がんだまぁBlog
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エゥーゴとは何か?その3
 以前、エゥーゴとは何かということについて、第1回第2回と考察してきましたが、なかなか腑に落ちる結論を導き出せないでいました。
 というのも、エゥーゴというのは本来政治活動であり、組織ではありません。「人類は宇宙に住むべき」という思想をスローガンに、「反ティターンズ・反体制」のための活動を行っていれば、一般市民だろうと軍人だろうと政治家だろうとエゥーゴに同調した者、ということになるように思います。
 しかし、一方でエゥーゴは独自の戦力を備え、軍事行動を起こしています。一部の連邦軍が反乱を起こした、というものではなく、未知の新造艦と新型MSを、連邦所属の軍人が動かして行動を起こしている、という形で。それもマフィアの延長線上みたいなテロ組織ではなく、まがりなりのも正規の軍人が、政界や財界の支援を受けて起こしている行動です。
 政治運動のはずなのに、組織的な軍事行動を起こしているという事実があるために、エゥーゴというのは一体何なのか、非常に掴みづらくなっています。

 エゥーゴ設立の経緯としては、まず一年戦争後の反政府運動というものがあります。これは、劇中でもクワトロが、地球の人々は地球を復興させることしか考えずに、宇宙に住むスペースノイドのことを一切考えてくれなかったという発言をしていることからも、一年戦争の復興が地球を中心に行なわれたことに不満を持つスペースノイドたちが起こした運動であると考えられます。
 これらの運動に対し、取り締まるために設立されたのがティターンズです(名目はジオンの残党狩りだが、裏の目的は反政府運動の取り締まりだと小説版で記述されています)。そのためティターンズは宇宙に拠点を構え、一階級上の特権を生かして現地の連邦宇宙軍を差し置いて活動していたと考えられます。
 そして、30バンチ事件が起こります。宇宙で運動を行っていた人々は、ここで「ティターンズはここまでやる組織なのだ」という現実と、「このような事実を隠蔽してしまえるほどの政治力を持っている」という事実を知ります。おそらくはここで、運動の目的が「宇宙の優先的復興を求める」ことから「反ティターンズ、反地球至上主義」へと傾いていったのだと考えられます。

 このティターンズの横暴は、単なる一部隊の暴走で片付けられる問題ではなかったために、宇宙のあらゆる業界へ衝撃が走ったように思います。政治家はティターンズと繋がっている政治家をなんとかしなければと思ったでしょうし、宇宙軍は同じ軍人としてティターンズのやることは許せなかったでしょうし、一般市民としてはいつ毒ガスを注入されるか分からないという恐怖に晒される事になります。
 つまり、エゥーゴには色々なイデオロギーがありますが、30バンチ事件以後は一貫して「ティターンズ及びそれに関連する組織や人間の連邦政府からの排除」を目的にしていたのではないでしょうか。もっと直接的な目的としては、「ティターンズの罪を暴き、制裁する事」であったと考えられます。
 本来は30バンチ事件がティターンズによる陰謀であったということを証明できればいいのでしょうが、それが実際に成されたのは、AOZにおいて元ティターンズ兵が実際に証言した事によるもので、エゥーゴの活動の成果とは言い難いものでした。ただ、エゥーゴが軍事力でティターンズを滅ぼした結果、元ティターンズが裁かれる身になったことで分かったという意味では、エゥーゴのおかげとも言えます。そう考えると、結果から見ればエゥーゴは軍事力を持ってティターンズを直接殲滅する事で、ことの解決を図ったことになります。だとすれば、エゥーゴが軍事力をもった理由もそこにありそうです。

 そもそも、エゥーゴは度々軍事力を持ってジャミトフを抹殺しようとしています。ジャブローの攻撃というのもそれが目的だったようですし、キリマンジャロを攻撃したのもそこにジャミトフがいたからでした。要人暗殺にMSを持ち出す豪快さは凄まじいですが、まぁ確かに軍事兵器で居場所そのものをぶっ壊しちゃえば人は殺せますから、手っ取り早い手段ではあります。つーかエゥーゴにはスパイができる人材がいなかったんでしょうね。レコアとか普通に捕まってるし。一方でティターンズ側は見事にブレックスを暗殺しています。
 軍人ならともかく、ジャミトフ一人を殺すにも直接的な暴力を使用しているということは、逆に言えばそれ以外にジャミトフを殺す手段がなかったのだと思います。例えば政治力では全く太刀打ちできなかったんでしょう。議会もジャミトフのいいように動いていましたし。でもアナハイムを味方にしていなかったということは、「ラプラスの箱」のことは知らなかったんでしょうね。後付け設定だから当たり前ですけど。あるいはジャミトフはジャミトフなりに、「箱」の影響力を無視した体制を作り上げたかったのかもしれません。

