がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
月刊OUT連載「Zワールド」
 入手したのはだいぶ前なんですが、ご紹介。OUTというアニメ雑誌に連載されていた、藤田氏自身がZガンダム世界のメカ設定を解説するという企画です。
 藤田氏といえば劇中に登場するMSのほとんど全てのクリンナップを任されているという、ファーストにおける大河原氏とほぼ同等のポジションにあった方なのですが、アニメ設定にはほとんど関わっていないのか、この企画で語られた設定は、ほとんどが現在の設定に反映されていません。まぁ、大河原氏がファーストのメカ設定を作ったかというとそれもまた微妙な話で、必ずしも「メカデザで一番貢献した藤田氏の設定なんだから積極的に肯定すべき」なんて言えないんですが、ただでさえ設定が少ないZガンダム世界を語る上の切り口として、少しご紹介したいと思います。

<Step.α Mk-IIのキーワード>
 RX-78ガンダムは何が優れていたのか、という話。結論から言うと、「より人間に近い」というのが最も優れた点であった、としています。装甲とか武装とか、サポートのコンピューターとか、そういう面はジムIIがすでに同等以上のスペックを持っていたし、パイロットのアムロが優れていたという説も、じゃあガンダム以外のMSならアムロは同等の活躍が出来たのか、という疑問があると。
 何故アムロはガンダムで優れた戦果を挙げられたのか、それはガンダムが当時最も人型に近いMSであり、パイロットの身体そのものを拡大したかのような設計だったからではないか、と述べられています。で、だからこそガンダムMk-IIは、人型のさらなる追求というコンセプトになった、という話。

 なかなか面白い話で、なるほどなと思わせる一定の説得力はあります。ガンダムの操作感覚というのは、手足のある乗り物に乗っている、というよりは、義手義足を動かしているような、そんな感じなのかもしれませんね。
 ちなみに、この回にYRMS-106ハイザックの解説とイラストがあります。といっても、外見上普通のハイザックとほとんど同じですけどね。唯一、腕にハイザックカスタムのようなパネルのようなものがついているのが違いでしょうか。これが、AOZのYRMS-106の元ネタなんですよね~。

<Step.β Mk-IIからAD(アドバンスド)ガンダムへ>
 ガンダムMk-II編。実は内部フレームもかなり克明に描かれているのですが、多分MGやPGにはこのあたりは反映されていないと思います。ファーストにおけるV作戦3機の内部図解よりは、ずっとリアリティのあるイラストだと思うのですが。
 ハイザックは、実験段階では腕部と脚部の流体パルスシステムを排除して、シリンダーフレームによる駆動を採用したという記述があります。結果的には周辺システムの問題で成果が挙がらず、量産機は駆動系の簡素化がおこなわれたとしています。これはRX-106なのか、YRMS-106なのか、どっちなんでしょうねぇ。一応この時点では後者の設定しか(藤田氏は知ら)ないはずなので、後者ということになるのかな。
 ガンダムMk-IIのムーバブルフレーム構造は、MAS(Movavle&Armable inner-Skeleton)システム、武装可能な可動式内骨格と名づけられ、シリンダーフレームによる内骨格ユニット、それを制御するシステム、外装ユニットの3つからなるとしています。このシステムを採用したことで、従来のモノコック構造では出力の強化が機体の強度に依存していたのが、外部から加わる力によるストレスを全身に分散できるようになったために、自由に強化することができるようになったと解説されています。ちなみに、ガンダムの装甲はガンダリウムαであったとしていますねぇ。
 ガンダムMk-IIは外装を兼ねたスラスターパックが組み込まれたとされ、ハイザックにもオプションとして試験的に装備されたとしていますが、どのことを言っているのかよくわからないですね。「外装を兼ねた」ということになると、脚部のスラスターか肩アーマーのスラスターのどちらかになるかと思いますが、ハイザックの脚部スラスターはMk-IIのより大型化しているし、標準装備だもんなぁ。ちなみに、ハイザックにもバルカンポッドを装着する予定だったという付記もあります。
 MASシステムの欠点は、まだデータが不足しているために、余分な強度や出力を与えているということだそうです。このため、GES(ガンダムエデュケーションシステム)と呼ばれる自己学習型コンピューターが搭載されているそうなのですが、これが高価すぎるために、MASシステムの量産化が困難なんだそうです。そして、純粋な性能比較でリックディアスに劣っているという結果、エゥーゴに奪われた後にMk-IIは失敗作とみなされ開発中止命令が出された、としています。逆にエゥーゴでMk-IIが高い性能を発揮したのは、GESが学習して本来の機能を引き出したからだということです。
 しかし、開発部はMASシステムの欠点を解消したプランとして、アドバンスド・ガンダム(ガンダムMk-III)のプランを提出していたともしています。軍が中止しなければ、そのまま開発されていたのかもしれないというわけですね。
 なお、エゥーゴが開発しているというガンダムMk-II用のブースターシステム(Gディフェンサーのことでしょう)は、機体のポテンシャルに依存しすぎたオプションであり、MSの進化に逆行していると述べられています。やはり機体そのものを改善しないといけないってことみたいですね。真のアドバンスドガンダムは、Mk-IIの欠点を解消した上で、様々な戦術的側面に対応できるオプションをもったMSである、ということです。これってフルアーマーを含めたMk-IIIのことだよな。
 ちなみに、これがガンダムMk-IIIの初出のイラストとなります。一般にアドバンスドガンダムと言われているようですが、この時点でガンダムMk-IIIと名づけられており、アドバンスドガンダムという名称は、「Mk-IIの後継機」「Mk-IIの次の世代のガンダム」という総称で使われているように読めます。

