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ガンダムネタだけを語るブログです。
キャスバルとジオンの親子関係
 シャア・アズナブルというキャラクターは散々語りつくされてきたキャラですが、その親子関係に関して考察されたケースはほとんどないのではないか、と思います。人間のパーソナリティは家庭環境、親子関係が重要になってくるにも関わらず、です。

 これは、元々シャアのそういった背景が描写されていないという側面が大きいのだと思いますが、少なくともアムロやカミーユよりは家族に関する設定が多いキャラですから、その側面で少し考察してみようと思います。

 なお、ジ・オリジンはほぼ完全にパラレルであると認識してますので、基本的には無視します。

 シャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクンは、ご存知の通りジオン・ズム・ダイクンの息子です。しかし、その親子関係が明示されることは無く、「ジオンの死後ジンバ・ラルに引き取られた」というエピソードまで飛んでしまうのが、現在の設定です。

 キャスバルにとって、父であるジオンよりこのジンバ・ラルの影響の方が強いということは、想像に難くありません。妹アルテイシアも兄のことを父の思想を「ゆがめて受け止めて」と言っていますし、偽名を名乗ってジオン軍に入り、ザビ家への復讐を成し遂げたと言うのも、明らかにジンバ・ラルに植えつけられたザビ家への憎しみによるものであると考えられます。
 そういう意味では、キャスバルにとって真に父親と言えるのは、ジンバ・ラルの方であるのかもしれません。

 このジンバ・ラルというキャラクターは、ジ・オリジンでは殺されているのですが、アニメ設定では特に明示されていません。その後全く登場しないあたり、アニメ設定でも死亡している可能性が非常に高いのですが、キャスバルにとってザビ家への復讐が空しいものとなった心境の変化に、このジンバ・ラルが彼の心を占める割合が減った、というファクターがあるのではないかと思います。つまり、ジンバ・ラルが実際に死んでいるかはともかく、キャスバルの心の中ではすでに死んだも同然の存在なのではないかということです。

 ガルマを謀殺してからキシリアに「空しくなりました」と言うまでの間に、キャスバルにとって何が起きたかというと、ララァとの出会いがあったことは確かです。そして、このララァという女性は、「私の母となってくれるかも知れなかった女性だ」と自ら言い切るほどの存在です。つまり、母親的なララァとの出会いが、ジンバ・ラルという事実上の養父(真の養父はマス氏ですよ)の存在をかき消した、とも考えられます。

 タイトルに戻ってキャスバルとジオンの関係はどうだったのか、ということを考えると、ほとんど接点は無かったのではないか、と考えられます。ジオン・ダイクンは地球とコロニーを駆け回って思想を広めた活動家であり、極めて多忙な毎日を送っていたと推測できます。当然、子供に構っている時間というのも、相当に限られたものだったでしょう。
 また、キャスバルのパーソナリティは、どうも「男らしくない」というか、カッコつけながらも自己弁護を忘れない情けなさがあり、少なくともまともな父親のパーソナリティを受け継いでいるとは到底思えないものとなっています。ちゃんとした父親に育てられていたら、あんな性格にはならないのではないか、ということです。
 つまり、キャスバルはジオンからほとんど何も受け継いでいないのではないか、と考えられるのです。むしろ、母親であるトア・ダイクンとの接点の方が多かったのでしょう。マザコンかつシスコンかつロリコンの気がある彼が、母親に依存していた(そして甘えたい盛りのときに離れ離れになってしまった)ということは容易に推測できます。
 ジ・オリジンのように、母の死がキャスバルの心を歪ませる最大の要因になったという可能性も、非常に高いと考えます。そこをジンバ・ラルに付け込まれて思想を植えつけられたのかもしれません。

 話を戻すと、キャスバルは父よりも母への憧憬の方が強かったと思われるために、代理の父たるジンバ・ラルよりも代理の母たるララァ・スンに傾倒するのも当然かなという気がしてきます。それが、ザビ家への復讐よりニュータイプの未来、という心境の変化に結びついてくるのではないかと。

 一方で、キャスバルはララァを失ってしまいます。これは母との二度目の死別という、非常に辛い体験となったでしょう。かつてその結果ザビ家への憎しみを募らせたように、彼はララァを殺したアムロへの憎しみもあったのではないかと思います(それが逆襲のシャアでのアムロへのこだわりに繋がってくる)。しかし、ララァの死は100%アムロの非ではないことはご存知の通りで、ストレートに誰かを恨めば済む問題ではなかったということもあり、ララァを失った後のシャアの心の行き場は非常に不安定だったのではないか、と思います。

