がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
「逆襲のシャア」におけるセイラ・マス
 以前、セイラについて考察した時に、「逆シャア」の時点ではセイラがどう思っていたか、というところまで触れることができませんでした。今回はその続きです。


 前回の考察で、セイラはシャアのことが大好きで、昔の優しい兄に戻ってほしいとずっと思っていたが、どんどん夢想家のようになっていってしまう兄に失望し、どうせなら死んでほしいと思っていたんじゃないか、ということを書きました。
 また、セイラ自身は、事実上兄に見捨てられてしまった状態で、家庭を築く意欲もなく、大金を元手に慈善活動を行うだけの毎日を過ごしていたのだと思われます。

 そんなセイラであれば、ネオジオンの総帥となり隕石落としを実行したシャアを、止めようとしてもおかしくないような気がするのですが、そう考えた時にキーになるのは、アムロの存在です。
 シャアを止める役割を持っているのはアムロのいるロンド・ベルだったわけで、アムロが止めてくれるなら自分が出る幕はない、と思っていた可能性はあります。アムロはコロニーを調査してシャアの消息を追っていたようでしたが、セイラは地球に住んでいるので宇宙の情勢はあまり通じていないはずであり、アムロに協力できることは少なかったでしょう。そういう意味でも、セイラがアムロを助けてシャアを止めるだけの力はもっていなかったと考えることもできます。

 ただ、セイラはリィナを送り届ける際に月に行っているので、宇宙に上がっていた可能性はあります。小説「ベルトーチカ・チルドレン」においては、シャアはセイラが地球にいると思っていましたが、必ずしも地球にいたとは限りません。その意味では、ロンド・ベルの背後にセイラがいた可能性も否定できません。
 ただ、セイラとアムロの関係が極めて微妙で、小説版ファースト以外でまったく親しげな描写がないので、そもそも接点はなかったんじゃないかという気がしなくもありません。仮にセイラが動いていたとしても、それはアムロの知らないところだったのではないかと思います。もしセイラがロンド・ベルの背後で動いていたとしても、できることというと資金援助くらいしかなさそうですしね。カムランさんが核ミサイル持ち出した一件に絡んでいる可能性くらいはあるかもしれません。

 いずれにせよ、セイラはシャアを止めたいと思っていたとしても、自身が戦場に戻ることはあまり肯定的に思っていなかったようです。過去に別冊アニメディアに掲載されたセイラとリィナの小説でも、セイラが戦場に戻ったり戦争に関わることはしないつもりだったことが記されています。
 かつてのセイラは、アムロとシャアの決闘を止めに入りましたが、「逆シャア」の時点でそれをやるということは、戦争を止めるための活動しなければなりません。
 極端な話ですが、セイラがもしシャアの蜂起を止めようと思ったら、それはシャアがネオジオンの総帥になることを阻止するということになります。しかしそのような行動を起こすことは、セイラ=アルテイシアが存在していることをジオン関係者に示すことにつながりかねません。それは、セイラとしては避けたいことでしょうし、シャアも望んでいないでしょう。むしろシャアが矢面に立ったのも、セイラに矛先が向かないようにという側面があった可能性さえあります。ダイクンの血筋の決起を望む者としては、シャアがそれを拒んだら、じゃあセイラに話をしてみようと考えてもおかしくはありません。

 結局のところ、セイラは兄との関係をどうにかすることよりも、争いから遠ざかることの方が優先であったのだと思います。そもそも戦争をしたがるザビ家がいなければ、セイラの生活は何も変わることがなかったわけで、シャアはその恨みをザビ家に向けて晴らそうとしましたが、セイラは争いそのものを憎んでいたのかなと思います。ホワイトベースに乗ったのは状況的に生き延びるための必要悪でしたが、本当は戦いたくなかったのでしょう。シャアも「争いごとを人一倍嫌っていたはずのアルテイシアが」と言っていました。かといって、非宇宙世紀のリリーナやラクスなどのように、その争いごとをなくすために自ら表に出るということをしなかったのがセイラなのです。何故なら、それを一番望んでいないのが、一番大好きな唯一の肉親シャアだったわけですからね。

