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リディ・マーセナスの立ち位置を考察する

 リディ・マーセナスは、結果的にはユニコーンガンダム2号機のパイロットとして準主役の扱いを受けるキャラクターです。しかし、登場時はロンド・ベルの1新米パイロットの扱いで、物語的には中心にはいませんでした。
 果たしてこのキャラクターは一体「ガンダムUC」という作品の中でどういう役割を与えられていたのか、少し掘り下げてみたいと思います。


 小説版を読んでいた時から、リディというキャラにはかなり違和感を持っていました。それは、主人公としてバナージがいるにもかかわらず、それと同等の青臭さを持っていて、絵がない小説だととくに「キャラがかぶっている」という印象があったからです。
 イメージとしては、アムロのいるホワイトベースにコウ・ウラキもいる、というような印象で、別作品の主人公がコラボ出演しているんじゃないかというイメージさえありました。

 しかし曲がりなりにも、リディはバナージと共に「アムロと同じ色の光」を発現させたキャラクターだったわけですから、おそらく本来はニュータイプとして優れた才覚を持っていたはずなのです。バナージは最初から「そうなるように導かれて」いたキャラクターでしたが、全くそのバックグラウンドがないリディがニュータイプとして覚醒するまでの過程は、どのようなものだったでしょうか。


 注意しておかなければならないのは、小説版とアニメ版ではリディの扱いが異なるということです。小説版では、リディはフロンタルと戦うバナージに援軍として登場した時にはすでに虹色に輝いており、バナージへの協調の意思が具現化していたことになりますが、アニメ版ではコロニーレーザーを止める土壇場で金色から虹色に変化し、コロニーレーザーの阻止に成功したという描写になっていました。
 小説版では、そもそもクシャトリヤも虹色の光を放っているなど、基本的にバナージの光に引っ張られて虹色化しているような描写のされ方をしていましたが、アニメ版の場合、バンシィはずっと金色のままで、最後の土壇場でリディが真の覚醒を果たしたかのような描かれ方をしていました。そのため、ある意味ではアニメ版ではリディの覚醒こそが最後の鍵になっていたかのような印象さえあります。

 リディは初代連邦首相の末裔であり、バナージはその初代首相を暗殺した主犯の一人の末裔です。宇宙世紀が始まった瞬間に始まった呪いが、それぞれの末裔の覚醒によって救われる物語になっていたと考えると、それはそれで筋が通った物語になっています。
 ただ、リディが最初からそういうキャラクターとして描かれていたかというと、かなり怪しいものがあります。

 実のところ、小説版においては、リディはアルベルトと共に「バナージの影」というべき立ち位置に置かれており、正確には2人がセットでバナージに勝つことができないポジションという役回りでした。アルベルトはバナージと同じ血筋でありながら同じ扱いを受けることができない憤りを抱え、リディはバナージに匹敵する血筋を持っていながらミネバを振り向かせることができない憤りを抱えており、それぞれバナージになれるかもしれなかったのに、なれなかった存在として描かれていたのです。
 それが時間の都合等もありアルベルトの存在感が大幅に減らされ、逆にプラモとして売れるバンシィのパイロットのリディは更にクローズアップされることにより、より第二の主人公に近い立場に引き上げられたとも言うことができます。最も、戦闘中の扱いはむしろ悪くなっているのですが。

 ヒロインを巡る三角関係における主人公のライバル、という意味では、シャア以来のガンダムシリーズ伝統のライバルキャラではあるんですが、ヒロインがリディに傾く可能性が一切なく、リディが一方的に負け犬になってしまっているためにライバルになりきれていない部分があります。福井氏の作家性がそうさせているのかもしれませんが、ライバルという意味では富野アニメでいうと「ダンバイン」の黒騎士の方が近いキャラかもしれません。
 その側面で考えると、富野アニメではZ以降よく出てくる「ジェリド系」ライバルキャラの系譜であるのかもしれません。主人公の宿敵として登場するも、「技量においても絶対に主人公に勝てず」終わってしまうライバルキャラですね。ジェリド、マシュマー、ギュネイ、クロノクルの系譜というか。しかしそんなキャラが最後には主人公と同じガンダムに乗って同等の力を覚醒させるあたりに、違和感の原点がありそうです。

