がんだまぁBlog
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ハマーンは何故ダカールを制圧できたのか
 「ガンダムZZ」において、ハマーン率いるネオジオン艦隊はダカールを一時制圧し、連邦政府にザビ家復興の承認を得ようとしていました。エゥーゴさえここまでの制圧は成し得なかったわけですが、何故ネオジオンには可能だったのか、ということを考えてみようと思います。

 直接的な根拠としては、ダカールには多くのネオジオンの工作員が潜入しており、事実上議会はすでに制圧されていた、ということが挙げられます。
 しかし、ネオジオンが一体いつダカールに工作員を送り込むチャンスがあったのでしょうか。アクシズはグリプス戦役中は基本的に宇宙で行動しており、地球に誰かを送り込んだ様子は見られませんし、仮に誰かを送り込んだとしても、ジオン残党の人間がいきなりダカールに入り込んだところで、味方がいるとは到底思えません。
 そもそも武力での制圧ならともかく、連邦の高官たちを懐柔していたわけですから、その「工作員」と呼ばれる存在はいわゆるスパイとか戦闘員ではなかったのだと思います。働きかける相手は、議員などのある程度実権を持った人間のはずです。それらと交渉を行い、味方に付けた上で、議会の方針をネオジオン懐柔へ向けていく政治工作を、ネオジオンは行ったと考えられます。
 とはいえ、ネオジオンにそのような政治力があれば、アクシズになど逃げずに当初から連邦政府と交渉できていたように思えます。その政治力をグリプス戦役中に得たとすれば、答えは一つしかありません。エゥーゴが間に入っていたのです。

 アクシズはグリプス戦役中、エゥーゴと手を結びゼダンの門とグリプス2をティターンズから奪いました。ティターンズとも手を結んでいたのですが、ジャミトフ・シロッコとハマーンは基本的に決裂しており、また両者とも死亡してしまいました。
 エゥーゴとアクシズもまた交戦はしているのですが、ゼダンの門攻略の際にエゥーゴがアクシズの力を借りたことは事実であり、これに対しアナハイム会長であるメラニーが直接ハマーンとミネバの前に赴いて頭を下げています。これは明確な「貸し」であり、それに対するエゥーゴからアクシズへの見返りは、「サイド3の譲渡とザビ家の復興を認める」ということでした。これは単にアクシズの行動を黙認するという意味であると思っていましたが、どうもそうではなさそうです。アクシズの議会工作は、エゥーゴの助けがなければできないと考えられるからです。
 ティターンズが倒れたことにより、エゥーゴの政治的説得力は上がり、議会においてもエゥーゴ派の力が強まっていたと考えられます。これらエゥーゴ派がネオジオンを認める方針を打ち出せば、それを承認させるのは難しくなかったでしょう。事なかれ主義として描かれている連邦政府としても、その代わりに無用な戦争を回避できるのであれば、その後復活したジオン公国が何をやってくるかも考えずに承認することは容易に想像できます。
 つまりアクシズはメラニーという強大な権力者に作った絶対的な「貸し」により、ダカールの無血占拠を可能にしたと考えられます。

 しかし、その割にはアーガマは全面的にネオジオンと対決姿勢を取っていました。この辺りは、グリプス戦役後にアーガマが単艦運用状態に置かれていたことで説明をつけることができます。
 始まりは、メールシュトローム作戦からです。アクシズの協力を得てエゥーゴはティターンズを追い詰めましたが、一方でアクシズはグラナダにも向かっていました。メラニーが頭を下げたにもかかわらずここまでやったわけですから、ハマーンはメラニーに対して更なる譲歩を引き出そうとしていたと考えられます。従わなければグラナダを潰す、言うことを聞けばコロニーレーザーでアクシズの針路を変えてやる、とでも言ったのでしょう。
 当然そこまで言いなりになるわけにはいかないメラニーは、エゥーゴにコロニーレーザーの奪取とアクシズの針路変更を命じます。これがメールシュトローム作戦の裏事情であったと考えられます。
 結果としてエゥーゴはメールシュトローム作戦を成功させ、ハマーンへの全面屈服は避けられました。しかし元々「貸し」がある状態なので、これでチャラになったとは言えません。アクシズが全軍を振り向けた場合に対抗できるだけの戦力はエゥーゴには残っていませんでしたし、次に何かされたときに阻止できるとも限りません。メラニーは、「エゥーゴが独自に動いてしまった」ということにしてハマーンに対する立場を守り、ある程度のレベルまでハマーンの要求を受け入れたのだと思います。それがダカール無血占拠へ繋がっていったと言えます。

