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Zガンダムの通史を文章化する:序章(0)「戦後処理」
 久々に続きを。書き溜めてある分はこれで最後になります。次回から、ようやくZガンダム本編のシナリオに触れる内容となる予定です。

 宇宙世紀0080年1月1日。スペースコロニー国家であるジオン公国の武装蜂起に端を発する史上最大規模の戦争は、宣戦布告からほぼ1年で終結した。そのことから、以後の歴史ではこの戦争のことを「一年戦争」と呼称することになった。
 一年戦争の終結は、意外な形でもたらされた。当時、地球連邦軍はジオン公国首都を目標に侵攻していたが、最終防衛線に位置する宇宙要塞ア・バオア・クーの制圧が完了すると、連邦軍に即座に講和の申し出が入ってきたのである。講和を提案したのはジオン公国ではなく、「ジオン共和国」であった。ジオン議会は最前線で将兵たちが戦っている間に国家体制を共和制に切り替え、したたかに戦争の中止を企てたのだ。
 元々、ジオン公国はその主権のほとんどをザビ家の一族で独占していた国家だった。ザビ家はその卓越した政治手腕と国民の心をつかむ演説とでジオン国民の絶大な支持を得ていたが、その一方で政敵を徹底的に排除したため、彼らと敵対する者も少なくなかった。また、戦争が泥沼化し国家が疲弊し始めると、ザビ家を支持していた者の中からも彼らの指導体制に疑問を抱く者が現れ始める。地球連邦軍が反撃体制を整えたことを知ると、ジオン軍の敗北は時間の問題であると考える者達が増え、彼らはザビ家が軍の指揮にかかりきりになっている間に、密かに体制の変革の準備を整えていた。そしてア・バオア・クーでザビ家3人の死亡が確認されると、即座に体制の移行が行われる。このことは事前に連邦政府にも事前に伝えられており、ア・バオア・クーを攻略していた主力部隊とは別の部隊が、すでに講和条約調印の地である月面都市グラナダに向かっていたのである。

 ジオン公国の国力は限界に近づいており、すでにもてる経済力を全て戦争のために振り向けていたがために、国家としてのシステムもほとんど麻痺していた。地球とは違い空気も水も人工で管理されている環境では、これ以上の経済的損失は国民の命に関わるとみなされていた。100%勝ち目がなかったわけではないが、戦争の続行は例え戦争に勝利したとしても大きなダメージが残ることが明白であった。また、地球連邦軍においてもそれは同様だった。開戦時以来のジオン軍の奇襲攻撃によってすでに総人口の半分が死滅し、その行政システムは完全に破壊されていた。物量に勝るためにこのまま戦争を続ければいつか勝てることは目に見えていたが、ジオン軍が残している戦力も決して少なくなく、更なる消耗は避けられない状況にあった。結局のところ、この戦争は人類を疲弊させているだけだったのだ。そのため、このタイミングでの終戦は必然であり、人類の誰もが望んでいたと言えた。
 だが、その終戦を認めない者たちがいた。ジオン公国軍の兵士達だ。彼らは公国のために命を懸けて戦ってきた。しかし、いつの間にか祖国が別の国に変わってしまい、強制的に戦争が終わってしまった。彼らが信じた大義はザビ家の滅亡と共に途絶え、そしてその行き所は戦争犯罪人として裁かれる運命にあった。現実には一部の上級将校以外が裁かれることはなかったのだが、彼らには人類の総人口を死に追いやったという自負があり、その代償としてこの聖戦を戦っているという意識があった。戦争が終われば、ジオン軍人は大量殺戮の片棒を担いだ犯罪人として扱われても致し方ないと思われていたのだ(事実、脱走や亡命を防ぐためにそのように吹聴されている部隊もあった)。そのため、彼らは停戦命令に従わなかった。ある者は艦隊を率いて宇宙の闇に消え、ある者はゲリラ化して戦後も武力抵抗を続けた。そして多くの部隊――それはグラナダ基地に残されていた最後の戦力も含む――は、火星と木星の間にあるアストロイド帯にある資源衛星アクシズへの逃亡を図った。地球連邦軍は追撃の余力もなく、またアクシズの具体的な位置も特定できておらず、そして地球圏の平定が最優先であると考えていたため、アクシズに逃亡したジオン軍についてはしばらくの間放置されることになった。

