がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
ジュドーはなぜ木星へ行ったのか
 ZZのエンディングでジュドーが(ルーと共に)木星へ行く事になったというのは、それまでほとんど伏線が見えなかったためにかなり唐突に感じる展開であったと思います。何故そのようなことになったのか、考えてみたいと思います。

 そもそも、ジュドーはずっと個人的な目的のために戦っていました。当初はリィナにいい暮らしをさせるため、その後はリィナを取り戻すため、でした。リィナが死んだと思われてからは状況に流されていた部分があったものの、そのリィナの生存を直感的に確信してから、ようやくジュドーは外の世界へ目をはっきり向けるようになります。
 そして最終的にジュドーは、自分が「身勝手な人の独善に対して、みんなの意志を背負って戦ってる」ことにはっきりと気づきます。そして「人類全体がやり直さなきゃいけない」と言い切ります。ここが一つ。

 また、直接木星へというモチベーションが生まれるのは、ハマーンとの決着の時であると言えます。「アステロイドベルトまで行った人間が戻ってくるというのはな、人間がまだ地球の重力に引かれて飛べないって証拠だろ」というハマーンの言葉に対して、ならば自分もその向こうまで行ってみよう、と思ったようです。これは当時のアニメ誌のインタビューとかでも言われてたはずなので、まず間違いないでしょう。
 ジュドーがそうまで思ったのは、それだけハマーンという存在が大きな影響を与えた証拠です。それまでうっとおしく付きまとってくるめんどくさい敵、くらいにしか思っていなかったであろうハマーンが、そこまで大きくなったのは何故でしょうか。

 近い台詞から考えると、「その潔さを、なんでもっと上手に使えなかったんだ!持てる能力を、調和と協調に使えば、地球だって救えたのに!」という言葉がありますが、ここから、ジュドーはハマーンの能力をかなり高く認めていることが伺えます。ハマーンには地球を救う力があった、と言っているわけですからね。
 そう言えるのは、おそらくハマーンが「身勝手な人」の側にあるのではなく、「身勝手な人と戦う」側にあると理解しているからなのではないかと思います。連邦政府を倒そうとしていたこともそうですし、ザビ家中心主義のジオン体制とも戦おうとしていたようですしね。
 ハマーンがそれを貫けなかったのは、ジュドーにこだわりすぎたからだという側面もあります。グレミーが裏切るタイミングでアーガマに潜入しようとしたり、グレミー軍に勝てる算段がついた段階でジュドーと決闘して戦死したり、本当に世界をどうにかしようとしたのであれば取るべきではない行動を取っています。しかしシャアの影を追い求めるあまりジュドーにそれを重ねてしまっていた部分があることから考えて、それこそがハマーンの弱さであり行動のモチベーションでもあったことは否めません。

 つまりジュドーにとって、ハマーンは自分の知りうる中での最高のニュータイプでありながら、その力をうまく生かすことができなかった存在だったということになります。そうなってしまった理由が、「アステロイドベルトまで行ったのに地球に重力に縛られていた」ということだと言うなら、自分もそこまで行ってみよう、と考えたのでしょう。

 では、ジュドーはハマーンができなかったことをやりたいと思ったのか?と言われると、それはおそらく違うのだと思います。どちらかというと、ハマーンと同じようになるのを恐れたため、という側面があるように思います。
 当初の企画書より、ジュドーは地球圏の外に出ることは決まっていたようです(火星開拓に身を投じる予定だった)。ニュータイプの感性を持っていられるのは若いうちだけかもしれないから、それを失わないよう自分を鍛える、という意味があったようですが、ZZという作品が当初よりニュータイプ=子供、オールドタイプ=大人という文脈で描かれていたことから考えると、ジュドーが恐れたのは「地球の重力に魂を引かれた身勝手な大人」になることだったのではないのでしょうか。

