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がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
アニメ版機動戦士ガンダムUC episode4「重力の井戸の底で」
 巷じゃいろんなMSがいっぱい出てくるよ!しか話題になっていなかったので、マイナーMSがさりげなく出てくるけど肝心の本筋が微妙だった「星の鼓動は愛」みたいな出来なんじゃないかと危惧していたのですが…全然そんな事なかったです。

※タイトル修正に合わせてちょっと追記しました。
 まず小説のダカール編とトリントン編を一つに纏めた点について、無理矢理感が全くなかったですね。尺の都合とは言え、これくらいの内容で十分だった気がします。ダカール編とはほとんどシャンブロの怪獣大行進だったからな。貿易センタービル壊したりする安易なパロディも全部なしになってOKです。
 まぁその分心理描写とか説明描写が浅いというのはよくわかります。リディが箱の真実を知らされた時の事の重大さとか全然伝わってこなかったし、ミネバがいなくなったことを知ったリディのリアクションが全く描かれなかったし、砂漠行脚を何のためにやったのかいまいち説明がされてなかったし、この辺は結構キツかったですよね。ただこれまでも説明不足な描写はいくつもありましたし、そのレベルを逸脱する物ではない感じがしました。

 むしろ、小説を読んでいて「それってどうなの?」と思った部分が省略されたり、改変されたりしていることで、変な違和感を感じずに見ることが出来たかなという気がします。
 先ほどの貿易センタービルに加えて、憲法9条とかドバイの末裔がどうこうとかその辺のノリで取り入れたとしか思えないような現実世界の要素がなくなっていたこと、ロニのバックグラウンドが単にジオン残党の親に縛られていたものとしてしか描かれていなかった事、それ故にロニ本心故の行動ではないことからバナージの声が届く余地があった事、ジンネマンの過去がはっきり描かれずにさらっと流れた事、ブライトが策を弄してユニコーンを取り戻そうとするのではなく単に先に行動を起こしたジオン残党を止めつつユニコーンを狙う程度であったこと、など。
 特にロニがらみの部分は、原作ではシャンブロが父娘で一緒に操縦する仕様で、完全にイスラム原理主義者の父に対し娘が嫌々従っている、という描写だったんですが、今回は父は死んでいて一人乗りで、自らの意思でジオン残党のために戦っていて、原作では出てくるタイミングが違うザクスナイパーの人と男女の関係だったということにされたことで、全く違和感のない設定になっていました。
 あと原作のリディは性格的にも扱い的にも主人公とかぶっている部分があったんですが、アニメ版では出番が少ないのと、キャラ絵が主人公っぽくないので(笑)そう感じなくなってますね。むしろ終盤のダークサイド化(?)に繋がるように描かれているのでしっかり差別化が図られています。
 このように、当時の小説の感想を見返してもちょっと違うんじゃないかと言ったところが概ねマイルドになっているところに、とても共感を覚えました。

 一方で、強い言葉でジンネマンを殴り返すバナージの強さに違和感を感じたりはしました。バナージって平凡な日常に違和感を感じているけど、実はその日常の感覚をしっかり持っていて戦争の異常を一般人の目線で指摘できる、っていう矛盾したキャラなんですよね。今までの生活は偽りだったように描いておいて、でもその一般人としての目線で軍人を喝破するというところにとてもずれたものを感じます。「そういう教育がされてる」と言われて納得できる物ではないんですよね。凄く強いキャラなんですけど、それを裏付けるバックグランドがないあたりは小説版の欠点を引きずっていると言えます。アムロなんか最初に根暗な部分が描かれて以後ずっと根暗ですし、カミーユも最初にエキセントリックな部分が描かれて最後までエキセントリックなんですけどね。ジュドーも最初から要領が良くて技術もあるキャラですし。
 同じようにリディも最初は家柄がいいだけど新米パイロットだったんですが、いつの間にかコクピットを一撃で射抜く凄腕パイロットになってるのが違和感ですね。最初から一定の才能が見込まれているとか、ニュータイプ覚醒の片鱗が見られるとか、何かあればもう少し印象が違うんですけど(ただアニメ版は2話でニュータイプ演出入ってるんですよね。その時点で一応バナージを支援してるし)。
 ただこの辺は小説の時からの根本的な問題であってアニメで改変できる問題ではないので、なんというか最終的にこのOVAの評価は「結局一番悪いのは原作シナリオ」ということになってしまいそうでなんとも(笑)

