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「戦いの道具」にならなかったニュータイプについて
 宇宙世紀におけるニュータイプと呼ばれたキャラクターは、基本的には一兵士として消費される運命にあった人間がほとんどでした。
 しかし、中には高いニュータイプ能力を持ちながら、集団の統率者として活躍したキャラもいます。その代表的な存在が、パプティマス・シロッコとハマーン・カーンです。(ネオジオン総帥としてのシャアもそう言えるのですが、彼が総帥となり得たのはその血筋による影響が大きく、またパイロットとしてもニュータイプだからではなく純粋に技量で活躍していた部分があるので今回は考えません)

 この2人が、いかにしてニュータイプでありながら末端の兵士ではなく統率者となり得たのか、という点からニュータイプの可能性について考えてみようと思います。

 まずハマーンについてですが、彼女は元々はフラナガン機関にいたニュータイプであり、境遇的にはララァのようになってしまってもおかしくない立場にありました。ただララァと違うのは、彼女の場合マハラジャ・カーンというジオンの中でも高い地位にある人物の実子であったことです。

 ハマーンがアクシズのリーダーになり得た理由として、大きく挙げられるのが「マハラジャの娘であること」「マハラジャの後継になり得た立場にあったシャアの推薦があったこと」「ミネバと年齢が近く、意志の疎通が容易であること」という点かなと思います。
 もっとも、当初はアクシズの人間達も、ハマーンはあくまでアイドルであって、実権は他の人間が握る予定だったのではないかと思います。ギレン派・キシリア派・ドズル派の派閥争いと縁遠いマハラジャの派閥をそのまま引き継げる事と、ミネバの後見人として適当だという理由だけの人選であり(シャアの推薦も、CDAにおいては人から言われたからしただけ、というような描写でした)、ハマーン自身が自らの意思でアクシズを牽引する事などほとんど想像していなかったはずです。年齢的に考えても。

 実際のところ、劇中の描写だけでは、全ての実権をハマーンが握っていたというところまでは判断しづらいものがあります。Zではほとんどパイロットかミネバのお守りでしたし、ZZでは職務放り出してジュドー追いかけていましたし。確かにハマーンは一兵士ではありませんが、周囲に利用されていただけという立場なのは変わらないのかもしれません。

 ただ、ではハマーンが傀儡に過ぎなかったかというと話は別です。少なくとも、ハマーンはMS戦闘部隊長としては圧倒的な実力を持ち、またそのカリスマ性により、既存の派閥に属さない兵士(特に新兵)の支持を獲得することができていたのではないかと思います。企業で言えば、経営能力は低くとも社員として挙げた実績は確実にトップであり、一般社員や顧客層には大人気の女性社長というところでしょうか。
 ニュータイプ能力としては、あくまでもパイロット以上のものは発揮していないのではないかと思います。もちろん何らかの経営的判断を行う際に、優れた勘を見せていた可能性はありますが、カリスマ性や指導力についてはニュータイプだからというよりはマハラジャ譲りの部分があるのだと思いますし、むしろアクシズ最強のパイロット(が美しい少女)であるということ自体が、兵士が大半のアクシズにおいては最大のメリットだったのかもしれません。


 一方のシロッコについては、何故木星船団のリーダーになれていたのかという点の描写はないため、ほとんど想像に頼る事になります。
 劇中の描かれ方から想像するに、シロッコは「時流を読む」ことに優れており、その時々で敵味方を見定めて行動してきた人間であると思われます。また、同志になり得ると思われる人物には積極的に働きかけ、味方に引き入れようとする傾向があります。一方で不要と思われる人物は容赦なく抹殺する側面もあり、ジャミトフを暗殺し、バスクも間接的に謀殺しています。
 つまり、おそらくシロッコは、敵味方を作った上で敵を排除し味方のみを残すことで、高い地位に上り詰めた人間なのではないか、と推測する事が出来ます。

 もしそうだとすれば、シロッコはそのニュータイプ能力を敵味方の峻別に使っていたのではないかと思います。もちろんパイロットとしても優れたニュータイプでした。MS開発なんかはニュータイプとは関係なく単純に天才なのだと思います。元々工学系に強い人間だったんじゃないでしょうか。