 かくして、万事解決とはいかないまでも、有史以来最大の殺戮劇となった一年戦争は終結した。


 一年戦争後、世界の中心となったのは、戦争に参加しない中立の都市であった。フォン・ブラウン市を中心とする月面都市群と、サイド6のスペースコロニー群である。サイド6は連邦・ジオンの講和条約の仲介を務め、月面都市群はコロニー圏を中心とした経済復興に尽力した。つまり、サイド6は政治面で、月面都市群は経済面で戦後の地球圏を支えたのだ。そして彼らの支持の元、戦後初めてとなる連邦中央議会の召集が行われると、形式的ではあるが地球連邦政府は本来の形を取り戻し、戦時体制から脱却することになった。
 一方で、地球においては戦災こそあったものの、ジオン軍は制圧した地域の生活圏を極力解体せずに維持していたために、北米地区を除いては大きな混乱には陥っていなかった。人口が減った分生き残った人々が都市部に移動することで、地域の格差が広まってはいたものの、大都市に限って言えば、戦前とさほど違いはなかった。別の言い方をすれば、地球の人々は戦争で傷ついた部分を切り捨てることで、戦前のシステムを維持したということになる。
 社会規模の小さくなった地球、大量に人口が失われたコロニー、そして隆盛する中立都市。これが、一年戦争後の世界のパワーバランスであった。

 ある意味一年戦争終結の立役者となったジオン共和国は、連邦政府から独立を認められたものの、それは連邦政府に対し共和国の政治家がおべっかを使った結果であり、結局は連邦政府に対して頭の上がらない国家でしかなかった。だが、結果として連邦からの独立を勝ち取ったのは事実であり、またすべての責任をザビ家とジオン公国に負わせたために、ジオン国民の世論は連邦政府との関係を糾弾することも無かった。
 ザビ家は世紀の大悪人というレッテルが貼られ、ザビ家の名を口にすることはタブーとさえなっていった。ジオン共和国を傀儡政府として認めず、抵抗を続けたジオン兵は叛乱分子として厳しく罰せられ、一方でゲリラ化することなくジオン共和国軍に復隊した(あるいは終戦前に戦死した)軍人達は、国家を守り抜いた英雄として祭り上げられた。

 そしてなにより、世界的に英雄として祭り上げられたのが地球連邦軍である。マスコミは彼らが戦争に導いたと大々的に報道し、特に若い素人集団ながら単艦で戦争を生き抜いたホワイトベースのクルー達はワイドショーの恰好の的となった。連邦軍が必ずしも賛美の対象になる行動だけをとっていたわけでは当然ないが、情報が遮断された戦時下でほぼ唯一の情報の提供先となった軍はマスコミとの癒着を強めており、より好意的に報道されたのである。
 また、連邦軍は戦前より政治家との結びつきが強く、戦時中においては政治よりも戦争の推移が世界の行く末を決めていたこともあり、有力政治家と軍の結びつきは更に強まっていった。戦後軍は更に祭り上げられ、政治への発言力も強く、一年戦争後に最も権勢を誇ったのは、地球連邦軍であったとさえ言えた。
 しかし、連邦軍は一年戦争でかなりの人員を消耗しており、戦前の規模に比べれば大きく戦力に劣る状態であった。そのため、戦争により職を失った人々の多くが、失業対策のようにして連邦軍へ入隊させられていくことにもなった。これは兵士の質を落とすことにもなり、優秀な兵士との格差が生まれもしたが、その結果が現れ始めるのはもう少し先の話になる。
 また、権勢が強くなることは、内部抗争が生まれる確率が高まるということとも同義であったのだが、当時はまだ戦後の軍の管理システムを確立させる過渡期にあり、表立った動きは無かった。


 終戦後しばらくは戦争の終結を喜ぶ声が多く、人口が大量に失われた反動として、ベビーブームも起きると、世界は平和的なムード一色となった。ジオン残党によるゲリラ活動は未だ続いてはいたものの、世界は着実に新たな道を歩み始める。その中で、戦争の教訓を生かすということも、当然行われるようになった。

次回、第一章(1)「30バンチ事件」
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