り扱うらしいですし、そのあたりが妥当な落としどころなのだろうなと思います。

 また、もう一つ思うのは、何故、このような形で出版してしまったのかということです。法律上、犯罪歴のある人間が書籍をだすことは制限されていません。しかし、だからと言って多くの人を不快にさせてもいいかというとそういうわけでもありません。ただそれは法的な観点ではなく、道徳的な観点というか、要するにモラルで縛るべき点かなと思います。
 もしこの本を本当に一般図書として売りたいと思うのであれば、もう少しやり方があったのではないかと思います。犯罪者に好きに文章を書かせてそのまま売って、印税の使い道も本人に任せるなんてそんな無責任な話はあるかと。周りにいる人間たちはどうしてもっと上手い出版の仕方を考えなかったのかと思います。内容を添削するとか、ジャーナリストなどの第三者に書かせるとか、印税の使い道をしっかりアナウンスするとか(遺族への賠償金は一生かかっても払いきれなそうということです)、やり方次第ではエロ本みたいに忌避されるような本にはならなかったんじゃないかとは思います。
 そういう意味では、著者本人の抱えている問題以上に、その周囲の人間に問題があるのかなという気はしました。社会では、商品を世に出すかギリギリまで検討した結果、出さないことに決めた、なんてことはざらにあるわけですが、この書籍もそのパターンになってしまうタイプのものなんじゃないかなと思います。それでもどうしても出したいというのであれば、出せる形に変えないとゴーサインが出ない、というのが普通の企業のモラルなのかなと。その歯止めが利かなかったのであれば、別の仕組みで歯止めにするしかないだろうなってことなんでしょうね。

 この本を人に読ませることを良しとしないのであれば、書店で扱わないとか、読んだ人を批判するとかよりも、ずっと効果的な方法があると思います。「そのエロ本、全然抜けないよ」って言ってやることですね(笑) 多分内容のネガキャンをするだけで、興味を持つ大多数の層が買うのをやめると思います。自分がその一人だったわけですから。

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コメント
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No title
一方的に少年だけに批判が集中してるのには自分も違和感がありました。

なにやらアメリカなんかだと、重大犯罪の犯人がこの手の本を出した際には、その収入が自動的に遺族に渡る法律があるそうです。
今までそういった法整備をする方向に政治を持っていかなかった、我々一般人全員の責任でもあるのではないかと…

ただ自分も感情論としては、明らかに世間一般のモラルに反する行動(遺族が反対してるのに強行出版)をしたこの出版社には、何かしら市場原理的な罰があって欲しいな、とは思っちゃいますが。
2015/07/09 (木) 01:13:20 | URL | あうお #ReOT891Y[ 編集 ]
やはり「サムの息子法」に類するような法整備が必要なのかと。
今回の一件も出版社側の炎上売り逃げ商法を目論んだ節もありますし。
出版の是非は別問題として犯罪者遍歴が金のなる木になるのは防ぐべきですね。
2015/07/09 (木) 06:48:27 | URL | #-[ 編集 ]
被害者が「もういいので、区切りをつけよう。」と
加害者を突き放す或いは見限ったりしなければ
世の中に出さずとも済んだのではないだろうか

赦すべきは第三者ではなく当事者であろうから
2015/07/10 (金) 12:11:38 | URL | カズラキー #-[ 編集 ]
No title
仰ることについて、おおむね気持ちは分かります。
しかし、特にあうおさんが仰るような、法律で「犯罪者が出版した本はこう扱う」と定めるのは弊害の方が遙かに大きいような。
すくなくとも、単に一般大衆が不快であるからという理由は、著作物に制限を加えるための明白且つ現在の危険とは言いがたいように思えます。

男性向けエロ本はその内容について、それを好み、買い求める我々男性自身が (ひょっとしたらそれを嫌悪し規制を要求する一部の過激な女性よりも遙かに) その内容のしょーもなさを承知してますからね。ゾーニングぐらいなら社会的合意を形成できます。
が、犯罪者の著作というものは読んでからで無ければその内容の是非を判断できませんし、その判断も個々の読者毎に異なることは大いにあり得ます。
犯罪者の収入になることが業腹だという気持ちは私にもありますが、それでも、個々人が書店なり図書館なりで読み、議論しあうしかないのでしょう。
「犯罪者の書いた本」という括りだけでみれば一緒くたになってしまうケビン・ミトニックの「欺術」あたりは-少なくともソーシャルハックの危険性の啓蒙という観点から-出版された意義があるように思えますし。

今は、少年Aへの批判で世論が沸騰していますが、冷静な議論が為されることを祈っております。
2015/07/10 (金) 16:37:01 | URL | #-[ 編集 ]
許さん
はじめてコメントを書かせていただきます。
私はやはりこの本には嫌悪感しか感じませんね。人殺しをしておいて、その体験を金儲けにしてしまうのはやはり許せません。犯人にも生活があるのだと言う人もいますが、それなら他の手段でお金を稼げばいいのです。犯罪の体験でお金を得るなどというのは言語道断です。この犯人は未だ反省していない何よりの証拠でしょう。
確かに本を出版するのは本人の自由です。それならお金を取るのではなく自費で出版して無料で配布するなりすれば良いと思います。
私はこの本を出版した会社とお金を出してまでして読んだ人達は事件の共犯者だと思います。
2015/07/10 (金) 20:35:29 | URL | あいうえお #Bf357t2g[ 編集 ]
No title
>あうおさん
アメリカとは法整備に一般市民が関われるハードルの高さが違うので、一概に同様にとは言い切れない部分がありますが、
今までの日本人なら遠慮していたものが、遠慮せずに外に出るようになってしまった部分は様々な点から見られますね。
時代と共に考え方も仕組みも変えていくべきだろうなとは思います。