<Step.γ インターミッション>
 それまでの研究者の論文のような文体から、突如カミーユを主人公とした小説になっているのがこの回。カミーユとアストナージが調子の悪くなったZガンダムを整備する話です。
 カミーユのZガンダムはMk-IIのGESを移植・改良したタイプで、「知能さえ持っているのではと感じるときがあった」と言われています。
 ZガンダムのMASシステム(つまりは今で言うムーバブルフレーム)は大出力と変形により相当なストレスがかかっているとアストナージが分析するのですが、カミーユは自分が計算したんだからそんなにヤワなはずがないと思っています。ということは、カミーユが行った設計というのは、フレーム部分も含んでいるんでしょうね。
 アストナージは、Zガンダムは急造品で、このままの設計で量産化したら稼働率は30%になりかねないと言います。しかしそれを聞かないカミーユは、Zに融合炉を腰・両脚の3基も搭載したアナハイムが悪いとぶつぶつ言っています。ということは、カミーユはジェネレーターの配置までは考えていなかった、ということですね。
 さらに、カミーユにとってZの変形はコンパクト化したフライングアーマーに機体サイズを合わせるためのものだったのが、じゃじゃ馬な高機動戦闘機になって帰ってきたことに文句を言います。クワトロにも、Zは使いこなせなかったんだとか(アポリーがそう言っていただけですが)。
 Zガンダムが扱いにくい理由は、Mk-IIのGESがブラックボックスで、ウェイブライダー用のROMとなじまないとされています。が、カミーユは、自分のクセを学習してしまったからクワトロにも扱えなかったのだろうと分析しています。事実、エマがMk-IIに乗り換えたとき、あまりにも扱いにくかったためにGESのメモリーを初期化したそうです。
 結果的にZガンダムはカミーユにしか扱えない、イコールガンダムがカミーユを選んだと結論して、一人満足してしまうカミーユなのでした、という話。

 藤田さんはやっぱり技術屋なんだな~というのがよくわかる文章です。メカに関する解説は、MGやPGのインスト文、あるいはアナハイム・ジャーナルよりよっぽど面白いですね。
 カミーユがZガンダムの設計にどこまで携わっていたのか、ということもこれをベースにすると、そこそこの結論にたどり着けそうな気がします。

<Step.⊿ インターミッションMk-II>
 こちらはうってかわって藤田氏が話し言葉でざっくばらんに解説する内容に。ガルバルディαβγが合体してガルバルディホーク1号になるとか、メタスは土木作業メカでショベルドーザーに変形するとか、めちゃくちゃなことがイラストつきで書かれています(笑)
 自身で、ベースとなる設定から類推して発想を重ねていくという意味で、設定とパロディは紙一重であると解説しているのがなかなか面白いです。確かにそうですよね。設定になるかパロディで終わるかというのは、結局公式媒体に採用されるか否かの違いでしかないわけで。
 なお、今回はほとんどネタイラストなのですが、1つだけ「プロトタイプゼータとしてリファインしたメタス」というまじめなイラストが載っています。めちゃくちゃカッコいいんですが、頭部とその周りくらいの絵しかありません。しかし、藤田氏の中では全身像があるらしいです。是非公開して欲しいものですね。
 藤田氏はカミーユとヤザンが好きみたいです。あと、「オレはディジェがアムロ用だなんて知らなかったんだよォ~~~」という言い訳と共に、「・・・で、すめばデザイナーはいらない」と付け加えていたり。そこにちょっとガルバルディっぽいラインにリファインんされたディジェが「SPLバージョン」として掲載されているんですが、SPLって何…?