 さて、戦闘シーンについては、のっけからジュアッグが手でビームサーベルを受け止めているところにびっくりでした。その後ジャベリンでは貫かれてるんですけど何なんでしょうかあれは。
 今回の戦闘シーンは0080の1巻の超パワーアップ版という印象を受けましたね。水陸両用MSたちに蹂躙されていく連邦のザコたち、みたいな。
 あと各地の残党が集結していくところの描かれ方が、ガンダムファイト決勝大会みたいで思わず笑ってしまいました。ジオン残党の熱さってある意味Gガンに通じるものがあるのかもしれません。ガトーVSドモンとかスパロボでやってみませんか?

 トリントン基地での攻防はなかなかに見事でした。原作どおりの活躍を見せるザクスナイパーの描かれ方も実に狙撃手っぽくてカッコよかったし(あれファットアンクルの操縦が神レベルだと思う)、こうもいろんなMSがごちゃ混ぜに描かれると、原作で気になったドムトローペンとドワッジの共演ももはやどうでもよくなりますね。小説の場合は唯一のカトキメカなのでトローペンが浮いてたんですが、もう世界中のジオンメカが共演!状態なんでむしろ同系機だから連携取りやすくていいよねくらいにしか思いませんでした。
 そしてとうとう映像作品への登場を果たしたイフリートにはおめでとうと言いたいですね。08小隊への登場がなくなり、∀への登場もなくなり、やっとこの場で日の目を見たということになります。関係者ががんばったのかなぁ。でも他の機体は基本量産機の系譜ですけど、イフリートだけは8機限定の試作機みたいなものなんで保守大変だったろうなぁ。

 そんなこんなでガンガン連邦の量産機を嬲っていくジオン軍、これじゃあトリントン陥落しちゃうじゃんと思っていたところに現れたバイアランカスタム。この登場の仕方は卑怯ですよ、これガンダムの出方ですもん。宣言しておきますけど、こんな見せ場を与えられている機体なんですからかならずプラモ化されますよ。ロボット魂だけで終わるはずがない。キット化されたドライセンの見せ場よりも遥かに多かったわけですからね。
 しかし自在に空飛べるって卑怯ですね。フリーダムが圧倒的強さを誇ったのもなんとなくわかります。ガンダムタイプが秘匿されている以上、連邦正規軍としてはこういうMSを奥の手にチューンしておいたんでしょうね。

 ロニとバナージの戦いについてはダカール編を踏襲しているんですが、ロニの市街地への暴走がアクシデントなのに周りは誰も止めようとしないのがちょっと変でしたね。目的がダカールじゃなくて軍事基地になっちゃったから仕方ない改変ではあるんですが。
 ただロニはバナージと感応したニュータイプとかではなくて、単にジオン残党としての教育を受けただけの少女だったんで、言葉のやり取りについては素直に見ることが出来ました。声優の演技って凄いですよね。
 あと原作だとリディの増援が「どうやっても止められないところに来た援軍!これで勝つる!」みたいな感じだったんですが、アニメだと旧世代の呪いを受けた人間を、どうしても救いたいバナージと殺すしかないと割り切るリディの対比に描かれていて、内容は全く違いますがこれはこれで凄いと思いました。リディが強くなりすぎなところ以外は。
 この辺の盛り上がりは、音楽と声優の演技によってかなり素晴らしいものになっていたと思います。3巻にはこの熱さが足りなかったんですよねぇ。
 ガンダムUCのテーマが、旧世代のしきたりにどれだけ囚われず新しい可能性を模索できるか、という感じだったので、それをこのアニメであるがゆえの改変に併せて縮図に落とし込んだという展開も、見事だったと思います。この時点では「撃てません」と言うしかなかったバナージがどう成長するか、この時点で箱の真実を知っているからこそ躊躇わずに撃てたリディは…という展開に持っていけますからね。
 そしてリディの父の目論見どおり、先にユニコーンを確保できたと思ったところに現れた黒いユニコーン、という絶妙の引きで次回へ続く!いい流れでした。

 次回は間違いなく、バンシィVSユニコーン、マリーダVSバナージが中心に描かれるでしょうね。一番物語が盛り上がるところなんで期待したいです。そして最終巻は宇宙に上がったところから、でしょうか。この分だとジオン共和国の人のエピソードとかはカットされそう。ハイザックカスタムはキット化して欲しいけど…。前半がフルアーマーユニコーンVSネオジオン艦隊、後半がフロンタルとの決着とレーザー反射だとさすがに盛りだくさん過ぎるかな?

