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地球連邦政府の存在意義とコロニーの管理体制について
 以前、ジオンの「独立」とはどういう意味だったのかということを考えた際に、連邦政府とジオン公国の関係を考えるには、どうも地球連邦政府はどのようにコロニーと関わってるのか、そもそも地球連邦政府とは何なのか、というところから考えなければいけなそうだ、という結論に至りました。

 というわけで、少しその点について考えてみようと思います。

 まず、地球連邦政府の存在意義ですが、これはコロニーの開発及び移民のために作られたものだと考えてまず間違いないと思います。それ以外に、地球上の全国家が協調する理由が見当たらないからです。
 宇宙開発は元来、特定の国の事業で始まったもので、冷戦時代はアメリカとソ連が競争するように宇宙開発を行っていたように、基本的には国威発揚に近い理由で行われてきた経緯があります。もちろん直接的な理由は違いますが、国がお金を出して計画を進めたという意味では国にとっての利益があったということです。
 しかし、スペースコロニーは特定の国のために存在するものではなく、スペースノイドの人種が極めて雑多であるように、ほとんど特定国の利害から離れた形で管理されているようです。つまり、コロニーはどこかの国の誰かが得をするような仕組みではなかった、ということになります。

 ではどのような経緯で連邦政府が作られたのか、というのを考えるのは極めて難しいです。現在の我々の住む世界で、統一国家を作るというのはとても無理だろうと想像できますし、またガンダムに限らず古今東西、統一国家が作られた設定の物語はいくらでもありますが、その成立過程に踏み込んでいる作品はほとんどないことからも、無理がある設定であると言うことができます。
 ただ、一つ言えるのは、ガンダムにおけるコロニー開発は、おそらく誰かが得をするような事業ではなかった、ということなんじゃないかと思います。というのも、いわゆる上流階級の人間は地球に留まっており、またコロニーが存在する事により儲けている人間はその層にはいないようです。だからこそ政府はコロニーに無関心であるとして、その目を宇宙に向けさせるために反政府運動というのが行われてきたわけです。
 つまり、コロニー開発は損得勘定を超えた何かによって行なわれた、ということなのではないかと思います。あるいは最初は利益を期待していたが、得られた結果は大した事なかったから地球はそっぽを向いた、ということなのかもしれませんが。

 いずれにせよ、コロニー移民後の地球というのは、あまり旧世紀と変わらない力関係だったのではないかと思います。というのも、世界に一つしか国家がないというのは、事実上国家がないというのと同じような物で、結局連邦という枠の中で旧国家同士がそれまでどおりの力関係で成り立っているということになるからです。
 例えば連邦政府が構成国に対し強いリーダーシップをとっていたかというと、それはおそらく違うだろうなと思うんです。国々の財政状況はもちろん、文化、人種、そして文明が違い過ぎる国が複数存在する以上、そこまでして全ての国に対し管理体制を敷く事自体不可能だと思われるからです。

 ならば、地球連邦政府の存在意義はどこにあるのか?と言えば、それこそコロニー移民計画の推進だった、というわけです。コロニーの開発はある意味世界最大の公共事業と言えます。そして公共事業というのは、表の目的は道路や橋を作るなどの、公共で利用できるものの創出にありますが、裏の目的に雇用の創出による経済効果というものがあります。企業による事業の場合、その企業が利益を上げるとその分ライバル企業が減益になるため、社会全体ではプラスマイナスゼロですが、公共事業の場合はライバルがいないため、確実に社会にプラスになる…というのがものすごく簡単に噛み砕いた説明になります。戦争特需もある意味似た様な物ですが、戦争は国家間同士で行うわけですから、自国が勝てば他国が負ける事になり、世界全体ではプラスマイナスゼロです。無論すごく単純に考えれば、の話ですが。
 宇宙開発は、誰も敗者にしない上、途方もない開発を行う事業ですから、極めて膨大な資源と予算を必要とする分、それだけの需要を世界中に喚起する事ができるようになります。ここに、宇宙移民の意味があったのかなと。

 これは、多分連邦政府にしか出来ない事です。というのも、宇宙開発をするから参加したい人集まれ!と言ったときに、それが特定の国の掛け声だったら、例えばアメリカだったら、まずアメリカに敵対している国の人は来ません。それが、宇宙開発を行うためだけに作り上げられた中立の組織の声だったら、だいぶイメージが違うことでしょう。
 世界に平和をと言いますが、実際のところ何もせずただ過ごしているだけでは平和にはなりません。何か共通の目標があって初めて、人々は本当の意味で協力する事ができるようになります。そのために共通の目標を掲げるのであれば、掲げる主は絶対に中立で無くてはなりません。そこで生まれたのが地球連邦政府だったということなのではないでしょうか。
 もしかしたら、それほどまでに世界中のあらゆる国家で不景気になっていたのかもしれません。かといって戦争という手段もとれず、世界の多くの国家がうまく統制出来なくなってきた中で、共通の目標としての宇宙移民が掲げられ、世界がそこに向かって進んでいく事で不景気から脱出した…そんな背景があったのかもしれません。