<Step.ε デザイナーからの証言>
 Zガンダムの開発チーフであるカツミー技師へのインタビューという体裁。カツミー技師という名前は、ニュータイプ100%コレクションに採用されてたりします。
 インタビューはZガンダムの開発経緯から始まるのですが、政治的理由では語れないから、技術的な側面でのみ語るというのがカツミー技師。
 当初のZ計画はMk-IIの改良計画というべきもので、中止されたティターンズのMk-IIIの計画をアナハイムが代わりに行おうというものだったとしています。グリプスのMk-IIに関する情報は筒抜けだった、という記述はここから。
 結局Z計画は「現在考え得る最高の機能、性能を持つガンダムの名に値するMSの開発」となったとしています。「ガンダムの名に値する」っていうのがポイントですね。ガンダムの後継機だから同じガンダムの名前を受け継いでいる、という意味ではなくて、「ガンダム神話を受け継げるだけの機体」という意味でのガンダムをアナハイムが欲していたというわけです。やっぱり機種としてのガンダムじゃなくて、ネームバリューとしてのガンダムなんだよな。
 カツミー技師は「百式の存在は大変参考になった」と語っています。これはナガノ博士ですからね(笑)。カツミー技師が行った仕事というのは、すでに出来上がっているもの(文章から察するにフライングアーマーとメガバズーカランチャー、そして百式のことのようです)を結合させて、試作機として早急に形にすることだったとしています。まぁ、デザイナーとしての経緯ですねコレは。
 Zガンダムの変形機能の意味は、「技術的アプローチ」でしかないということになっています。結局はそうなんですよね。カツミー技師はニュータイプと人型兵器の相関関係も研究しているようです。
 Zの量産計画については、「Zは本来大規模な再突入作戦のもの」と語っていることから、大気圏突入能力を持った量産機が出来上がるだろうと言いたいようなのですが、実際に再突入作戦前提のZ系は生まれませんでしたね。ZプラスC4くらいですか。C1やリゼルのそれはオプションですしね。

<Step.Z 終焉の時>
 最終回です。文章はコラム調なんですが、ちょっととりとめのない内容なので箇条書きで。

・一年戦争後、センサー系の発達がMSを白兵戦オンリーの世界からジェット戦闘機のレベルまで引き戻した。そのため高機動戦を前提としたMSの開発が始まった。それが実現すると宇宙での制空権が大きく変わるため、開発は非常に短期間で行われた。短期間ゆえに無秩序な開発が行われ、失敗作も多く生んだ。
・MSの高機動型の解決策は変形機構の付与であり、そのためまずギャプランやメッサーラのような大型機が開発された。これらの機体は単にMSとMAを融合させたような設計だったため、特にMSに変形するメリットが生かせなかった。
・もう1つの解決策は、MASシステムにより推力を制御することで、過剰な重装化を行わずに白兵戦能力と高機動戦能力を両立させることだった。代表的なMSがガンダムMk-IIやZガンダム。
・MASシステムは発展させると可変機構も取り入れることになるため、現時点では次世代MSは可変MSの発展型になるだろうと予測される。
・次世代MSは高価すぎるため、結局は淘汰されるのではないか。真の次世代MSは、現在の技術をフィードバックした、普通のMSとMAであろう。

 ここで凄いのは、この時点でZZから逆シャアまでのMSの進化を予測していることですね。ちょっと驚きました。この人をガンダム界から追い出してしまったのは結構もったいなかったことなのかもしれません。いや最近もちょくちょく関わってはいるようだけど。藤田氏に漏れず、この頃の才能ある若手を結構無駄にしてますよね、バンダイとサンライズは。まぁ、彼らが商業の都合に適合できなかった、という側面も勿論あるんですが。
 設定的には、Zガンダムは非変形MSとして優れているとされていたことですね。変形するしないよりも、ムーバブルフレームの方が凄かったということでしょうか。百式の高性能もその辺に理由があるんだろうな。

 というわけで、かなり面白い内容だったと思います。設定考察上も、「ガンダムMk-III関連」「Zガンダム開発史関連」には一石を投じる内容なのかなと。
 あとは、なんとなくですが、ティターンズって可変MSを扱うために編成された部隊だったのかなぁなんて思ったりしました。で、エゥーゴもティターンズが開発しているらしい可変MSに対抗するためにZガンダムを開発するという、技術的競争の側面があったのかなと。実際は、ティターンズが可変MSの本格生産に入る前にエゥーゴがグリプスに仕掛けて戦争に持ち込んだから、エゥーゴはZガンダムを完成させたけど、ティターンズは核となる可変MSを開発できぬまま終わった、という構図だったとか。
 可変MSは宇宙でも地上でもMSの行動範囲を大きく広げるんで、確かに制空権という意味では大きな意味を持つんですよね。グリプス戦役は、冷戦時代の米ロ開発競争みたいな側面も持っていたのかなぁと思ったりしました。
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やはりティターンズとエゥーゴの対立の裏には、コロラドサーボとアナハイムという軍需産業の対立が(笑)
2008/08/24 (日) 21:40:47 | URL | 陰鏡 #nL6A2.tM[ 編集 ]
藤田氏といえば、Sガンダムの元絵は彼が描いたモノで、カトキ氏はこれをクリンナップしただけという話をどっかで聞いたことあるんですが、真相をご存知の方はいませんかね?