>名無しさん
この出版社って完全自殺マニュアルを出したところなんですってね。
そういう意味ではやはりある程度打算的に出版したのかなと思われるんですが、
現行何も妨げるものがない以上、法整備までいかないにしても、何らかの仕組みによる歯止めが必要なのかなとは思います。

>カズラキーさん
有名な事件の被害者になってしまうと、色々な怪しい人たちが群がってきて訴訟を煽ったり利用しようとしてくるらしいですね。
ただ遺族の立場で考えると、殺され方があまりにも惨すぎるのでさすがに許すのは難しいだろうと思います。

ただ、第三者がそれに同化して一緒に許そうとしない立場を主張するのは、ちょっと違うと思いますね。

>名無しさん
犯罪者の書いた本、を一律に扱うのは避けた方が良いですね。
秋葉原の通り魔犯も本を書いたのに、その時は誰も叩かなかったという話もありますし、
結局のところ理屈ではなく感情の側面からの反発なのだろうと思いますし。
感情からくるものを法制化するのは本来の法の意義とは逆なので、一時の感情とは離れたところで議論したいところですね。

>あいうえおさん
内容を読まなくとも読んだ人のレビューを見ればある程度わかりますが、
出版社はともかく著者が本を出したのは金儲けのためというより、世間のイメージと本来の自分のギャップを少しでも埋めようとしたいという欲から来ているのかなぁと思います。
それが許されるということではありませんが、他者の感情からくる一方的な決めつけはあまり精神衛生上も良くないかと思います。
お気持ちはわかりますが、事実と感情は分けて考えた方が良いです。事件と、この本の問題点はまた別のところにあります。
2015/07/18 (土) 14:14:29 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
No title
今回の記事の元ネタとなる事件を知らなかったので、軽い気持ちで検索をかけてみました。
そしてウィキペディアに事件の概要が記述されていたので読んでみたのですが、途中で気分が悪くなって読むのを止めてしまいました。よくあんなに詳細に書けますね……。
「一部の人にしか受けないエロ本」と仰った理由が少しわかる気がします。私には無理です。この事件を知らなければ良かったし、そもそもこの事件と、犯人と、一切関わりたくないとまで感じました。

そのエロ本?読んで後悔したわ と言いたいですね。
まあ、読んでないんですが(笑)
2015/07/18 (土) 15:43:49 | URL | #-[ 編集 ]
No title
猟奇的な事件のWikipedia記事は結構詳細に書いてありますね。
そういうのが好きな人もいるということでしょう。

当時この事件はとてもセンセーショナルで、連日ワイドショーでやってたんです。
あの頃は今と比べてもかなり病理的な事件が多かったですね。
社会的にもどこか「病んで」いた時代でした。

自分はその犯人と同じ世代なので、同世代の犯罪者が多い点については色々考えたのですが、当時の社会情勢を鑑みると、おそらく本当に病んでいたのは、当時の自分らの親の世代だったんだろうなと思いますね。
2015/07/24 (金) 21:18:17 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
ちなみに…
その元少年Aについてなんですが、先週自身のホームページを立ち上げ、自分が作ったCGイラストを載せているそうです。
これは女性誌で大々的に取り上げられたことなのですが、どうもAはホームページを作る前に週刊誌の編集部にホームページのアドレスと2万以上の文字の手紙を送りつけたらしく、その手紙には、あの絶歌が批判に晒されると、「俺は関係無いもんね、ぷ~ん」と自分を切り捨てた出版社社長への恨み節が書かれていたようです。
批判を受けたら社長は自分を擁護してくれると思ってたようで、この社長の掌返しはAにとって非常に腹立たしいことだったようです。
で、そのホームページの内容ですが、女性誌に載ってたのを見る限りでも、かなり気持ち悪いです。
僕は絶歌を読みましたが、他人の小説の猿真似であるとはいえ、これだけの文章を書けるのだから、おそらくこれは、書いた本人が「こうであってほしい」と願って書いた嘘っぱちの半生なんだろうと思いました。殺人の描写は真実であっても、他は虚飾にまみれたものだと感じました。
僕は、Aはどことなく、湊かなえの小説「告白」の登場人物である渡辺修哉に似ているなと感じるんですよね。
承認欲求が満たされない部分なんかそっくりだと感じましたし、Aも渡辺と同じく自己愛性人格障害を患っているのではないかと思います。
2015/09/15 (火) 18:29:16 | URL | チョット・トーリマス #-[ 編集 ]
ホームページ作ったみたいですね。
中身は見ていないですが、報道からすると相当グロいみたいですよね。
罪の意識等よりも、自分の存在が正確に理解されずに世の中に広まっている事に我慢できないという印象は受けました。
承認欲求が強いタイプが、全く親に承認されずに育つとこうなり得るのかなとは思います。秋葉原の通り魔犯もそうでした。
2015/09/20 (日) 11:39:46 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
まあ行動の是非は兎も角。
今回の一件を「少年院教育の失敗」と書いてるのもあって流石にどうかとおもいました。
完全な聖人君子を教育で作れた例なんてないですし。
再犯を防ぐ以上の効果まで期待するのは無理だと思います。

2016/02/27 (土) 17:48:37 | URL | DN #mQop/nM.[ 編集 ]
究極的に言えば、人間は親か、それと同等の責任を背負う覚悟のある大人にしか救えないと思いますね。
教育は人に判断能力を授けることはできても、心は救えませんしね。
2016/03/05 (土) 12:57:59 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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