 だとすれば、セイラは一体何をモチベーションに生きていたのでしょうか。そのまま世捨て人のように余生を送るというのは、ヒロインとしては悲しい末路すぎます。そこで一つの可能性を提示してみます。それは、ミネバの保護です。

 「ガンダムUC」のミネバは、ザビ家のシンパに育てられたにしてはあまりにも純粋に育ち過ぎていました。偏った思想は持たず、自分の立場をわきまえた上で、自分にできることを世のためにしようとしていました。シャアに保護されていたようですが、そのシャアはネオジオンの総帥として活動していたわけで、直接ミネバの育成に携わっていたとは思えません。だとしたら、誰がミネバを育てたのでしょうか。
 そこで候補に挙がってくるのが、セイラなのです。シャアは、いくらダイクンの血筋やシャア・クワトロ時代の人脈があるとはいえ、そこまで広いコネクションを持っているようには思えません。ましてや、シャア自身の出自を理解したうえで、ザビ家の嫡子を保護してくれるような信頼のできる人物などそうそういないでしょう。いるとしたら、それこそかつてザビ家の手から逃れる際に拠り所にしていた、かつてのダイクン派であるラル家やマス家の関係者くらいなのではないかと思います。そして、セイラも同じ関係者の保護を受けている可能性が高いのです(「カイレポ」ではそのような設定になっていました)。だとすれば、セイラとシャアが直接接触しようとしなくとも、必然的にシャアがミネバを預けた先にはセイラがいるのではないかと推測できます。
 このように考えると、ミネバの率直な育ち方にはセイラの影響があるのではないかと考えることができるのです。むしろそれくらい考えないと、ミネバの成長のすがすがしさに納得がいかないものがあります。

 セイラはリィナを保護していた実績があり、イメージ的には違和感がありません。もちろん公式サイドで明確にされることはおそらくないでしょうが、ハマーンやシャアだけでなく、セイラの意志も継承したのがミネバだったのであれば、「UC」でのミネバの振る舞いにも納得がいくような気がします。

 シャアがネオジオンの総帥として決起した際は、すでにセイラは何らかの形でシャアと(間接的に)コンタクトを取っており、シャアがミネバを保護した気持ちを理解し、ミネバを保護してザビ家やジオンのしがらみに囚われない人間に育てることを目的としていたという妄想であれば、彼女を兄と自分のような境遇にしないために、シャアと共通の望みを果たすことを目標にしていたのだと考える事が出来、シャアとセイラが決裂したまま終わったと考えなくても済みますし、何よりロマンがあるのではないかと思います。
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コメント
コメント
久しぶりに書き込みます。
自分もΖから9年経ったとはいえミネバがここまでまっすぐ矯正されるものかと思っていたので、今回の考察は納得すると同時に目から鱗が落ちました。
シャアとセイラ間の連絡を取り合ったのもルオ商会の存在を考えれば不可能ではありませんし、ミネバ自身も近い境遇のセイラの言葉なら信じられたのでしょうね。
2014/12/29 (月) 21:19:12 | URL | 匿名希望 #-[ 編集 ]
もし以上の説が正しいと仮定すると一つ大きな問題が出てくると思います

それは“何故シャアは地球にコロニーを落としたのか”です

元々セイラがいる地球にコロニーを落とした事が不思議で仕方がなかったのに、保護の対象であるミネバがいる地球に落とす?

そもそもコロニーを落としたのは地球を人が住めない環境にする為であり、ロンド・ベルの抵抗で予定とは違う場所に落ちました

コロニーを落とす際にセイラとミネバが犠牲になる可能性を考慮しなかったとは考えられません

二人地球にいなかったから気にする必要がなかったとか…?