 何にせよ、原作改変が逆にプラスになったという意味でとても良い印象でした。監督が基本的に原作の福井色の強い部分を薄めてくれるんで、そこがすごく評価できます。2,3巻ももっと改変してよかったんじゃないかと思うくらいに。
 状況説明のカットが甚だしい部分はどうしようもないんですが、いっそのことナレーションですっ飛ばすくらいのことをやってもいいような気がしますね。あんまり好ましい手法ではないかもしれませんが、銀英伝みたいな歴史絵巻的な省略の仕方をしないと厳しいんじゃないでしょうか。
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コメント
コメント
こんにちは!
UCは劇場パンフとダイジェストで色々補完出来る仕様ですw
OVAだし、分かりにくい所はネットで調べられる時代ですから、繰り返し見返す事考えると映像に盛り込む今のやり方は個人的には正解だと思いますね。
2012/01/09 (月) 16:00:38 | URL | サリー #CS6w9W0Q[ 編集 ]
あーなるほど、劇場に行けばパンフがあるんですね。
後から見る人には…そのうちガイドブック的なものが出るのかもしれませんね。
映像や音、声のクオリティがあまりにも高いんで、何度も繰り返して見るに耐える内容になっているのがいいですよね。
2012/01/10 (火) 19:36:48 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
確かパンフは後でネットで通販があったと思いますが…ダムAに掲載されたらまた書き込みます。今回のVol.4に登場したMSに関してはグレメカ19にスペック表や設定担当者のコメ付きで掲載されてますね。
それはそうとゲーム版UCの限定版にシナンジュ強奪事件を書き下ろした小説が同梱されるようです。
2012/01/10 (火) 20:17:08 | URL | 匿名希望 #-[ 編集 ]
HGUCでデルタガンダムが出るのもゲーム連動みたいですね。
ということはMG化は望み薄かな…7号機も出なかったし。

しかしゲームは中身が途中で終わっちゃうから付加価値つけるのに必死な感じですね(苦笑)
2012/01/13 (金) 00:28:18 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
こんばんは。
リディの強さの件ですが小説では発艦時に一番動きが良い(と、バナージは感じた)描写がありはするんですが・・・厳しいですねやはり(笑

個人的にはデルタプラスに乗ったことがきっかけで(相性が良かったのか)一皮むけた、と言う事にしています。スポーツとかでも上手くなる時は一気に上がる事もあるので。

2012/01/16 (月) 23:22:02 | URL | #-[ 編集 ]
何だかんだいってUCは結構見入りますよね、ガンダム以外のMS(スタークやバイアラン)が特にカッコよくて…。
てかあのバイアラン、コウとか乗ってたりしませんかねぇ。
トリントン繋がりでw
2012/01/23 (月) 17:20:52 | URL | ナイチンゲイル #NkOZRVVI[ 編集 ]
>しかし自在に空飛べるって卑怯ですね。フリーダムが圧倒的強さを誇ったのもなんとなくわかります。

でも真面目に考えると、現在でもデジタル光学技術がもの凄い進歩してきてるんで
MSが飛ぶこうど速度では飛行性能よりFCS性能で決まるような…(汗


それじゃロマンがないですね…すいません(笑


フリーダムの代名詞みたいなマルチロックだけど…

UCのOVAは、敵味方デブリの識別、追尾補足を360度複数処理して全周囲モニターに表示する演出がかったりして
バイアランカスタムが実際にマルチロックしたけど、システム的に標準で実装してそうな特別なもんじゃないぞとかんじる索敵描写が所々にあっていいですね。

現代兵器がそうであるように、目標の同時補足・追尾・攻撃の複数目標との戦闘能力は標準的であったほうがリアリティが感じられるし
いまどきデジタル光学が劇的に進化して、戦車も光学センサーでロックオンと追尾できる時代なんで、SEEDではマルチロックは特別なアイテム化しすぎな感じが(汗


