がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
機動戦士ガンダムUC 6巻
 7巻が出ちゃったんでいい加減読まないと、ということで。小説はなかなか読む時間を作れません。年末はガンダムコミックがいっぱい出るので困ります。

 にしても…実に怪獣映画でした。殺される人の簡単な説明描写から入るあたりとか、ゆっくり真っ直ぐ都市に侵攻していくあたりが。貿易センタービルを壊したり、首謀者がイスラム原理主義者だったり、多分に9・11を意識してる部分がありましたが、基本的にはこれは怪獣映画だったと思います。

 これまでのSEEDっぽさが一転したので、そろそろ初期プロットから本編へ移行したのかなという気がします。といっても一応砂漠編ということになるんでしょうけどね。
 砂漠編という意味では、ZZにも近いルートをたどっているのではないかと思います。コロニー→敵拠点→地球降下→ダカールという順番は同じですしね。

 一応、メインのシナリオはバナージとジンネマンの心の交流なのだと思います。一緒に砂漠を越えて絆を深め、だからこそダカール上空での殴り合いに繋がっていくと。ただ、その展開に対しては、あまり没入して読むことは出来ませんでした。

 まず、ジンネマンの過去の話。マリーダの過去もそうなんですが、なんでこう「とりあえずエログロ」っていう感じの悲惨な過去にしちゃうんでしょうねぇ。あまりにも直球過ぎるので、逆に冷めてしまう部分があります。悲惨な過去が無きゃ戦っちゃいけないのか、ってくらいに過去を描くんだなぁと感じました。
 そもそも、基本的に宇宙世紀のガンダムシリーズってキャラクターの過去話とかあんまりやらないんですよ。アムロが、カミーユが、ジュドーが、劇中以前に何をしていたかなんてほとんど語られてないですよね。シャアとセイラなんかも設定上は過去にいろいろ合ったとしても、作中では2人の会話くらいでしか語られていない。ガンダムは基本的に「今」をどう乗り切るかっていう話なんですよ。
 アナザーになると、ドモンと東方不敗の過去のエピソードとか、ヒイロたち5人の過去の話とか、ジャミル達の忌まわしい記憶とか、キラとアスランの親交とか、ガンダムマイスターのそれぞれの過去とか、色々出てくるんですけどね。でも、それは基本的にはシナリオに直結している話ですし(ガンダムWのそれはほとんどファンサービスですが)、要は過去話抜きにしてシナリオを語れないレベルの重要エピソードなわけです。
 それに比べると、ユニコーンの過去話はあってもなくてもいいような設定なんじゃないかと思うんですよね。そこまで深く突っ込む必要もないだろうと。小説だから深く描く余裕があるということなのかもしれないんですけど、そういう過去でなければならない必然性ってあまり感じられないんです。だから冷めてしまう。

 もっとも、マリーダの過去に関しては、マーサというキャラクターが関わってくることで意味を帯びてくるのかも知れません。この「女」というものに対して固執しているキャラクターが、女性機能を好き勝手に弄ばれたマリーダという少女とどう繋がっていくのかというのが今後のひとつの展開なんだと思います。
 どうも、福井氏には「男と見込んだ」という台詞からも、この作品に男と女の対立を絡めていきたいのかなという意図が感じられます。ただ気になるのは、その割にこの作品にまともな男女のコミュニケーションが見られないという点ですね。ラブロマンスとまでは言わないものの、恋愛的な要素がサブキャラにもあまり見られない(ミネバ周りは別として)のに、どうやって男女間の対立を描くのかなぁと感じたりします。

 もう一つ感じたのが、この作品を通して福井氏が「主義主張に囚われずに世界を見ることができる」ように読者に促そうとしているのかなということ。マハディという思想に囚われた男、ジンネマンという主義に従うしかない男、そして家柄や政治を背負わなければいけなくなったリディなど、自分の力ではどうにもならない宿命を背負った人物を描きながらも、そこから脱却できる可能性がある人間としてバナージを描いているのかなと。
 あるいは、福井氏にとってニュータイプとは、まさに「主義主張に囚われずに世界を見ることができる」人間だということなのかも知れません。この世界はさまざまな組織の都合や利権、そして思想・主義といったもので操作されていますが、そういうものから脱却できる存在がニュータイプであると描きたいのかなと。だとすれば、現状では最後の敵になりそうなマーサというキャラクターは、女性という生物学的な性に囚われた人であり、社会的な要素である主義や思想よりももっと根深い、生理的なしがらみからも逃れられる存在として描こうとしているのかなという気がしています。
 そもそも宇宙世紀という時代そのものを主義主張に囚われた世界と描き、そこから解放するための戦いというのがこのガンダムUCなのかもしれません。