僕としては地球にコロニーを落とした事がそもそもシャアの本意ではなかったと考えているのですが

でも、一番怖いのはミネバがシャアの行動を肯定してる事だと思うんですよね

必要ならば一年戦争のような混乱が起こっても良いとリディに発言し、コロニー落としを敢行したシャアを情熱があったと肯定するミネバって実は思想的にバナージと真っ向から対立してると思うんです

UCの後日憚は悲劇的なものになるとしか思えない
2015/01/05 (月) 09:27:37 | URL | エーイチ #-[ 編集 ]
>匿名希望さん
お久しぶりです。
ジンバ・ラルの歪んだ教育を受けたシャアが、同じように歪んだ教育をミネバが受けていたことに激怒したくらいですから、セイラも同じように思ってもおかしくないと思うんですよね。
だからセイラが関わって本気で矯正を試みたなら、ミネバがああなってもおかしくないかなと思いました。

>エーイチさん
小説「ベルトーチカ・チルドレン」ではセイラが地球にいるとわかってアクシズを落としてますから、シャアとしてはセイラ関係なく地球寒冷化を実行しようとしていたことになりますね。

もしミネバがセイラといたのであれば、さすがにネオジオンの関係者が宇宙に避難させていたと思います。
セイラはともかくミネバはザビ家の末裔として重要なカードでしたからね。

ミネバはシャアのやったことはあまり肯定的には思っていないんじゃないかと思いますね。基本的に対話路線でしたし、やりたいことはあえて言うならブレックスに近かったんじゃないかと思います。
2015/01/07 (水) 00:29:19 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
ごめんなさい。少し考えをまとめてみたのでコメントに上げてみます。鬱陶しかったら無視して下さい

そう、さすがに宇宙に上げるのだろうと思うのですが、ニュータイプ部隊として連邦に監視されているはずのセイラが宇宙に上がれるのかと思うんです

タイミングによっては“何か起こる”と白状しているようなものだから尚更問題だし、避難させなければならないような事態に残されたジオンの人達はどんな思いになるだろうか、とも

更に言えばセイラの人間関係もチェックされているだろうから、ミネバのようなアンノウンが現れたら身元を参照する為顔写真を撮影してかつての知り合いに見せる可能性があります

となると、ゼダンの門でミネバを見たブライトはミネバが存命していた事を把握する事になるのです

ブライトは軍人としてこれはミネバだと報告するでしょうから、当然連邦もミネバが生きていた事を把握します。ユニコーンの内容に影響するかは何とも言えませんが

あと、特にユニコーンで思うのですがコロニー落としを軽視し過ぎていないでしょうか?

例えば某独裁者を“貧困した経済を建て直した優秀な指導者だった”と言って虐殺の事実に触れないような欺瞞を感じるのです。実際公式の場で発言した何処かの国の議員が問題になっていたじゃありませんか。シャアとコロニー落としを切り離して考える事は出来ないと思うし、シャアを肯定するという事はコロニー落としを肯定する事と同義だと思うのです

ネェル・アーガマのクルーがシャアと声紋の一致した(そもそも何で戦艦に声紋認識の機能があったのか不思議だけど)フロンタルに対して身柄の拘束を行わないのは怠慢以外の何物でもないでしょう。逮捕する命令そのものが出てなかったなら話は別ですが

一般の視聴者を含めてシャアはいわゆる“正義の味方”と考えられてるのかな?それとも、僕がコロニー落としにこだわり過ぎているのでしょうか?

少なくとも、セイラがミネバを教育していたら“情熱があった”なんてセリフは言わせないのではないのかなと
2015/01/09 (金) 12:01:21 | URL | エーイチ #-[ 編集 ]
まずセイラはリィナを送り届けるために月へ行っているわけですから、別に宇宙に出るのに監視されているわけではないと思いますよ。

セイラは決して政府にマークされているわけではなくて、ジオンに関わる争いごとに巻き込まれたくなくて自分から隠れているだけではないかと思います。

シャアに対するミネバの認識は、行為ではなく人間性の部分かなと思います。性格的に色々癖があったということは、色々な人から聞かされていたでしょうし、ハマーンによってシャアはより肯定的に見るように育てられていますからね。

コロニー落としは地球に住んでいる人と宇宙に住んでいる人で認識が全く違うと思いますね。ユニコーンでもそう描かれています。
被害者である地球の人々にとっては原爆や大震災をはるかに上回る大惨事ですが、コロニーに住んでいる人にとっては「穴が開いたら住めなくなるコロニーと違って、地球が壊れたわけじゃないからいいじゃん」くらいに思っていてもおかしくないかなと。
そう思っていたのを、ミネバは地球では違うと知るというのがユニコーンのシナリオかと思います。
2015/01/17 (土) 20:34:13 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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