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宇宙世紀における難民について
 「逆襲のシャア」で設定されたスウィート・ウォーターは、難民を収容するために作られたコロニーです。それまでのガンダムには出てこなかった難民という要素が急にここで出てきたわけですが、このシャアを支持した難民たちというのは、一体どういう存在だったのか、すこし考えてみました。

 まず、宇宙世紀において難民を生んだ最大の出来事が、一年戦争であったのは間違いありません。総人口の半数を死に至らしめたこの戦争は、最初の一週間だけでサイド1,2,4,5を壊滅させ、コロニー落としにより地球にも大きな被害を与えました。この戦争によって、住む場所を追われた人々が多かったのは想像に難くありません。

 宇宙における難民は、間違いなくこの壊滅したサイドの人間が大半のはずです。ジオンの奇襲攻撃から運良く生き残った人々は、残ったサイドであるサイド6か、月に移住したと考えられます。サイド7は開発中のコロニーで連邦関係者しか住んでなさそうでしたから、そこに移住した難民というのはあまりいなかったはずです。またサイド3は健在ですが、自分たちを攻撃した国に移住する難民がいるとは到底思えないですし、こういう時に難民を支援しようとする人たちは第三者であるはずなので、中立的立場にあったサイド6やフォン・ブラウンが主な受け入れ先になっているはずです。もちろん、運よくコロニーとしての機能を維持していた場所が壊滅したサイドにも残っていれば、そこに難民が収容されている可能性もあるでしょう。

 地球の難民は、そもそも地球に住んでいる人自体がエリートとみなされる世界だったことを考えると、それなりに手厚かったのではないかと思います。地球は土地が広大ですし、被害が大きかった場所は限定的だったでしょうから、地球に安全な移住先はいくらでもあったと思われます。不法居住者のような人は、おそらくコロニーに強制移住だったと思いますが、連邦軍が支配力を持っている宇宙のエリアは大戦末期まで少なかったはずなので、安全性を考えると移住は一年戦争後だったのではないかと思います。

 このように考えていくと、一年戦争で発生した難民の居住場所を確保することを一つの目的として、「コロニー再生計画」が立ち上がったような気がします。4つのサイドが壊滅し、当時の住民票のようなものがろくに機能しなくなったわけですから、行政サイドは生き残った人々の住む場所を再配置しなければなりません。その際に、サイド6だけに人口が偏るのは限界があるわけですから、各サイドにコロニーを振り向けましょうというのがコロニー再生計画だったと考えると、すんなり腑に落ちます。サイドの番号が振り直されたのは謎ですが、やはり以前考察したようにサイド6を解体して各サイドに分散させるための一環だったのかなと思います。

 さて、ここまで考えた際に、スウィート・ウォーターとは何だったのかという疑問が生じます。このコロニーの場所というのはあまりはっきりしていなくて、資料にもほとんど情報がないのですが、小説「ハイ・ストリーマー」では、「スウィート・ウォーターは、月の両側の空域にあるサイド1とかサイド2というもっともスペース・コロニーが集まっている空域とは全く別の空域にあった。月の軌道上にありながら、月とは反対の空域にポツンと建設されたコロニーである。」と記されています。これだけ読むと月軌道における月の逆側、つまりルナツーのあるサイド7宙域を指しているような気がするんですが、月の裏側、つまりサイド3の位置にあると解釈することもできるようです。
 いずれにせよ、このスウィート・ウォーターが作られたのは、「MS大図鑑アクシズ戦争編」の年表によると、0090年2月であったことになっています。現在の公式年表からは削除されているので現在も生きている設定なのかは微妙なのですが、この時期が正しいとすると、一つの推論が可能となります。

 もしスウィート・ウォーターが0090年に作られたのであれば、そこに住んでいる難民は決して一年戦争で生まれた難民ではないことがわかります。さすがに、一年戦争終結から10年たって難民の収容場所が作られると言うのは遅すぎます。10歳の子供が20歳になっているわけですから、それまでどうやって生きてきたんだという話になります。それまでは仮設の何かにいたとしても、いた期間が長すぎますね。
 かといって、グリプス戦役や第一次ネオジオン抗争で難民が生まれたかというと、極めて怪しいと言えます。そもそも一般人が住んでいる場所が戦場になったことは、ほとんどないからです。あるとすれば、ティターンズが毒ガスやコロニーレーザーで攻撃したコロニーか、ネオジオンがコロニーを落としたダブリンあたりということになりますが、そのあたりで生き残った人はかなり少ないと思われ、コロニー2つ分の入れ物が必要な人数がいたかは疑問です。

 ただ可能性が考えられる難民が、一つあります。それは、「モウサ」に住んでいた、アクシズの住民たちです。彼らは、ジオン共和国民になることを拒んだ人たちの集まりです。もちろん成り行き上サイド3に戻れず、アクシズに行くしかなかった人たちもいるかもしれませんが、そういう人たちはネオジオンがサイド3に帰還した時点で移住できるようになったとしても、それまでの事情から簡単にはジオン共和国に戻れなかった人たちもそれなりにいるのではないかと思います。アクシズの住民の数は明確ではありませんが、いくつかの記述を総合すると数万人はいたと思われますから、それらを全員ジオン共和国で受け入れるほどコロニーの収容人数に余裕があったかも疑問です。
 そしてもしスウィート・ウォーターの住民=元モウサの住民の一部であるならば、サイド3にある理由も明確になりますし、できたタイミングが0090年2月であるのもタイミング的におかしくありません。ハマーンのネオジオンが内乱により壊滅したのは0089年ですからね。