そう言われてみれば、絵のパースがカトキ的ではなくフジタ的なんですよね。
これが事実だと、センチネルにもフジタ氏の関与があるってことです。で、対抗企画であったタイラントは同時期ですよね?

彼が脳内で行っていた設定をもっと知りたいトコです。
2008/08/24 (日) 21:50:54 | URL | 叡天 #-[ 編集 ]
>ZZから逆シャアまでのMSの進化を予測

今見ればそう大したことない(ほとんどコトの通りですし)ですがこれが続編がまだ発表されていない当時に書かれていたというのはやはりただただ感心するばかりです。

それにしても・・・カミーユはZガンダムに色々と不満を持っていたのですねw
2008/08/25 (月) 09:56:40 | URL | クレア #I4t1ZHtI[ 編集 ]
このブログ本にして出版したらどうです?絶対売れると思いますよ。(笑)それくらいすごいです。
2008/08/25 (月) 12:42:09 | URL | 気手 #-[ 編集 ]
>実際に再突入作戦前提のZ系

→ MSZ-007カデゴリーのZETA(II)系(ジオンの再興)

>Sガンダムの元絵は彼が描いたモノで、カトキ氏はこれをクリンナップしただけという話

あくまで推測でしか有りませんが、
コンセプトラフ(あさの+かとき)→フジタ画稿(オトナノジジョウでペインティング?)→かとき画稿(モデグラ独断)
のような感じ?
クロボンの 長谷川ラフ→カトキ稿→長谷川稿 と同じような立ち位置かも。
2008/08/25 (月) 18:28:49 | URL | とっぱ #B8xSsyyA[ 編集 ]
>陰鏡さん
まぁ、アナハイムの発展を良しとしない地球系の軍需産業があったのは間違いないと思います。
連邦軍とは別の兵器供給ルートを持つティターンズが、そういった産業と独自に繋がっていた可能性は高いでしょう。

>叡天さん
確かに、特にヒザの突起なんかは藤田的なんですよね。
当初は藤田氏をセンチネルに起用する予定もあったけど、
ホビージャパンに取られたからかとき氏にスポットが当たった、とか?

>クレアさん
当時はZZの企画ならあったかもしれませんが、
逆シャアの企画は間違いなくなかったはずですからね。

カミーユにしてもじゃじゃ馬だったんでしょうね、Zガンダム。

>気手さん
お褒めに預かり光栄です。
本にするかは別として、過去の評判の良いもの、自分でも気に入っているものに関しては、
何らかの形で再編集したいとは思ってるんですよね。
それをやってしまうとブログの更新が止まってしまうでしょうけど…。

>とっぱさん
あぁそうか、近藤版ゼータがありましたね。
あれこそカツミー技師が思い描いていた真の量産型ゼータということでしょうか。
2008/08/26 (火) 23:07:41 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
コロラドサーボは笑い話なんですけどね(自分の小説だとそれを既定事実としてますが)♪

>逆シャアの企画は間違いなくなかった

最初から、ありましたよ(^^;A
Zがニューガンダムと呼ばれていたのがそう言う理由ですし。
元々はアムロとシャアの決着の話だったのが、放送延長が決定しZZになり、結果、映画版で逆シャアをやることになったということで、最初の企画段階から逆シャアの話までが1スパンで考えられていた……つぅ話では?

何で見たかが今どーしても思い出せないんですが、企画書かなんかの話が書いてあったんですよね(ん~~~~~/悩)
2008/08/27 (水) 03:07:12 | URL | 陰鏡 #nL6A2.tM[ 編集 ]
いやいや、ここはメカデザインの話ですから。
Z終盤の頃に、すでにνガンダムがシンプルなデザインでいくことが決まっていたか、
量産機はジェガンとギラ・ドーガといったスタンダードな機体だと決まっていたか、というと、
そんなことはないだろう、という話です。

Zガンダムの当初のタイトルが逆襲のシャアだったとか、
ZZの後半はシャアが第三軍を率いて蜂起する予定だったとか、
そういう事実は確かにありますけどね。そういう話じゃないです。
2008/08/27 (水) 23:17:14 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
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