 で、コロニーが出来た結果地球はどうなったかというと、実はこの部分、ガンダムではほとんど描かれていません。あくまで宇宙から見た地球というのは描かれているのですが、地球から見た地球というのはほとんど描写がないんですね。そのため、地球連邦政府の下にある地球の各地域がどうなっているのか、はっきりとはわかりません。
 地球の人口はおそらく大幅に減っているはずです。宇宙世紀50年の時点で総人口110億人、うち90億人が宇宙に移民とのことですから、この時点での地球人口は20億。現在の3分の1以下です。ではその分消費エネルギーは減ったか?というと多分そんな事はありません。むしろ、減った人間の分余ったエネルギーを残った人間が使えるということになり、かなり贅沢していたのではないでしょうか。つまり、多分地球の人々の生活は向上しています。

 一方で、コロニーに移民した人々は、どの国にも属さない、連邦直轄の自治体住民として管理されているわけで、その生活は一定レベルは保障されているでしょうが、それ以上は許されない制限が課されていることになります。人口の空間ですからね。
 つまり移民してやったーと思ったら地球の人の方がいい暮らししてるぞ、ということになったわけで、これはスペースノイドからすれば「地球の人々の生活をよくするために、自分達が犠牲にされた」と考えても仕方ありません。そりゃ棄民政策だと言いたくなります。これが、アースノイドとスペースノイドの軋轢を生む源でしょう。
 宇宙での暮らしをそれ以上に快適にするのは難しいですから、平等にするにはアースノイドにも同じような厳しい暮らしをしてもらうしかありません。だから「人類を全て宇宙に上げる」とか、「地球に打撃を与えて普通に住めなくする」という考えに行き着くのでしょう。あるいは主導権を宇宙にして、連邦がコロニーを管理するように、コロニーから地球生活を管理してやればいい…という考えも浮かびます。これが、ギレンのやりたかった事なのかもしれません。

 地球にとって、コロニーへの移民というのは、巨大な公共事業であると同時にエネルギー不足の解消策でもあったわけです。しかし、それによって移民した人々はある意味犠牲者と呼ばれても仕方ない扱いを受けることになってしまいました。そのために地球対宇宙の戦争、というものが起きてしまうわけですが、おそらくは連邦政府というのはそれを起こさないためにあったはずです。コロニーの人々が地球に対して反感を抱かないよう、コントロールするのが役目であり、連邦宇宙軍という組織もそのためにあったのでしょう。
 そして、政府がそれを抑えきれずに戦争になってしまった時点でもうその政府の存在意義はなくなったようなもので、いずれ連邦政府が力を失い、そして(Gセイバーの時代では)解体してしまう、というのも自然の流れだったのかなと。

 つまり、宇宙世紀のガンダムシリーズというのは、連邦政府の支配が終わり、スペースノイドが主権を確立していくまでの過程を描いた物語だった、と言えるのではないでしょうか。

 多分0079年から0153年まで、地球の生活レベルというのはそんなに変わっていません。おそらく宇宙の生活レベルもそんなに変わっていません。しかし、経済の中心は明らかに宇宙へ移動していました。
 つまり、誰かが気づいたんでしょうね。生活レベルを平等に出来ないなら、経済の中枢を移動させて自分達が世界を回せばいいんだと。それだけの経済力を(おそらくは月を中心に)得る事が出来て、それを実行できたということなのだと思います。仕事が苦しいなら自分が社長になって自分で全部操作すりゃいいって考え方でしょうか。それを武力でいきなりやろうとしたのがギレンで、時間をかけてゆっくり権益を拡大していったのが実際の歴史であったと。
 ギレンの理想とたどったの歴史の違いは、実際の歴史の方は特に宇宙が地球を支配しているわけではない、ということです。むしろ宇宙が宇宙だけで独立し、地球を蚊帳の外に置いたと言ってもいいのかもしれません。宇宙は地球へのコンプレックスを捨て、自分だけの道を歩んだってことにもなるんですかね。