 もしスウィート・ウォーターの住民が元アクシズ市民であるならば、シャアがそこを拠点にし、その住民がシャアを慕うのは当然のことです。元々シャアはアクシズの人間だったわけですからね。ザビ家の関係者はおそらく逃亡したり処罰されたりしてほとんど残っていないでしょうから、そこに残っているのはほとんどザビ家との接点がないアクシズ関係者のはずです。そうであるなら、ジオン・ダイクンの遺子であるシャアを拒む人間など、誰もいないでしょう。

 このように考えると、シャアのネオジオンは実質的には拠点が変わっただけで元アクシズそのものであり、シャアはかつて摂政をハマーンに譲って一度見捨てた(というのは言い過ぎかもしれませんが)人々の上に改めて立つことを選んだことにもなります。連邦にアクシズの買い取りを求めたのも、かつての居住地を返してほしいという願いだと政府が誤解するように仕向けたものだとすればわかりやすいですし、アクシズの「忌まわしい記憶」というのも、スウィート・ウォーターの住民にとっての忌まわしい記憶の象徴という意味が込められていたとも解釈できます。

 そして何より、あれだけ道化を嫌っていたシャアが立ち上がる根拠が、ジオンの軍人やザビ家のためではなく、ザビ家が起こした戦争の結果生まれた不幸なジオン市民を救うためであったとするならば、モチベーションの源泉として理解できるような気がしてなりません。

 そう考えれば、シャアの艦隊は何故全て新品で、フロンタルの部隊には旧型が大量に残されていたかもある程度説明できるのです。シャアの部隊はあくまでも、ゲリラ化する道を捨て、連邦が作った入れ物に住むことを選んだアクシズの非軍人のために新たに有志で立ち上げた組織であり、そこに参加しなかった、ゲリラと化した軍人の残党が後のフロンタルの部隊だったのではないかという推測ができるわけです。
 シャアのしたことは結局はただのテロであり、実は難民のためには全くなっていませんでしたが、後に富豪が小惑星パラオをネオジオンに提供していたことを考えると、シャアのやったこと自体が、何らかのスポンサーを動かすためのアクション(難民救済と引き換え)だったりした…ということも考えられます。実際のところはどこまでイメージして設定されたかわかりませんが、そんな想像はいかがでしょうか。


 …もっとも、富野監督の作劇意図を考えると、あくまでもスウィート・ウォーターの難民というのは連邦政府にぞんざいに扱われてきた一般市民、というだけで、ジオンとは何の関わりもない人々であるとした方が、自然であることは確かです。スウィート・ウォーターが作られた時期が年表から削除されたのも、もっと昔からあったことにしたいからなのかもしれませんし、率直に考えると、「一年戦争以降の宇宙難民の強制収容施設」であるという以上の情報は、物語上要らないのでしょう。
 しかしシャアのネオジオンが何故急に出てきたのか?などの疑問を解決する一手段として、そういう妄想もアリなんじゃないのかなー、と思ったのでした。
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直接戦場にならずとも、たとえばグリプスのコロニーがティターンズにより軍事基地→コロニーレーザー化された時に追い出された住民とかは難民化していた可能性はありますかね……。
他にも、コロニーレーザーで破壊されたり毒ガス撒かれたコロニーと同じサイドに住んでる人たちも、次に狙われる可能性があるわけで「こんなところに住んじゃいられねぇ!」って逃げ出した人たちもいたかも知れません。

実のところ、一年戦争で生じた難民が難民のまま0093年、っていうのもあり得る話のようにも思えます。とりあえず無条件に土と空気がある地球上でも難民の生活再建って大変なんだろうと思いますが、宇宙じゃその土と空気を確保するところからやらなきゃいけないわけで、途中でグリプス戦役その他のゴタゴタもあった地球圏、10年で難民問題が解決していたかどうか……という気がしますねぇ。
2015/03/15 (日) 02:27:46 | URL | zsphere #mgsj5vwc[ 編集 ]
阪神・淡路大震災で最後の仮設住宅がなくなったのが震災の五年後。
コロニーの建造に要する期間、しかも間に複数の戦役を挟んでいることを考えると、10年というのも長すぎはしないようにも思えます。
2015/03/18 (水) 18:11:19 | URL | #-[ 編集 ]
>zsphereさん
まぁ難民といっても色々いただろう、とは思います。
ただその中にはアクシズの住民がいたんじゃないの?ということで。

宇宙って地球よりもはるかに移住リスクが大きいところなんで、簡単に逃げ出したりできないんじゃないかなと思う反面、一度難民化したらなかなか次の場所には動けないのかなとも思います。

>名無しさん
一年戦争後にいわゆる仮設住宅的な場所で生活していた人たちが、それぞれ新しい居住地に移っていくなかで、そういう場所を見つけられなかった人たちの居場所として政府に与えられたのがスウィート・ウォーター、という考え方はできるかもしれませんね。
2015/03/28 (土) 15:58:09 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
Ζガンダムの「シャアの帰還」で、スウィートウォーターって単語をシャトルのパイロットが発してます。なので年表は単純なミスかと思いました。
2015/04/04 (土) 08:25:57 | URL | #-[ 編集 ]
Zでのスウィートウォーターって、逆シャアのとは設定が違うんですよ。コロニーの形も違うしZのは難民コロニーではありませんし。
色々な解釈が可能ですが、少なくともZのそれと逆シャアのそれは全く同じものではないと解釈してます。
2015/04/29 (水) 13:25:05 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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