がんだまぁBlog
ガンダムネタだけを語るブログです。
Zガンダムの通史を文章化する:序章(5)「シャア・アズナブル」
 序章はこれで終わりです。が、「一年戦争後の情勢」という宿題が残っているので、それを一度やってから、ようやく第一章に入ります。どんだけ時間かかってるんだって話ですが、その分物語や設定を整理する時間もたっぷりありますので。なんだかんだで、Zガンダムの研究というのが自分のライフワークになりそうです。

 なお、書き始めた当時と現在とでは設定に関する認識が変わっているため、将来的には書き直すつもりでいます。特に変更となる設定は以下の通りです。

・ジャミトフとブレックスは議員ではない
・ティターンズは一年戦争未経験者の方が多い
・エゥーゴの根本思想はエレズムにあること
・一年戦争以前から、スペースノイドへの差別意識は存在していたということ

 あとは小説版での基幹設定、ティターンズの結成よりも先に反政府運動の広まりがあって、それを取り締まるために作られたのがティターンズという部分をどう扱うか、迷っています。作中見る限りではエゥーゴはやっぱり反ティターンズに見えるんですよね。その前身となる運動があって、ティターンズの結成によって初めてエゥーゴという形で軍事化したと考えればいいんだろうか。

 前置きは以上です。

 一年戦争終結間際に成立したジオン共和国は、一定の制限を受けながらも地球連邦からの独立が承認され、また軍備も縮小ながら保持を認められた。そして、戦争責任と賠償金の問題はこの時点で共和国に問われることがなかった。これは、責任は「ジオン公国」にあり、ジオン共和国にはないという論理によるものである。連邦政府内にはこれを認めない者もいたが、ジオン共和国の自治権の一部を連邦政府に委譲し、軍も安全保障条約を結ぶことで事実上有事の際に連邦軍の指揮下に入ることを可能としたことを交換条件に、そして何よりなんとしても戦争を終わらせたいという一心の元に、これを認められた。形だけ見れば、一年戦争の勝利者は地球連邦であったが、実質は連邦もジオン共和国も敗者ではなかった。「ジオン公国」だけが、戦争の敗者とされたのである。
 そして、行き場を失った「ジオン公国」の人間達――その大半は軍人である――は、ただ逃亡するしかなかった。火星のさらに先にある小惑星アクシズへ。その中には、ジオン公国軍きってのエースパイロットである、シャア・アズナブルの姿もあった。

 アクシズに渡ったジオン軍残党はは、唯一のザビ家の生き残りである、ミネバ・ラオ・ザビを拠り所とし、再びジオン公国の理想の元に決起するための力を蓄え始めた。だが、それは決して一枚岩ではなかった。残党軍の中にはザビ家に忠誠など誓っておらず、ただ徴兵されたから戦地に赴くしかなかっただけの兵士も多く、そのほとんどが戦犯扱いを恐れてサイド3に戻れなかったというだけだった。また、ザビ家の信奉者にしても、ギレン派キシリア派ドズル派といった派閥が存在し、そのためにデギンの側近であったマハラジャ・カーンを代表者に据えたほどであった。このように、アクシズには様々な思惑を持った人間が混在しており、今後の方向性に関しては全く定まらずにあった。
 そのような中で、アクシズ内ではトップレベルの戦闘時間数を誇るシャア大佐は、若くして軍人中心の体制の中で指導的立場を取らざるを得ない状況にあった。だが、彼もまた、今後の方向性を見定めることが出来ずにいた。ザビ家への復讐を成し遂げ、また心を通わせたララァ・スンを失い、一年戦争までの彼の戦いは、完全に区切りがついてしまっていたのだ。
 シャアがアクシズ内で1つ興味を持ったのが、ニュータイプの研究であった。数も少なく、そのほとんどがルウム戦役すら経験していない戦中徴兵者ばかりだったアクシズは、ミノフスキー粒子下において長距離攻撃を可能とするサイコミュ技術に活路を見出し、そのための実験が盛んに行われていたのだ。その被験体の中には、アクシズの代表者であるマハラジャ・カーンの娘であるハマーン・カーンの姿もあった。
 シャアはかつてのララァのような境遇にあったハマーンと心を通わせることになった。しかし、ハマーンはララァとは全く異なるタイプの性格であり、ララァと全く同じ関係にはならなかった。
 そのような2人の関係に、変化が起こる。ハマーンの父であるマハラジャが死亡したのだ。リーダー不在となったアクシズは、新たな代表者としてミネバ・ザビを祭り上げるほかなかった。だが、それでも結局は実権を握る立場の人間が必要となる。その候補の一人として、当然のようにシャアが挙げられた。
 だが、シャアはアクシズの代表者になる気など、さらさらなかった。彼にとってジオン軍はザビ家に復讐するための仮住まいでしかなく、全てを背負う義理など感じていなかったのである。そして、代わりにマハラジャの娘であるハマーンを推薦した。まだ20歳にも満たないハマーンでは、結局ミネバの代わりなど務まらないという声もあったが、むしろ強大な権力を持った人間が実権に就けば、それこそ派閥の争いが活発化する恐れがあり、表面上穏やかな環境を維持するためには、どこの派閥にも属さない、アイドルのような女性の方が好ましいという判断が下されることになった。アクシズには若い兵士が多いこともあり、ミネバとハマーンの人気は高く、予想された以上に民衆の支持を得ることが出来た。
 シャアはこの過程を経て、地球に戻る決心をした。アクシズの人々は、そこに引きこもるような生活を始めてしまったからだ。いつか地球圏に戻るというのは前提であっても、本当に今すぐに戻るという気配が、どんどん感じられなくなっていった。人々はアクシズで政治抗争や懐古趣味、新技術の開発に明け暮れ、未来へのビジョンを提示できる人間はいなくなってしまったのである。これでは、何も変わらない。そう判断したのだ。
 そして宇宙世紀0083年、シャアは地球圏の調査という名目でハマーンの指示を受ける形で、アクシズを離れた。アクシズの官僚達がいかにしてハマーンを自らの派閥に取り込むかを画策していたはずが、ハマーンが類まれなる能力を発揮して、逆に官僚達を自らの派閥に取り込んでしまった、ということを知らずに。