 ただ、これってかなり世界というものに対して比重が置かれているんですよね。過去のガンダムの世界設定はあくまで舞台装置の一つであり、メインは主人公を中心とする人間ドラマだったわけですが、この作品は世界設定そのものがドラマに関わっている。ある意味では、ガンダムOOに近い視点で描かれている作品なのかもしれません。
 しかしこういう世界と自分、というテーマの作品はいわゆるセカイ系になってしまう可能性を秘めてるわけで…さすがにそうはならないと思いたいですが、とにかく宇宙世紀の直系の続編でありながら、この作品が従来のUC作品とは根本的に視点もテーマも異なる作品なのだと感じました。

 設定に関しては特別これはないだろうというものはなく。ゼー・ズールがギラ・ズールベースのズゴックであることとか、TINコッドIIとか、なかなか面白いなと思いました。トライスターはちょっと微妙ですけどね。やっと普通の軍人っぽいキャラクターが出たなぁとは思いますが、三連星で「踏み台にした」はいくらなんでも直球過ぎ…しかも連邦側だし。こういうセンスはちょっと賛同できないんだなぁ。
 センスと言えば、連邦の憲法第9条とかやっちゃうあたりもかなり微妙。しかもこっちの9条は保守派の聖域っぽい感じだし。貿易センタービルを壊して見せたり、現実世界からのフィードバックの仕方に凄く違和感を覚えます。

 終盤の加速する展開は、相変わらず見事。こういうときは可変MSが強いんだなぁというのがよくわかる戦闘でした。ユニコーンがデルタプラスの上に乗るのは大丈夫なのかと思っちゃいましたけど。サイズ的に。まぁZと百式がやってたからなんだろうけどさ。
 黒いユニコーンの登場も、ある意味ありがちな展開ですがまぁ、いいかなと。ただパイロットがマリーダってのがなぁ。プルのような悲劇のヒロイン系は主人公機の色違いは似合わないんだよね、なんとなく。他に登場キャラクターないで適格者がいないのはわかるけど。

 最後に最も違和感を感じたもの。巨大MAによって繰り広げられる無差別の破壊に対する、登場キャラクターの心理的な抵抗感ですね。激怒したバナージはもちろんのこと、ジンネマンよりも彼を味方したガランシェールのクルー達や、MAの中にあって拒否感を示すロニらの感情に、どうも共感することが出来なかった。
 基本的には無差別大量虐殺だからよくない、ということなんだと思います。テロは良くないってのと基本的には同義だったんでしょう。
 ただ、冒頭に述べたようにこれ、怪獣映画にしか見えんのですよ(汗)ゴジラが街で暴れてるのを見て「これはいけないことだ!」って思うかって話で。そりゃ怪物じゃなくて人間のやってることだってのがあるからなんでしょうけど、対怪獣なのに対テロリストみたいな会話をやるっていうズレがあって、気分が乗りませんでした。
 ロニとかさ、最もメンタルが重要なサイコミュ担当でありながら最も洗脳ができてないってどうなのよ、とかね。ニュータイプだからそういうものの見方が出来たということなのかもしれませんが、あの手の原理主義者なら自分の子供を思想に染め上げるくらい朝飯前だと思うんだけどなぁ。

 まぁ、要するにシャンブロ強すぎってことになるのだろうか。圧倒的な脅威に対しバナージが自らユニコーンに乗り、NT-Dを発動させたという意味は凄く大きいんだと思うんだけど、ガンダムで怪獣映画はねーよ…という感想しか出てこなかった回なのでした。
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コメント
コメント
はじめまして。いつも興味深く読んですます。

自分も、「現実世界からのフィードバックに違和感を覚える」という感想に同意です。
作品の根幹に関わる部分で何かしらのメッセージを打ち出してくるのならともかく、貿易センタービルや憲法九条というわりとデリケートな問題を、本筋にさほど関係無い小ネタとして使うセンスはどうにも疑問を感じてしまいます。
エログロ描写とかドバイの末裔といった要素にしてもそうなんですが、社会派っぽいポーズを取っているだけに見えてしまうんですよね。
無節操にそういう事をやると逆に作品が安っぽく感じられてしまいます。