 さて、とにかくエゥーゴの軍事力というのは、ストレートにティターンズの軍事力を削ぐために存在していたと考えてよさそうです。しかしこれはなかなかに異常なような気がします。例えばアメリカ軍のエリート部隊、海兵隊でもなんでもいいのですが、それに対抗するためにアメリカ軍の一部の部隊が同等の組織を作って軍事力をもって攻撃し始めたらどう思うかって話です。お前ら内輪もめに実弾使ってんじゃねぇよって言いたくなりますわな。しかもご多分に漏れず一般人を巻き込んでるわけですし。
 まぁエゥーゴとしても正面衝突を行うつもりはなかったようで、あくまで敵本拠地と思われる場所をピンポイントで攻撃してはいます。でもそれって結局完全なテロ行為なんですよね。テロとの違いは艦隊を動員しちゃってるとこです。もう内乱としか言い様がありません。
 しかしエゥーゴの行動は正当化されます。それは、最終的に「ティターンズが悪だった」ということが証明されたからです。エゥーゴを名乗るテロ組織が突如連邦軍の拠点を襲撃してきたので、ティターンズはそれを迎撃した、という名目だったこの紛争が、そもそもティターンズがコロニーに毒ガスを注入するような非道な組織だったので、エゥーゴが正義の元にこの組織の拡大に抵抗した、という形に言い換えられたわけです。

 そう考えると、エゥーゴの軍事力と言うのも純粋にティターンズを殲滅するためだけにあったのではなく、軍事行動を起こす事でティターンズの武力使用を促し、少しでも糾弾できる手段を使ったらそれを明らかにして世に示す、ということが一つの目的だったのかも知れません。結果的にティターンズはエゥーゴを迎撃するために「ジャブローに核を使い」「ホンコンを火の海にし」「フォン・ブラウンを制圧し」「月へコロニーを落とし」「コロニーレーザーと毒ガスでコロニーをいくつも潰し」ているわけですからねぇ。つーかこうして見るとティターンズもメチャクチャですな。ブレックスはバスクのことをよく知っていたみたいですし、行動を起こせば卑劣な手段を使ってボロを出すと読んでいたんでしょうか。
 とにかく、エゥーゴの軍事力はティターンズを潰すための壮大なマッチポンプだったというわけです。いや、マッチポンプという言葉を使うならアナハイムに相応しいのでしょうね。エゥーゴの軍事力はアナハイムの支援無くしてはあり得ないものでしたし、一方でティターンズにマラサイという第2世代MSを供給してバランスを取っていたとなると。

 しかし、エゥーゴの軍事行動が計算した上でのものであるというのはやや疑問が残るところです。むしろストライキとかに近い性格のものだったのかもしれません。あんまりティターンズが宇宙軍の管轄でメチャクチャやるので、お前らふざけんなよと本来の任務を放棄して反政府活動に全面的に協力したのがエゥーゴの軍人だったと。なんかあんまりカッコよくないですけど、戦後の学生運動の世界観を参考にしているのであれば、そんなもののような気もします。
 ただそれもアナハイムの支援あってのものだったということを考えれば、エゥーゴの当人達は純粋な抵抗運動のつもりでも、アナハイムにとっては時代を変えるためのマッチだったということになるのではないでしょうか。

 ジャミトフがティターンズを設立した最終目的は、宇宙も地球も潰した上で新たな体制を構築するというもののようで、要は反感を煽ることを前提でそのような組織を作った節があります。立場は違えどギレンの考え方には共感していた人物のようですし、ただジオン公国中心の体制を作ろうとしたか、連邦制を維持したまま根本的に体制を変革するつもりだったかの違いなのかもしれません。そう考えると、本来マッチに火をつけたのはジャミトフの側だったはずです。
 これを利用したのがアナハイムのメラニー・ヒュー・カーバインということになります。ジャミトフとも旧知の仲らしい彼は、ティターンズに反抗する勢力を全面的に支援し、結果的にティターンズを打ち滅ぼしています。初めからアナハイムの側からけしかけたわけではない以上、アナハイムが起こした紛争という言い方もできません。
 むしろ、ジャミトフとメラニーの共謀だった可能性さえ考えてしまいます。結果的に、ジャミトフがシロッコに殺されてしまったためにそれが瓦解してしまっただけで、実はティターンズとアナハイムで意図的に戦争状態を起こし、ジャミトフ中心の政治体制でメラニーが儲ける、という仕組みだった、とか。まぁ考えすぎでしょうけど。