 その分アニメ版は、初めから再構築されている部分もあり、特に4話以降小説版とはキャラクターの方向性が変化していました。あくまでもミネバを中心に行動していた小説版と違い、アニメ版のリディはラプラスの箱を知った上でリアリストとしての側面が強調されており、シャンブロ撃墜をためらうバナージに代わって撃墜して見せたり、ユニコーンとバンシィの戦いにデルタプラスで介入しようとしたり、バナージの敵となっていく過程が強調されています。
 またリディのニュータイプとしての才能についても、小説版ではどちらかというとバンシィのデストロイモードはユニコーンに引っ張られていたのに対し、アニメ版では自力で発動したような印象になっています。ある意味では、元々素養はあったものの、バナージへの憎しみがバンシィを覚醒させ、逆にバナージへの同調が真の覚醒に繋がるという、まるでGガンのような演出になっていることがわかります。
 別にニュータイプは明鏡止水の境地に達することが必要なわけではないので、激情に駆られて覚醒したカミーユのように、基本的には強い感情と意志があればその力を発動させることは可能です。バナージと戦っている時のリディは、ヤザンを撃墜した時のカミーユや、ジュドーと戦っていた時のハマーンに近い状態であったのではないかと思います。

 そう考えると、バナージが着々と周囲の大人に支えられながらアムロへの道を辿って行ったのに対し、リディはまず「愛と怒りと悲しみの(笑)」ニュータイプへと目覚めた上で、マリーダというトリガーを経てバナージと同じ境地にたどり着くに至った、と考えることができます。ある意味では、黒富野時代の富野ガンダムの主人公のオマージュとも言えます。そこまで考えられていたわけではないでしょうけど。

 だとすると、宇宙世紀の呪いが解かれる過程を描いたガンダムUCという物語は、ある意味では黒富野時代の宇宙世紀を白富野的世界観に再構築しようという試みでさえあったのかもしれません。
 ただ、それは作者自身が黒富野の極地であるイデオンと繋げようとしてしまったために台無しになってしまいましたが…(笑)

 個人的には、リディはもう少し戦闘力の高いキャラであるべきだったのかなと思います。どうしても序盤の新米パイロットとしてのイメージが強く、その後も明確に活躍するシーンがないために、いきなりバンシィに乗ってデストロイモードに変形されてもなんかカツみたいなのが急に強くなったような印象を受けてしまいます。
 新米ではあるもののそれなりの才能を発揮していて一部には腕も見込まれているものの、バナージのニュータイプとしての実力に圧倒的な壁を感じるキャラみたいな立ち位置であった方が、もう少し印象が良かったかなぁと思いますね。
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コメント
コメント
かぶりあい、宇宙
初めまして、いつも楽しく拝見させていただいています

リディの立ち位置について読んでいたら妙な引っ掛かりを感じました

有力者の血族で

主人公に恋の争いで敗れ

パイロットとしての実力も及ばない

にも関わらず最終決戦で対抗馬として担ぎ出される

これって一年戦争時代のシャアと同じ立ち位置ではないでしょうか

ミネバを救う為に政治的な駆け引き(結婚)を行う件など、MSで戦う以外の方法を模索するあたりフロンタルなんかよりよほどシャアらしいと思えます

マリーダを撃破して覚醒する件をララアのオマージュと考えるのは穿ち過ぎでしょうか

何と言うか、ユニコーンはキャラの立ち位置が近過ぎてぶつかりあい結局消化出来ずに終わらせたという印象があります

バナージの同級生の女の子とかミヒロ少尉とか。バナージへの殺意という点ではリディとアンジェロもかぶってるし

私的にはむしろアンジェロの方がジェリドっぽく感じます。フロンタルに迫るバナージに“お前だって人殺しだ!”と攻める所とか

あと、シャアとアムロは出して欲しくなかった
2014/12/01 (月) 11:10:24 | URL | エーイチ #-[ 編集 ]
初めまして、書き込みありがとうございます。

仰る通りシャアとの共通点もリディにはあると思います。
ただシャアと違って最初と最後が味方、ヒロインとは一度も両想いにならないなど、シャアをシャアたらしめている重要な要素が抜け落ちているキャラでもあるのかなと思います。

小説の頃から感想で書いてますが、やはりUCは主要人物が世界の要人で占められている点が問題かなと思いますね。アニメの場合はそれを凝縮しすぎたせいで消化不良に見える部分があるかもしれません。

アンジェロは主人公への一方的な敵意はジェリド的であると思います。
ライバルとなるには、対等に戦うシーンが少なすぎましたけどね。

シャアとアムロはフロンタルの見た妄想だと思っておきましょう…。
2014/12/08 (月) 20:23:49 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
>アニメ版リディ
メタな話をするとバンシィのアームド・アーマーXCはナイトロ・システムの発展型らしいので、強化処理されていきなり強くなったとも取れます。
強化マシュマーみたいなw
精神面がアレになったのも同症状。
2014/12/24 (水) 19:27:46 | URL | とっぱ #B8xSsyyA[ 編集 ]
そうみたいですね、一応デルタカイはそこの伏線だったのかぁとは思いました。
でもそれだけでは虹色化はできないと思うので、結局は最後は真のニュータイプになったってことになりますよね。
2014/12/29 (月) 18:51:36 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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