 ところで単に時流を読めるだけでは、リーダーは務まりません。シロッコには高い指導力と人心掌握術があるからこそ、リーダーたり得たのではないかと思います。そしてそれは必ずしもニュータイプだから持ちえた能力であったとは思えません。
 工業分野での知識技術に優れ、かつ指導者としても高い素養を持ち、かつニュータイプとしても最強クラスだったのが、シロッコという人間なのではないでしょうか。


 以上のことから言えることは、ハマーンはニュータイプとしては優れたパイロットであったことが強く働き、リーダーとなり得た部分についてはむしろ血筋や立場による影響が強かったのに対し、シロッコはニュータイプとしての察知能力を存分に政治力に使い、元々のリーダーシップをさらに高める効果を出していたということなのではないかと思います。

 アムロは連邦政府の人間にそのニュータイプ能力を恐れられ、閑職に回され軟禁状態に置かれました。それはシロッコ的に立ち回ることを恐れられたからというよりは、ハマーンのようになることを恐れられたからなのかもしれません。つまり、トップエースとしての実績があるアムロが、その立場を生かして多くの兵士を味方につけ、指揮官の立場を脅かす存在になることを恐れたのではないかと。
 しかしアムロになくてハマーンとシロッコにあったのは、元々のリーダーとしての適性だったのではないかと思います。ハマーンとシロッコはニュータイプであり、かつリーダーとしての適性を備えていたからこそ、ニュータイプでありながら一兵士に甘んじなかった、と言えるのではないでしょうか。

 つまりニュータイプが戦争の道具として消費されるだけで終わるか否かは、結局のところ個人の性格や適性に拠るのではないか、とも言えます。もっと言えば、どの立場の人間がニュータイプとして覚醒するかで決まる、とも言えるでしょうか。ガンダムの物語に登場するニュータイプの多くは、元々一般市民の立場だった人間であり、それが故に利用される以外の術を持つことが出来なかった、と考える事もできるのではないでしょうか。
 要は、不相応な能力を急に獲得したところで、それは周囲に利用されてしまうだけで、自分の意思で自分に有利になるように使うのは難しい、という現実があるわけです。そんな背景の中で、その能力を得たが故に到達する事が出来た世界で、何を考えどのような道を選ぶのか、というのがガンダムの一つの命題なのではないか、と思うのでした。
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マハラジャってどうして死んだのですか?娘のハマーンが殺して下克上したのですか?
まだハマーンは14歳~20歳ですから、年を取っていても50代か60代でしょう。
ミネバの母も死んでいますが。
アクシズは病気か暗殺でもあるんですか?
2010/12/26 (日) 10:30:40 | URL | #-[ 編集 ]
組織でそれなりの立場まで上ったNTとしては、フロスト兄弟もいますね。彼らはNTとしては2流以下(NT研究所的にはカテゴリーF)でしたが、時の権力者の側近まで出世したのは、主に兄シャギアの権謀術数に拠るところが大きいのでしょう。人望はあまりなかったようなので、彼らはハマーンよりはシロッコに近いタイプでしょうね。
2010/12/26 (日) 18:40:48 | URL | #PNwkhDsY[ 編集 ]
>マハラジャ
彼は病死です。ジオン・ダイクンのような陰謀論はあまり聞かないですね。
アクシズの閉鎖的環境と戦後の組織維持のストレスが大きかったんじゃないかと思います。

>フロスト兄弟
彼らの場合はむしろNTとして認められなかったことがモチベーションになっていますね。
兄弟の交信能力を最大限に生かしていましたし、そういう意味でもシロッコに近いとは言えますね。
2010/12/26 (日) 22:34:06 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
ニュータイプ思想のあるジオン系の組織だからという点も大きいと思いますよ。

アムロがどこまで武勲を立てても少佐にさえなれなかったあたり、連邦にとってはニュータイプは良くて道具、悪ければ敵だったという事でしょう。


デカルトが連邦にとってはモルモット程度でしかなかったという事と根は同じような感じですかね。

刹那とデカルトの違いはただ一点、ソレスタルビーイングが存在するかないかの違いでしかなかったと思うだけに。
2010/12/27 (月) 00:05:48 | URL | ドクトルK #-[ 編集 ]
確かに、ハマーンはジオン系の組織だからこそリーダーになれたという側面があるでしょうね。

デカルトは刹那にとって唯一最初の同類だったはずなんですが…
美少女だったらララァフラグだったんですけどねぇ…(笑)
2010/12/31 (金) 16:40:42 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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