 ジュドーは確かに「身勝手な人」と戦うことを目的としましたが、それはハマーン(やその後のシャア)のように連邦政府打倒のために戦争を起こすようなことを考えているわけではありません。身勝手な大人と戦うことを究極的に突き詰めると、最後にはそこに行き着いてしまう可能性があるのですが、それではその打倒すべき身勝手な大人と同類になってしまう、ということがジュドーのハマーンへの言葉から伺えます。そうはなるまい、と思っていたのがジュドーのはずです。
 つまりジュドーは、「身勝手な人」を打倒すべきだという気持ち(これは終戦直後にはブライトに対して発散させたんですよね)を、木星まで行った場合どういう形で持つことになるのか、それを試しに行ったんじゃないでしょうか。

 カミーユは、身勝手な人間に対する怒りを力に変え、その矛先を全てシロッコに転嫁した挙句、それを制御できずに崩壊しました(新訳はその怒りがそこまで大きくなかったから耐えられた)。ジュドーはそういう感情を超越できるかどうか試すために、木星へ行く事を選んだのかもしれません。

 そう考えると、もう一つ唐突に見えた、ルー・ルカとくっついた事実についても説明できるような気がします。ジュドーが木星に行きたいということを前提にするのであれば、どっちの方がそれに同調しそうかというと、エルよりはルーだったんじゃないでしょうかね。エルにはシャングリラという帰る場所がありますし、ビーチャの気持ちにも薄々気づいていたし、どちらかというと生活感が強い少女ですが、ルーは帰る場所への未練がなさそうだし(志願兵ってくらいですから)、想われていたグレミーはいないし、どちらかというと人類全体を考えることができる方(シャングリラの人たちよりは)ですし。
 ジュドーがどっちかを木星に連れて行くなら、ルーの方がわかってくれそうだよね、とは思います。

 凄く漫画的な言い方をすると、ニュータイプは感性が高すぎるが故に、世の中の汚れた部分を強く察知し、それを憎み過ぎると殺意の波動的なものに飲み込まれる可能性がある。カミーユはそれに耐えられず崩壊し、ハマーンはそれに取り込まれて道を誤ったが、ジュドーはそれに負けないために修行したい。だから木星へ行こう。そういうことだったんじゃないでしょうか。
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コメント
コメント
今回もはっと気づかされました。
木星行きはずっと疑問だったんですが、当時のインタビューで富野監督が説明してたんですね。
ハマーンはそういう立場で戦っていたんですね。いなくなったシャアにこだわってるのはわかってましたが、深いですね。
面白かったです^^
2011/12/22 (木) 11:50:07 | URL | コスト #tHX44QXM[ 編集 ]
ウッソの精神的な頑健さってのも異常な感じまでさせるけど、ジュドーも相当にタフネスなんだよね。そして優しい男なんだと思う。多分アムロよりも。

シャアとか、グレミーとかってジュドーは一等嫌うタイプなんだろうね、視点がそういう大義で傷つけられる者に向くからで、そういう連中はどこを向いてもおんなじで害虫みたいに次々わいてくる。

ジュドーは人類のやり直せる可能性を探しに最も厳しい地に向かおうとしたのだと思うんですよね。で、それは老人になっても続いて、とうとう太陽系からも旅立って行った。

ウッソとの最後のやり取りはまさに彼の生き方そのものだったと思うのですよ。
2011/12/22 (木) 15:53:20 | URL | ドクトルK #-[ 編集 ]
本筋とは別の話ですが、ひとつだけ指摘します。

「ビーチャ→エル→ジュドー」の関係は、シャングリラにいる頃からずっとでちょくちょく本編でも描写されていました。
(ほのめかす程度ですけどね)


