がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
ハマーンとシロッコがグリプス戦役中に本当に果たしたかったこと
 ハマーンとシロッコは、それぞれ野望を持ってグリプス戦役に参加していましたが、実際のところ何を目標にして何を成そうとしていたのか、あまりはっきり描かれていませんでした。
 今回はそのあたりを掘り下げてみようと思います。

 まずハマーンについては、ZZである程度結果が出ているのでわかりやすいのですが、基本的には「ザビ家集権体制によるジオン公国の復活」であったと言えます。そのために、ジオン共和国を公国制に戻すための工作と国際社会からの認知承認を得ることを目標としていたことになります。
 グリプス戦役の時点では、まだハマーンはサイド3には戻っておらず、エゥーゴとティターンズにそれぞれ接触してどちらにもコネを作ろうとしていました。どちらにも「ザビ家の復興」を認めさせており、エゥーゴには「サイド3の譲渡」も認めさせていました。このことから、エゥーゴとティターンズにはアクシズの行動を黙認するよう工作していたことになります。それが可能となったのは、エゥーゴとティターンズが戦闘状態になっていたことが大きな要因です。エゥーゴとしては、一応同じスペースノイドの団体であるアクシズを味方につけたいところですし、ティターンズとしては、逆にエゥーゴとアクシズが結びつくのは避けたいところでした。どちらもアクシズを自分たちの側に引き込んでおきたい事情があったため、付け入る隙があったと言えます。
 そのため、ハマーンとしてはどちらにも顔を売っておき、最終的に決定的なコネをつくることがグリプス戦役時点での最終目標であったと言えます。両者共倒れにできれば最高ですし、できなくても勝った側の味方についていればいい、という発想だったんじゃないでしょうか。
 最終的には、エゥーゴが勝利したものの事実上の共倒れという結果に終わり、ハマーンとしてはメラニーという月財界トップレベルの人間とのコネを得ましたので、ほぼ目標は達成されたと言って良かったでしょう。


 難しいのはシロッコです。本心がはっきりせず、また行動を起こしてからすぐ倒されてしまったため、何がしたかったのか明示されていません。
 一つ言えるのは、自らを「歴史の立会人」と称している点です。時代の流れを読みながら、裏から自分の意のままに歴史をコントロールしたかったのかなぁと思えます。「指導する絶対者が必要だ」という言葉から、自分が恣意的に世の中を動かしたいという意図が見えますし、単に勝ち馬に乗るだけの風見鶏でありたかったわけではないようです。
 だとすれば、シロッコが実現したかった世の中とはどのような世界だったのでしょうか。よく言われるのは、「女性が支配すべき」という理論ですが、その割に自分の思い通りに世界を動かしたがっているあたり、当然その女性はシロッコ自身の意図通りに動く人間であったのだと思います。
 問題は、何故女性が支配すべきと思っていたかという点です。富野監督の思考から察するに、目指すところは、コスモ・バビロニアにおけるベラ・ロナを中心とした体制、あるいはザンスカール帝国のマリア主義に近いものであったと考えられます。シロッコが目指した立場は限りなくフォンセ・カガチに近いと言えますね。カガチも木星帰りでしたし。調べてみたらカガチが生まれたのは0088年なんですよね。これは、偶然でしょうか。
 シロッコの意図の裏には、男性社会の限界、つまり古い社会体制の限界という前提があったのかなぁという気がします。ジャミトフは手段はどうあれ既存の地球中心の経済体制を破壊しようとしていましたので、まずこれまでの体制を壊すという目的が共通しているために味方していたと思われますが、逆に言えば、既存の体制を破壊できればジャミトフじゃなくてもよかったんだと思うんですよ。だからこそ、ジャミトフのやり方が行き詰った時点で彼を殺してしまったのだと思います。

 つまりシロッコは「既存体制の破壊」をまずは望んでいて、そのためであれば味方につくのはエゥーゴでもアクシズでも良かった、という可能性があります。ただエゥーゴには月資本が、アクシズにはザビ家という絶対体制がついているため、全く新しい世界を構築できるわけではないあたりがティターンズに及ばない部分だったのかもしれません。
 とはいえ、ジャミトフを暗殺した時点で、シロッコは自らティターンズを率いていこうとしています。この時点でティターンズの立場は大幅に低下しており、エゥーゴとアクシズに押されているなど完全に劣勢です。シロッコがこの立場で勝利するには、それこそ世界情勢に流れを任せて美味しいところをもらっていくしかなかったんじゃないかと思います。
 例えば、一回アクシズに勝たせた上でシロッコが討伐部隊を編成し、見事アクシズを打ち取ればティターンズの立場は回復するでしょうし、エゥーゴが勝ってもアクシズと手を結んでいた事実をばらせばダメージを与えられます。またグリプス2の攻防戦でエゥーゴとアクシズの旗艦を潰してしまえば、ティターンズの正当性はその後どうとでも言葉でごまかせそうです。
 ただどちらかというと、世界情勢はアクシズが部隊を温存していた以上、グリプス2攻防戦の結果如何として(ハマーンが生き残っている限り)アクシズ優位に働いたと思うので、シロッコが生き残っていればシロッコはアクシズの味方についたんじゃないかと思います。一番ベストなのは、ハマーンを殺した上でシロッコがハマーンの代わりにアクシズを動かす立場だったのかもしれません。
 そういう意味では、シロッコはエゥーゴを壊滅させた上で、ハマーンも殺すのが理想であったと言えます。実際にはエゥーゴによるコロニーレーザーの使用を食い止めようとして失敗、自身もカミーユに撃墜という散々な結果で(ヤザンとレコアがラーディッシュ隊は壊滅させてくれたので、あとの戦力はアーガマとZと百式だけだったんですけどね)、全くうまくいきませんでしたが、目指すところはそこにあったんじゃないかと思います。