「俺に力を貸せ」とユニコーンを受け入れるバナージとか、その辺の展開はロボットものとしてストレートに面白いんですけどね
ちょっと肩に力が入りすぎな気がします
(まぁそれが氏の作風でもあるんでしょうが……)
2008/12/26 (金) 00:25:46 | URL | ばしょう #-[ 編集 ]
巨大MAのロマンは間違いなく怪獣っぽさだと思います(笑)。
なんかデカいのが出てきて、ビルや戦艦を
バリバリ壊して進んでいく特撮の快感です。

そういう意味ではビグザムも、ザムザザーも正しく怪獣っぽくて、
そこが好きという私w
シャンブロも登場シーンには本気でシビれましたよ。
来た来た来た! っていうワクワク感があって。

しかしだからこそ、テロリズム、虐殺への抵抗感に
話がつながっていくのが、私もちょっと引っかかりました。
不謹慎なのかも知れないけど、そこはパニック映画的に、
もっと気持ち良く暴れてほしいんですよねw
2008/12/26 (金) 00:42:42 | URL | zsphere #mgsj5vwc[ 編集 ]
エログロ関係は(ガンダムにしては)強調しすぎでは・・・と思います。
もちろん現実的といえばそうなのですが、ルロイさんの言うとおりこれまではキャラクター中心の展開だった訳で。
そういう意味では斬新といえばそうなのですが・・・。
この手の作風は今まで無かったので他のガンダムと比べるわけにはいきませんがガンダム以外の小説なんかと比べたらやはり中途半端・・・と思ってしまいます。
全部ひっくるめてバランスの取れた良作って言うのは少ししかありませんし。
もっとひとつの側面に絞ればいい作品になると思うんですけどね~。

メカに関してはシャンブロはまあいいとして(笑)首都・ダカールなのにこんな防衛網?って感じですね。
ジムⅢ、TINコッド、ガンタンクⅡ、アクアジム・・・新型は量産アッシマーぐらい(それも整備で出払ってますしw)
せめてジェガンくらいいてもいい気がしますが。

あとは、ベタな発言。
トライスターの踏み台発言に前の巻ではフロンタルのシャア発言・・・
ここらへんは読んでていらないでしょ・・・とおもいますけどねぇ(笑

2008/12/26 (金) 12:30:09 | URL | クレア #I4t1ZHtI[ 編集 ]
>ばしょうさん
初めまして、書き込みありがとうございます。

仰るように、ポーズにしか見えないんですよね。
真面目に意味を噛み砕いて作中に反映しているのではなくて、
とりあえず名前だけ出しとけ的な…。序盤のテロ特措法なんかもそうでしたけど。
思春期の少年少女がオッドアイや神話の言葉を好んだり、「ヴ」という文字を使いたがるのと同レベルなんじゃないかと思ったりします(笑)
ファーストガンダムからの台詞の引用の仕方にも同じものを感じるんですよね。
とりあえず使った、というだけにしか感じないという。

作品の根幹部分はともかくとして、遊び心の部分がちょっとズレてるなぁと思います。

>zsphereさん
そうなんですよね~。怪獣映画でいくならとことんそれでいってもらわないと。
逆にテロリズム的な脅威を描くならもっとスピード感が欲しかったです。
テロって一瞬の隙をついてなんぼのものだと思うんで、
あんなにゆっくりどっしり攻めるもんじゃないと思うんですよねぇ。

これまでのガンダムの巨大MAなら、暴れるときは激しく、しかし散るときは一瞬、なんですけどね(笑)

>クレアさん
正直あの描き方は、ケータイ小説的な安易さを感じるんですよね。
とりあえず悲劇的であればいいだろうというような。
一方でリアリティを追求している場面もあるわけで、
そういうところはやっぱりあまりバランスがいいとは言えませんね。

防衛網は、基本高性能機は精鋭部隊に配備してるだけだと思うんで、あんなものなのかな~と思います。
まぁ、確かにジェガンタイプがいないのはどうなのかなと思いますね。
ジェガン重装型なんてうってつけの機体もあるんだし。
2008/12/26 (金) 21:08:36 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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