 いずれにせよ、宇宙移民の結果、地球は華々しい首都から単なるリゾート地へと変容し、棄てられた人々であるスペースノイドは、自分達の社会圏を自らの手で築き上げた、ということになったのかなと思います。そうなる過程が、「機動戦士ガンダムシリーズ」だったと言う事ですね。
 それが今度は地球側がもう一度新しい文明を作り上げ、宇宙側と全面衝突の危機に陥った時代が訪れ、それが月光蝶により強制的に埋葬されることで、「∀ガンダム」に続く…といったところでしょうか。
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>コロニーの人々が地球に対して反感を抱かないよう、コントロールするのが役目であり、連邦宇宙軍という組織もそのためにあったのでしょう。
それなのに「連邦を相手にした」戦争が起きたり、「反連邦」組織がたくさん生まれたりしたのは皮肉ですね。でも連邦がなかったら、目の敵にされるのは大国なわけで、ジオン対アメリカみたいなことにもなってたかも。
Vガンの時代になるとコロニー間で戦争やったりしてますけど、ああいうのを抑えるのも連邦の本来の仕事ですよね。そういう意味ではあの時代の連邦はもうほとんど空気みたいになっていたと。
2009/12/29 (火) 11:20:33 | URL | いつもはROM専 #4shtMUW.[ 編集 ]
連邦がその体制にあぐらをかいていたり、負けることなどあり得ないと慢心していた部分が大きかったんでしょうね。
設立当初はそうでもなかったんでしょうけど、半世紀も経つと安心してしまったのかもしれません。

Vガン時代は、もはや連邦を相手にせずともコロニー同士で資源の奪い合いができるほどに自立していたってことでしょうね。
2009/12/30 (水) 21:26:24 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
> いずれにせよ、コロニー移民後の地球というのは、あまり旧世紀と変わらない力関係だったのではないかと思います。というのも、世界に一つしか国家がないというのは、事実上国家がないというのと同じような物で、結局連邦という枠の中で旧国家同士がそれまでどおりの力関係で成り立っているということになるからです。
 例えば連邦政府が構成国に対し強いリーダーシップをとっていたかというと、それはおそらく違うだろうなと思うんです。国々の財政状況はもちろん、文化、人種、そして文明が違い過ぎる国が複数存在する以上、そこまでして全ての国に対し管理体制を敷く事自体不可能だと思われるからです。

これはとても疑問です。
連邦軍が唯一の軍隊とされているガンダム世界で、力関係が維持できるでしょうか?
アメリカが強いのは経済的な側面もありますが、やはりなんといってもその武力です。
基本的に自衛権を失った国家は国家と呼べないので、その力関係は議会の派閥闘争に転化していったのではないでしょうか?

国家がないのと同じと仰いますが、地方政府と中央政府という中央依存体質(いわゆる州政府と連邦政府のような対等関係ではない)に連邦が堕していたからこそ、「地方軍」なんてものがないのではないでしょうか。
2010/01/19 (火) 14:49:21 | URL | 陰鏡斎宗地 #nL6A2.tM[ 編集 ]
うーん、本当に各国家が自衛権を失ったのか、地方軍というものが存在しないのかというのは証明できないように思うのですが、いかがでしょう。
連邦ってどこが中心なのかよくわからないんですよ。ダカールとかラサを中心に世界が回っていたようには見えませんし、中央に依存していたようには思えないんですね。
だから実際のところ連邦政府としての機能は、宇宙開発やコロニー管理をどの国の利益にもしないためだけに存在したのではないか、と言いたかったのです。
2010/01/24 (日) 23:52:42 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
連邦国家が連邦制を施行している限りは、州政府に自衛権がないとするのが、近代国家の連邦制のあり方だとおもうのですが。

各構成国に自衛権を認めているのであれば国際連合をそのまま政府化し、地球連合でいい訳で、あえて連邦国家制にし、UC0021までの統合戦争まで起こして強権発動が出来る国家に仕上げた意味がなくなりませんでしょうか。

学研の一年戦争全史で考察されているように、各国の軍隊が接収されて地球連邦軍として再編されたというのが妥当だと思います。

各構成国が、軍を維持したままでは、そもそも、あれだけの強権を発動した移民を行うことは難しいのではないでしょうか。
2010/01/25 (月) 02:40:56 | URL | 陰鏡 #nL6A2.tM[ 編集 ]
なかなか作中で連邦軍の全貌が見えてこないのでなんとも言い難いんですよね。
理屈として自衛権があるとなると統一軍の意味がないというのはわかります。

要は制度上は統一されていたとして、どこまでそれが統一前の軋轢を残しているか、というところなんです。
昨日まで敵同士だった国家が急に同じ旗の下になれるとは思いませんし、
そこに至るまでに幾多もの妥協の道があったのだと思いますが、
だからといって関係が良好になるわけでもなく、
微妙な政治的力関係というのは宇宙世紀になっても残っていたのではないかと。

敵同士が手を取り合うのは大抵共通の敵に対抗するためなんですが、
連邦政府の場合は他に敵がいないので、結局構成国同士の対立関係はさほど解消されていなかったんじゃないかと思うわけです。
代わって共通の目標とされたのがコロニー開発だったんでしょうけどね。
2010/01/26 (火) 00:22:14 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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