 ハマーンはザビ家中心、シロッコは自分中心、シャアはニュータイプ中心の世界を望んでいたことになりますが、このあたりの意見の祖語は決定的であり、ニュータイプだから分かり合えるというわけではないという象徴的な事象かもしれませんね。一番政治的に「やり手」だったのがハマーンだったというのがまた、興味深いです。
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コメント
コメント
カガチの件興味深く読ませてもらいました。
富野監督の事なので、意図的にシロッコと関連づけているのかもしれませんね。シロッコのような男が年老いたら、というキャラクター性に思えなくもないです。
2014/01/10 (金) 22:10:42 | URL | #-[ 編集 ]
クロスボーンのドゥガチのように自分の国を作り上げてから既存の枠を崩しに行かなかったのがシロッコらしさであり、限界だったんでしょうね
まあ、ドゥガチの野望は世界制覇ではなく地球殲滅でしたが
2014/01/11 (土) 12:35:34 | URL | ナナシ #-[ 編集 ]
 シロッコについての話になると、一応言葉の意味としては「立会い人」って見届ける第三者という意味なんですが、なぜかみんな「シロッコは自分の思い通りにしたかった」と判断されるので、面白いところだなと思ってます(笑)。
 劇場のシーンでカミーユに「ちっぽけな干渉は、世界を破滅に導くだけだ!少年!」と言ってるので、一応世界を破滅に導かないようにしよう、という意志はあったんでしょうかね。
 ただ、そのために「駄目な現体制を潰す」ことは喜んでやるけど、それに代わる新体制のビジョンを明確にして面倒を背負う気は無かった人、のようにも見えます……。
2014/01/15 (水) 01:18:26 | URL | zsphere #urpZd/xk[ 編集 ]
>名無しさん
ザンスカール帝国のような存在を冨野監督はかなり早い段階から構想していたのかもしれません。
シロッコの理想→貴族主義→マリア主義と変遷していますし。
もしかしたら「F92」にも木星帰りの人間が登場する予定があったのかもしれませんね。

>ナナシさん
シロッコの木星圏での立ち位置がはっきりわからないのでなんとも言えないですね。
木星から尖兵として送り込まれたのか、木星の支配が無理だと判断して地球にやってきたのか。
この辺後日掘り下げてみたいと思います。

>zsphereさん
どちらかというと新体制のビジョンは考えていたけど、現体制を潰すのは他の人に任せようとしていたような気もします。
ただ自分が矢面に立っての新体制は考えていなかったでしょうし、基本的に自分が責任を負うことなく美味しいところだけ頂くのが理想だったんじゃないですかねぇ。
2014/01/25 (土) 17:06:13 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
ドゥガチはクロスボーンで90超&七十年間木星開発に勤しんできたという情報に基づくとΖ時点では四十代、地球侵攻など頭にもなく日々ヘリウム3や鉱物資源を採掘し木星船団との売買交渉に従事し住環境を整えることに悪戦苦闘してたんでしょうね
シロッコは泥臭い仕事は嫌いそうですからドゥガチたちは自分たちの下請け孫請け位の意識しか持ち得なさそうですし、ドゥガチにしてみれば命がけで採掘した資源を買い叩く木星船団は疎ましい存在でしょうから自前の船団を渇望してもお互いにウマは合いそうにないですね
しかしながら開発したモビルスーツは何処と無く似かよっている気もします。
2014/01/28 (火) 23:18:41 | URL | ナナシ #-[ 編集 ]
確かにドゥガチは木星圏の開発環境整備に努めていたんでしょうね。
ヘリウム3の対価で開発していたのだと思いますから、木星船団は重要な資金源だったんだと思います。
シロッコの木星船団は連邦軍ですから、シロッコ自身は木星側の人間ではなく連邦所属ということになりますね。
そうなるとシロッコは木星側の意図で動いていたのではないのかもしれません。
2014/02/11 (火) 15:29:55 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
劇場のシーン大好き
先日、自分のブログでもZの劇場シーンを書いたので興味深く読ませていただきました。

コロニーレーザーに残っている施設なのでしょうが、なぜ劇場だったのか。とか、やっぱりシャアはスターなんだなーとかよく考えてました。

今回の記事の最後の「ニュータイプ同士なのに分かり合えない」これには、ハッとさせられました。基本的にガンダムってMSで戦争して戦うアニメなので固定観念で観ていたことに気がつきました。これは何気ないけどとても重要なことですよね。ガンダムとしては2作品目でしっかりここまで描いているのはすごい。さすが富野さん!だからカミーユの「違う!」エコーまでかけたのかと。ナットクです。
2014/03/05 (水) 22:46:04 | URL | にけ・にっける #ieQ4AptY[ 編集 ]
ニュータイプは分かり合えるとしても、分かり合った上で考え方が決定的に違った場合に、どこまで他人の考えを容認できるか?というところまで行きたかったのかなぁと思います。
新訳Zの時に監督が真のニュータイプ=隣人愛という表現をしていましたが、そういうことなのだと思います。
2014/03/15 (土) 15:18:21 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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