 そしてその時点で、残されたエゥーゴ艦隊(アーガマのみ)は、メラニーの指示から独立した部隊という扱いにせざるを得なくなりました。十分な支援ができない代わりに、いざという時に「勝手に動いた」ということにしてハマーンを攻撃できる刃として、アーガマは残されることになります。
 実際に、ダカールに対しアーガマとカラバは協調して戦力を展開し、ネオジオンを攻撃してハマーンと連邦政府の交渉を邪魔しました。また同時に宇宙でもエゥーゴ艦隊がアクシズに攻撃を仕掛けたようですが、これらの行動の報いとして、ダブリンにコロニーが落とされることになりました。かつてグラナダにやろうとしたことと同じことを、今度は実行して見せたことになります。

 またこのコロニー落としは、連邦政府への恫喝であったと言えます。地球に住む人々にとって、ジオンがやったコロニー落としは大きな心理的ダメージになっていたはずで、それをもう一度やって見せたというのは、またあのような戦争にしたくなければ従え、というメッセージであったようです。「ガンダムUC」のタカ派を見てると、逆効果になりそうな気がしますが(笑)
 ただいずれにせよ、ダカールで完全に交渉に成功していればその必要はなかったでしょうから、やはりエゥーゴとカラバが抵抗して見せたことが引き金になっていたんじゃないかと思います。

 その後、連邦政府とネオジオンの間に何らかの交渉があったかどうかは、描かれていないのでわかりません。ただハマーンはサイド3にいたので、事実上誰も止める者がいなかったのだろうと思います。その後ブライトが討伐部隊を編成していたことを考えると、政府の正式な承認は得ていなかったのかもしれません。
 またグレミーの反乱自体が、連邦・エゥーゴ側が仕込んだ策略だった可能性も想定できます。政治力でネオジオンを止めることが困難となったため、ネオジオン同士で分裂させてしまおうという発想です。グレミー側にバウやドーベンウルフなど、連邦系技術が使われているようなMSが多く投入されていたあたり、かつてのエゥーゴに対してやったように、アナハイムが戦力供与していた可能性もありますし。
 少なくとも、当初の企画書通りグレミーではなくシャアが反乱を起こしていれば、まさに意図的な分裂であったのだと思います。エゥーゴからジオンに戻ったふりをして、実はネオジオンを破壊するのが役割だった、と考えると非常に辻褄が合います。元々はそういうシナリオだったんじゃないでしょうか。

 いずれにせよ、アクシズ・ネオジオンをめぐる連邦に対する動きは、歴代ガンダムシリーズにおいてもかなり高度な政治力学が働いていた可能性があります。このあたりを掘り下げてみるのも、一興でしょう。

(まとめ)
・アクシズ、エゥーゴ・ティターンズと接触し、サイド3譲渡とザビ家承認をもちかける。
・アクシズ、ティターンズと決裂しエゥーゴと共にゼダンの門を攻撃。
・アクシズ、グラナダにアクシズを向かわせエゥーゴに降伏を迫るもアーガマ艦隊を独自に動かされ失敗。
・メラニー、ネオジオン制圧のための議会工作に協力。裏でアーガマ強化及びネェル・アーガマ建造を開始。
・ネオジオン、ダカール制圧。しかしアーガマとカラバが追い出す。宇宙ではアクシズをエゥーゴ艦隊が攻撃するも失敗。
・ネオジオン、ダブリンにコロニーを落とす。
・ネオジオン、サイド3を制圧するもグレミーの反乱にあい瓦解。連邦とエゥーゴの連合艦隊に制圧される。

 劇中では主人公中心のドラマとなっているため、このあたりの政治的事情は断片的な台詞と起きた事実からしか推測することができません。作り手はそれなりに設定を考えていたのだと思いますが、それを推測するとこうなった、ということですね。
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ネオ・ジオンとメラニーの「ザビ家の復興」はネオ・ジオンのサイド3正統政府承認というレベルまで及んでいたならば、ダカールへの「入場」もその約定の履行ということでしょうね。