 アクシズでは、マハラジャ・カーンが代理の父となった可能性があります。ハマーンを摂政に推薦してアクシズから出て行ったというのも、マハラジャの死が大きな比重を占めていたのかも知れません。そうであるなら、ハマーンは決してララァの代理ではなく、父の娘なのですからむしろアルテイシアの代理であった可能性があります。つまり、キャスバルはハマーンを恋人というよりも妹に近い存在としてみていたのかも知れない、と。それをハマーンは男性としての愛情であると理解してああなっちゃったとかね。もちろん、キャスバル的にも女性としてのハマーンを全く求めていなかったとも思いませんが。

 エゥーゴにおいては、今度はブレックス・フォーラが代理の父となったのでしょう。彼のというかエゥーゴの思想はジオン・ダイクンのエレズムであり、その指導者と言う意味では非常にジオン・ダイクンに近しい存在です。キャスバルが彼に興味を抱くのは、当然の成り行きでしょう。
 しかし、このブレックスもまた死んでしまいます。そして、キャスバルはエゥーゴを去っている…。彼の行動の転機には、必ず父親的存在の死がつきまとっているのです。もしかすると、キャスバルにとって本当に必要だったのは、「母となってくれるかも知れなかった女性」ではなく、「父となってくれるかも知れなかった男性」だったのかもしれません。彼にとっての不幸はララァを失ったことではなく、代理の父とことごとく死別してしまった点だったのではないか、と。
 彼が自ら表舞台に立とうとせず、一パイロットであり続けたいと思っていたのは、まだ彼が父離れできていない、半人前の男だったからなのかも知れません。せめてカトックみたいな男に出会っていれば(笑)

 大の大人になってもそんなに親の代理が必要か、とも思えますが、人間はちゃんとした親離れができずに大人になってしまうと、いつまでも親的な存在を求め続けてしまうものです。特に、子供の頃に親に上手く甘えられなかったりすると、代わりに甘えさせてくれる存在に受け止めてもらうまでずっと成長がそこで止まってしまいます。
 キャスバルは母は知っていたが、父は知らなかった。そう考えると、彼に足りなかったのは母性より父性であったのではないか、という結論にたどり着くのです。無論、母性が十分足りていたとも思えませんが。
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コメント
コメント
これは考えたことなかったです。でも、これで逆シャアで父親代わりを求めていたクェスに対する対応も分かる気がします。シャア自身が父親を知らなかった訳ですから。
2008/12/13 (土) 18:50:15 | URL | 飛竜 #-[ 編集 ]
安彦さんは当時から
ガンダムに関わっていたわけですから、パラレルかもしれないとはいえ、アニメで語られない場所を繋いだりしている 話が絶妙で俺は好き 黒い三連のドムたくさんは引きましたが(笑)
2008/12/13 (土) 22:59:03 | URL | ロウ #-[ 編集 ]
親は確かに大事なんですが
シャアが子供を持つ機会がなかった、というのもあの人格形成には大きく作用しているように思います。

彼は自分が誰かを守る、ということを本当の意味で考えたことがないんじゃないでしょうか。
2008/12/14 (日) 00:55:32 | URL | ナタル #-[ 編集 ]
>飛竜さん
確かに、クェスに対する扱いにも繋がりますね。
アムロは父親はよく知っていましたから、対応できたと。

>ロウさん
オリジンはファーストの新訳としては凄く好きですが、
新エピソードの部分はそんなに好きではないんですよね~。
面白いんですけど、安彦色が強すぎて…。

>ナタルさん
確かに子を持たなかったのは大きいかも知れませんね。
できたところで、カロッゾみたく嫁に逃げられて養育権もらえなそうですけど。
人間は自分の親を(無意識的に)見本にして子を育てますから、
親を知らなければ子育ても非常に難しいのではないかと思います。
2008/12/14 (日) 22:27:38 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
ギャグだと思いますが、シャアがロリコンというのは納得できないですね。
2008/12/14 (日) 23:26:11 | URL | 通りすがり #-[ 編集 ]
ええ、彼は真の意味でロリコンではなかったと思います。
ただクェスへの対応を誤ったあたり、
若い少女に対しても(家族や良き先輩という形ではなく)普通に恋愛対象として接してしまうというところが、
ちょっと健全ではなかったのかなという気がします。
2008/12/16 (火) 17:32:20 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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