アフリカあたりだったとおもいますが、エルがジュドーにコンビにならないかと聞いたシーンで、こんなセリフがありました。

ジュドー:「ごめん、だって俺、ビーチャと喧嘩するつもりないもん」
エル:「なんでビーチャが出てくるのよ!」


NT的な洞察うんぬんではなく、ジャンク屋時代にでもビーチャが「エルっていいよなぁ」とか言ってたんじゃないでしょうか。
そのつもりで見れば、ビーチャが「エルの気を引く」ための行動をしてるのは丸判りでしたし(ZZに乗ったりしてジュドーに対抗意識出してたのもそのあたりが根本原因だって描写があります)、正直、シャングリラメンバーの中では『気づいてないのはエルだけ』状態だったっぽいです。
2011/12/23 (金) 09:45:01 | URL | くっきーもんすたー #tBF1tvso[ 編集 ]
概ね賛成ですが、ハマーンがザビ家中心の体制と戦っていたかは疑問があります。
確かにΖの最終局面でシャアを誘うセリフもありますが、一方でザビ家に新たな血を加えて復活させてみせるという物もあるので少なくともザビ家の体制を継続させる意図(改革も踏まえた発言かもしれませんが)はあったと思われます。
2011/12/24 (土) 15:08:23 | URL | 匿名希望 #-[ 編集 ]
>ツイッターに対する返信です。
#そういえば一年戦争後のサイド6ってどうなったのかな。はっきり明示した資料がなさそうだけど。


1年戦争後のサイド6に関してですが、作品の外の事情から言うと「1年戦争時とZガンダムで設定が違う」ので出しづらいようです。

エコールの設定オブザーバーの方がそういうことを語っています。
(↓URLの脚注3あたり)
http://homepage3.nifty.com/YAP/ecole5.htm

内容をざっくりまとめると
・1年戦争時の旧サイド6は現在『サイド5』という名前になっている。
・1年戦争時の旧サイド4が『サイド6』を名乗っている。
・これは、Zガンダム時に設定の変遷があったためだが、現在はコロニー再生計画という設定をつけて説明している。
・とはいえ「中立サイドといえばサイド6」は、ガンダムファンの中じゃ常識なので、エコールでは『判りやすさ』を優先して、新サイド6を「元々中立コロニーだった場所」として出した。


個人的には、エコールのこの説明を受けて「旧サイド6の組織はコロニー再生計画で解体され、一部のコロニーはL5の新サイド6に移送された」と解釈しています。
(だから、ユーナの知っている場所があったということで……)
2011/12/27 (火) 08:33:37 | URL | くっきーもんすたー #tBF1tvso[ 編集 ]
>コストさん
ありがとうございます。
インタビューは富野監督ではなかったと思います。
監督は、ほとんどシナリオには関わらなかったようですからね。
ただ脚本の意図はそうであったようです。

>ドクトルKさん
妹と仲間に恵まれた分強いですね、ジュドーは。
高い志を持って戦う側じゃなくて、そういう人たちの割を食う側にいるからこそでもあり、
根本的に他のキャラクターと育ちが違うっていうのが強みになってますね。

ジュドーはコロニー先住民のスピリットを持ち続けていたんじゃないかと思います。
だから新しい環境をもっと開拓しようという意欲を持ち続けられたのかなと。

>くっきーもんすたーさん
「ビーチャの気持ちにも薄々気づいていた」のはエル自身がという意味で書いたつもりでした。わかりにくくてすいません。

サイド6については、その後の政治情勢とかを何かで掘り下げてたりしないのかな、と思ったのですが…
状況だけ見ればかつてのサイド6はコロニー再生計画で解体されたと見えますね。
連邦と共和国がくっついちゃったので、間に立つ意味もなくなっちゃったんでしょうね。

>匿名希望さん
ハマーンはザビ家を見返したい、とか言ってるんで、
ザビ家そのものは利用し続けるつもりだと思いますが、
旧ザビ家の支配体制は打破するつもりだったのだと思っていました。
だからグレミーを通じて旧ザビ派に叛乱を起こされたのだと解釈しています。
2011/12/27 (火) 22:03:36 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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