ハマーンは当然エゥーゴの抵抗は想定済みですし、メラニー=エゥーゴでもないと主張するのも織り込み済みでしょうから。さほど問題視はしなかったか。

連邦としてはとにかく戦力が整うまでは決定的な発言は避けながら時間稼ぎをしたかったみたいですが、コロニー落としでさらに脅しをかけられたと。

ある程度の時間は覚悟していたところでグレミーが反乱を起こし、ハマーンも一気に消耗してしまったあたりで慌てて討伐軍を編成したって感じがします。
2013/12/09 (月) 14:35:06 | URL | ドクトルK #-[ 編集 ]
ZZのアニメの劇中を見る限り
・連邦は腐敗で弱腰(グリプス戦役のティターンズがそっくりいなくなったわけですから、元ティターンズ兵が連邦正規軍に原隊復帰後も1年は保護観察処分とかでしょうね)
アーガマ艦長で1年戦争ではホワイトベース艦長で連邦軍大佐(エゥーゴの大佐ですが)であり、グリプス戦役集結後は当然連邦正規軍にも原隊復帰と同等の待遇と影響力があるでしょう。
タカ派とはいえそれのサイド3を渡すなという意見を全て踏みにじるというのは弱腰なだけでしょう。
・エゥーゴはわずか1年で腐敗(アナハイムのメラニー会長はもちろん、ネオジオンの内乱終結後に艦隊発進、ルーが何を言ってもわからないんだからと言うほど腐敗)
シャア(クワトロ)に率いられた元ジオン将兵はリックディアスの進化形であるシュツルムディアスを運用しているなら、シュツルムディアスは全てグレミー派でリーダーのグレミーのクインマンサとプルツーのキュベレイMKⅡを除きガンダムチームと戦闘すること自体がおかしいと思いますけどね。
2013/12/09 (月) 17:37:40 | URL | #-[ 編集 ]
地球連邦が自ら招きいれた可能性も高いのではないかと思います。
グリプス戦役でエゥーゴ・カラバが勝利後連邦政府や軍に色々と口出ししてきたことを軍上層部や政府高官は忌々しく思っていたのではないか?
反対するにしても連邦軍はボロボロで対抗するにはティターンズの後処理等時間が必要でエゥーゴ・カラバに対してハマーンを当てることで発言力の回復を狙ったのではないか。
33話の高官達のシーンでエゥーゴはアナハイムと組んで金儲けしたがってるとか譲渡含めた和平政策に反対してるのはエゥーゴ・カラバであると発言しています。
また35話の空港シーンでは高官達はコロニー落としでカラバの発言力が落ちエゥーゴを抑えれば戦争が終わると、さらに地球の人口が減って良かったと発言しています。政府高官はコロニー落としを喜んでいるような描写です。
またサイド3を譲渡してもハマーンが戦力化するには時間がかかる事を知っていたかもしれません。
キケロでは住民が反ハマーンを明確にしています。(ザビ家時代より酷いとまで言ってる)タイガーバウムは中立を表明しても何もされていなしハマーンと知っても殺そうとまでしています。
政府高官や軍上層部はハマーン達を使ってエゥーゴ・カラバの政府・軍影響力を排除・抑制して自分達の地位や権限を確保したかったのではないか
外患を使って内憂を排除・抑制する、昔からよくある手法を用いたのかもしれません。
2013/12/14 (土) 18:09:56 | URL | 川上 #X.Av9vec[ 編集 ]
>ドクトルKさん
メラニーとしては、ある程度ネオジオンを泳がせつつ最終的には潰す、という意図だったのかなと思います。
ただ仮想敵としてのネオジオンは残ってもらわないと商売上困るので、
どこまで潰すかの塩梅と利権構造に乗りそうにないハマーンの対処というのが懸念事項だったのかなぁと。

>名無しさん
シャアの参加は不採用になった没展開ですし、シュツルム・ディアスに乗るはずだったのはZ時代の話でZZの時点の話ではないので、ZZに出てきたシュツルム・ディアス隊とは全く別物です。
そもそもZZ劇中のシュツルム・ディアス隊はジオン共和国所属でマシュマーに協力を申し出た立場なので、一応ハマーン派支持のはずです。グレミーからの差し金だったということでなければ。

>川上さん
なるほど、ZZ劇中の連邦高官は確かに、エゥーゴ自体も厄介者として扱っていた節がありますね。
そもそも連邦中枢が腐敗していたからティターンズとエゥーゴが好き勝手やれたわけで、その裏事情がZZになってようやく描かれた、ということでしょうか。
ティターンズが増長しすぎたからエゥーゴを使って抑えさせ、今度はそのエゥーゴをネオジオンを使って抑え、残ったネオジオンは内乱で崩壊、というシナリオを描いていた可能性さえありますね。
2013/12/15 (日) 15:50:16 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
3年越しのコメントになりますが…
「ジオンの幻陽」の描写を肯定すると、エゥーゴ艦隊のアクシズ攻撃は
①事実上アナハイムの人間であるメッチャーが指揮
②(サイド3譲渡が決まったとはいえ)敵本拠地の占領を狙っている
③アーガマのような少数によるゲリラ戦ではなく、ソーラーシステムまで動員した大規模な軍事行動
と、アーガマのように「現場のタカ派が勝手にやったこと」という言い訳が効かない作戦であり、実質エゥーゴとアナハイムのネオ・ジオンに対する全面的な宣戦布告ととられかねないものですが、この時点でメラニーはハマーンとの交渉レベルでの解決を止め、全面戦争へ切り替えているものと考えていいものでしょうか。
2016/09/24 (土) 02:23:53 | URL | 名無し #-[ 編集 ]
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