そういえば、ガンダムで明確にマルチロックってわかる描写をはじめていれたのって08のアプラサスIIIだったかな
2012/01/28 (土) 19:04:07 | URL | 狛犬 #EBUSheBA[ 編集 ]
>名無しさん
デルタプラスにはバイオセンサーが搭載されてることになってるんで、
元々NTだからサイコミュ搭載機に乗ることで真価を発揮したということにしておきたいところではあります。
NTらしい片鱗もそんなに多くはないんですけどね…。

>ナイチンゲイルさん
コウだとしたらそれこそかつてのバニングみたいなポジションになってそうですね。
ガトーと決着をちゃんと付けられなかった心残りからジオン残党のエースを追い求めるとかそんな話は作れそうです。

>狛犬さん
SEEDは基本演出で魅せてなんぼなところがありますからね。
フリーダムの場合凄いのは多分マルチロックよりも、ロックした全ての敵の急所を外してるっていうキラの能力なんじゃないかと思います。
あと一つの武器だけじゃなくて複数の、効果も弾速も違うであろう武器の狙いを同時につけてるってあたりも。
2012/02/05 (日) 23:33:13 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
漫画やゲームなんかでUCのオリジナル機体が色々発表されていますが、今月のダムAでUC-MSVになりました。
正式に統合企画扱いになった模様でデルタガンダムもこちらに組み込まれるそうです。
2012/02/24 (金) 21:54:53 | URL | 匿名希望 #-[ 編集 ]
まぁアニメ作品ですからMSVもあって当然ですね。
それまでのOVAは作品自体がMSVみたいなものでしたが、UCは正統な続編扱いですし。
ただ発表されるメカがどんどん宇宙世紀離れしているような気がするのが気がかりです(苦笑)
2012/02/27 (月) 00:28:34 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
確かに宇宙世紀離れしてますね…。
ゲーム版の小説にあった資料ではガンダムデルタカイはオールドタイプがニュータイプの能力を手に入れるシステムだけではなくてフィンファンネルを搭載(なぜかプロトフィンファンネル表記)していたり、シルヴァバレトのプロトフィンファンネル仕様があったりとまるでガイア・ギアのような具合になってきてます(シルヴァバレトに関しては量産型νの代わりと考えられなくもないですが)
EWACジェガン等ありそうな機体も記載されていただけに暴走が気掛かりです。
2012/03/11 (日) 14:45:21 | URL | 匿名希望 #-[ 編集 ]
俺もトリントンつながりで
コウが載ってるんじゃないかと
妄想してました。
空中から複数に射撃とか
0083でそういう描写
あったと思うし。
2012/04/05 (木) 08:45:54 | URL | こたろん #-[ 編集 ]
>匿名希望さん
すみません、コメント返しが漏れてしまいました。

フィンファンネル装備のMSがやたら増えているというのは変な感じですね。
量産型νガンダムってなんか版権的にアウトなんですかね…他のM-MSVは割りとリニューアルされてるのに。

>こたろんさん
名無しのジェガンが後にユウ・カジマになったりしますし、
可能性としてはありえますよね。
個人的にはティターンズになったモンシアたちと共々その後が気になるキャラの1人です。
2012/04/09 (月) 19:01:53 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
やっと観ました
>リディ
原作未読ですがダークサイド化するのですか。アナキン・スカイぅーカーの吹き替え担当の浪川氏がCVなのは、このため。やってる事はカツとアスランを足して二で割ったような気もしますが…。

>バイアラン
機動性は抜きん出てましたが、火力に関してはメタス以下なので工夫してますね。上空から「撃ち下ろし」で撃破の後に、降下して「地面と水平」に撃っても仕留め切れないとか重力落下のエネルギーを利用して弾丸の貫通力を増していた事を示す演出に痺れました。
2012/05/01 (火) 14:32:03 | URL | 巨炎 #mQop/nM.[ 編集 ]
ダースベイダーほどのダークサイド化はありませんが、
まぁ一応そんな感じの展開にはなります。最後は結局アスランみたいなものですけど…。

バイアランはジェリドが乗ってたときもそこそこ活躍してた方ですから(撃破されてないんですよね、確か)
元々優秀なMSだったんじゃないかなぁとも思います。
演出が凄いのは同意です。
2012/05/02 (水) 19:48:06 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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