 いずれにせよ、マッチに火をつけたつもりだったのはティターンズの方だったのに、いつのまにかエゥーゴに別の火をつけられ、しかもエゥーゴにそれを消されて正しいのはエゥーゴということになってしまった、というのが実情でしょうか。
 これは、ジャミトフが煽ってブレックスが釣られたと思ったら、実はその背後にメラニーがいて、煽られたバスクが釣られて形勢逆転、苦し紛れにシロッコを使ったらジャミトフは自滅しちゃいました、というのがジャミトフにとってのグリプス戦役だったという事になるのかなと。

 エゥーゴが元々政治運動だったのは間違いありません。しかし、ティターンズの行動が先鋭化した時点で、それは政治運動を超えて純粋なティターンズ排除運動になったと考えられます。そしてそこで、本来あり得ないはずの軍事力によるティターンズの制圧という行動が始まりました。これはアナハイムがその財力と技術力をもって全面的に肩入れしたことに拠ります。
 となるとエゥーゴが軍事行動に出たのは、アナハイムが武器を持たせてくれたからであり、それがなければまた別の手段で反ティターンズ運動を行ったのではないかと思います。その意味では、エゥーゴの主導権はやはりブレックスではなく、メラニーにあったということになるのではないでしょうか。実際アクシズとの交渉に赴いていたのはメラニーでしたしね。
 つまりエゥーゴが政治運動にかかわらず組織的な軍事力を用いていたのは、アナハイムによる多大な干渉があったから、と結論付けられるのではないかと思います。無論、その軍事力の運用については、ブレックスの手腕が発揮されていたのでしょう。その意味では、ブレックスはジャミトフの対になる位置ではなく、バスクの対になる位置にいたと言えるのかもしれません。
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コメント
コメント
諸君らの愛してくれたバスクも死んだ!
政治や経済の背景事情はやっぱり「Zガンダム」が一番、複雑な作品でしょうね。

>お前らふざけんなよ~がエゥーゴの軍人
ブライトは、この典型でしたよね。

シャアは最初は地球圏偵察がエゥーゴに参加とかウルトラセブンみたいな事やってましたな。(アクシズでもごたごたがあって行き場所を探していたところみたいなのもありますが)
2010/01/25 (月) 08:26:48 | URL | 巨炎 #mQop/nM.[ 編集 ]
>実はティターンズとアナハイムで意図的に戦争状態を起こし、ジャミトフ中心の政治体制でメラニーが儲ける、という仕組みだった

こういう陰謀論的な見方もアリですよね。
チェチェンや911といった現実世界の戦争における陰謀論的要素がガンダム世界の戦争にあってもいいのではないでしょうか。
いや、月面やコロニーのライターがネットなり誌面なりで発表しているのかも知れませんね。
2010/01/25 (月) 19:33:19 | URL | 法政ガン研会長 #-[ 編集 ]
第一次世界大戦がおこった理由はいまだよくわからないらしいですが
この件もそういう捉え方をした方がそれっぽい気もします
過剰な脅威論から引くに引けなくなって、とか

学生運動っぽさはエルガイムスタッフの影響も大きいんでしょうね
あれも兵器商人がマッチポンプでという話ですし
2010/01/25 (月) 19:43:15 | URL | Asa #I3rvZyRk[ 編集 ]
>巨炎さん
設定自体が複雑な上に、ちゃんと製作側が練り込んでいないので、筋道を立てるのはとても難しいですね。

シャアが連邦軍の軍籍を得たのはアクシズにとって予定通りなのか、個人の意志なのか図りかねるところがあります。

>法政ガン研会長さん
事実ではなくとも、宇宙世紀の中でそういう陰謀論が振りまかれている可能性はありますね。
主にアナハイム独占後のアンチ・アナハイム派によって。

>Asaさん
第一次世界大戦はどちらかというと∀でのムーンレィスとの交渉失敗に近かったような気がします。
ティターンズは過剰などころか本当に脅威なことやりまくってますし。

富野監督自身がエルガイム的要素をガンダムにスピンオフしようとした形跡は色々と見られますね。
あとファーストが第二次世界大戦をモチーフにしていたから、その後の物語は戦後の情勢をモチーフにするという意図はあったように思います。
2010/01/26 (火) 00:30:20 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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