 地球圏に戻ってきたシャアは、反地球連邦政府運動が高まっていることに驚いた。その中心となっていたのは、かつてザビ家がジオンの実権を握った際に追放した、ダイクン派のメンバー達だった。そのため、ジオン・ダイクンの息子であるシャアは、容易に反政府運動に接触することが出来た。
 反政府運動がやがてエゥーゴと呼ばれるようになり、ブレックスが動き出していた頃、シャアは連邦軍の軍籍を取得していた。一年戦争後の混乱から、軍籍を得ることはさほど難しくなかったのだ。しかし、月面基地グラナダの勤務であり、連邦軍の中枢に食い込むことは不可能であった。だが、連邦軍の内部にもエゥーゴに賛同する人間が増えているということを知るには、十分であった。
 それは、時代の流れであった。一年戦争が終わると、その反動からスペースノイドへの反感が強まり、連邦軍の増長と地球至上主義の台頭が始まる。そしてそれに対する反動として、反政府運動が始まったのである。シャアは、時代が次のステージに進もうとしていることを理解した。ブレックス・フォーラと出会ったのは、その頃であった。


 シャアはブレックスの思想に必ずしも共感していたわけではなかった。だが、ブレックスが本気で行動を起こそうとしていることは理解していた。時代は彼の手によって動く。だから、シャアは彼の元につく決心をしたのである。ただ、それはエゥーゴとしての活動に身を捧げることを意味しなかった。あくまで時勢に乗った上で選んだ選択肢であり、また時代が別方向に動くのであれば、アクシズでしたようにさりげなくエゥーゴから去ることも考えていた。
 一方のブレックスも、完全にシャアを信頼したわけではなかった。決してシャアの本心を見抜いていたわけではないが、ジオン軍のエースであり、組織の中にあってその指導者達を謀殺していった男である。気を許すには危険な存在であった。だが、シャアの持ち出した取引条件は魅力的であった。彼が提供してきたMSの製造技術を飛躍的に向上させる新素材は、アナハイムとの契約を有利に進めることが出来るし、またシャアの力があれば、ジオン残党をエゥーゴに引き込むことさえ可能であると思われた。そしてブレックスは、シャアという男に賭けた。


 かくして、エゥーゴという組織が現実的な形で完成することになった。連邦軍内の反ティターンズ派、地球資本の進出を快く思わない月資本、スペースノイドの権利向上とティターンズの排除を訴える市民グループ、そしてテロを実行できるだけの力を持つジオン残党。これらが1つのネットワークとして繋がることで、政府の後ろ盾や数々の特権という強大な力を持つティターンズに対抗しうる力を手にしたのである。


次回:序章(0)「戦後処理」
スポンサーサイト
コメント
コメント
敵の敵は
結局エゥーゴが結成されて、活動を開始した時点でジャミトフの狙いはほぼ達成されたのでしょうか。
いかにもワルぶって見せてるティターンズというリトマス紙で、不満があるようなのを芋づる式に引きずり出したという。
大した釣り師です。
2008/07/10 (木) 22:59:18 | URL | R.M #-[ 編集 ]
そうですね、ジャミトフは世界を闘争状態に持っていくことが目的でしたから、
ティターンズという組織を作ったことでそれに対抗する勢力ができたというのは狙い通りなんだと思います。
釣り師としては有能でしたが、そこまでの男だった…のかもしれません。
ハマーンとの交渉は失敗し、シャアの演説も察知できなかったわけですからね。
煽ることしか出来なかった、という意味ではブレックスとも似たり寄ったりなのかも。
2008/07/13 (日) 14:13:46 | URL | ルロイ #-[ 編集 ]
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
copyright © 2017 がんだまぁBlog all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.